蓄電池と太陽光発電の連携は節電だけでなくこれからの社会に必要となってくる!

太陽光発電した電気を電力会社が買い取るFITが2019年から終了し始め、売電から電気の自家消費への切り替えを検討している方が増えてきていると思います。
台風や地震時による長期間の停電対策として、非常用電源を備えておこうという考えも東日本大震災以降一般家庭にも普及し始め、太陽光発電と蓄電池を同時に設置する方も増えてきています。
太陽光発電をすでに設置しているが蓄電池も設置した方がいいのか。蓄電池の初期費用は高いが元は取れるのか。この2つの疑問に答えるため、今回は蓄電池導入のメリット・デメリットや太陽光発電との連携について解説していきます。

蓄電池の歴史

蓄電池は充電する事で再利用可能な二次電池のことです。スマートフォンのモバイルバッテリーが一番身近な蓄電池です。
蓄電池は1859年にフランスのガステン氏が鉛蓄電池を発明したことから始まります。その後、企業も蓄電池の開発・改良を続け1950年代には自動車のバッテリーとして用いられ始めます。
1970年代以降、一般家庭に普及し始めました。太陽光発電設備と連携するタイプは当初、工場など大規模な設備に使用する産業用蓄電池が主流でした。
その後も開発・改良が進み、1990年代に入り家庭用蓄電池の実用化が成功し、今では多くの住宅用太陽光発電と蓄電池が組み合わされました。

蓄電池と太陽光発電の連系

太陽から降り注ぐ光をエネルギーに変換することができる太陽光発電は再生可能エネルギーとして、環境面やコストなどの問題を解決できるものであると注目を集めているシステムです。

太陽光発電や蓄電池の設置に必要な機器はだいたい以下の通りです。
・太陽光を取り込むソーラーパネル
・パネルと蓄電池の中間に配線して、充電する電圧の制御や過充電の防止、電流の逆流防止などの役割をしてくれるチャージコントローラー
・蓄電池から取り出された直流の電流を交流に変換するDC-ACコンバーター
・電流を貯蔵する蓄電池

蓄電池と太陽光発電を組み合わせるメリット

蓄電池と太陽光発電を組み合わせるメリットは3つです。

①発電した電力を貯めることができる
災害時の非常用電源として太陽光発電システム単体でも活用出来ますが、雨や曇りなど天候が悪い時は十分な電力を確保できず、電気が使えないという状況に陥ってしまいます。
しかし、家庭用蓄電池を一緒に設置すると、雨や曇りで発電量が0の日でも前日に蓄電しておいた電気を利用できます。好きな時にその電気を利用可能で、災害時やトラブルによる停電時でも貯めておいた電力を使用することができます。

②電気料金節約
2019年10月に消費税が8%から10%へ引き上げられ、各電力会社でも電気料金を値上げしました。5,000円の電気代の場合、消費税8%の場合5,400円ですが、10%だと5,500円に。月々100円の差ですが10年間だと12,000円の出費です。電気は毎日使うので、電気代の値上げは私達に密接に関わってきますよね。

蓄電池と組み合わせる事によって、太陽光発電で作られた電力を日中、自家消費し、余った電力を蓄電池に蓄え、夕方から明け方にかけて蓄電池に貯めておいた電力を使い、電気会社から極力電気を買わないようにすると電気料金節約になります。

さらにエコキュートも合わせて設置する事もオススメします。
エコキュートとは、ガスではなく電気でお湯を沸かす給湯器です。太陽光発電で発電した電気を蓄電池に貯め、その電気でお湯を沸かせば、電気代が高い日中の時間帯にお湯を沸かさなくてもいいので電気代を節約することができ、さらにガス代も削減できます。ただし、夜間の電気料金が安くなるプランを契約している前提です。ご注意ください。

災害時にガスも電気も止まってしまう中で、電気や温かいお湯が使えるのはとても安心するし、助かりますよね。日常の電気代節約だけでなく、太陽光発電と蓄電池とエコキュートの組み合わせは災害時用の備えとしてとても心強いと言えるでしょう。

③ピークカットができる
ピークカットとは、1日の中で最も電力を消費する昼から夕方にかけての時間帯に、少しでも電力を削減して電力会社から電気を買わないよう節電することです。
太陽光発電と蓄電池があれば、無理に電気使用量を減らすことなく、ピークの時間帯に蓄電しておいた電力を使用することでピークカットをすることができます。

蓄電池と太陽光発電を組み合わせるデメリット

蓄電池と太陽光発電を組み合わせる事で生じるデメリットは3つです。

①家庭用蓄電池の費用負担が比較的大きい
太陽光発電システムと組み合わせるタイプの家庭用蓄電池は大容量なものを求められるので高単価となり、費用負担が大きいと言えるでしょう。
蓄電池の蓄電容量1kWhあたりの価格は、15万から28万円です。容量が7.2kWhの蓄電池を設置する場合、初期費用は約140万円かかります。経済産業省では、2020年度の家庭用蓄電池の価格目標を1kWhあたり9万円(耐用年数15年)と設定しているので、今後、蓄電池の価格は下がってほしいですね。

家庭用蓄電池を購入する場合、自分に必要な容量を考えて多くの方が4〜9kWhの蓄電池を選ぶのではないでしょうか。
そうなると費用相場は、工事費等込みで100万円~250万円かかります。
家庭用蓄電池には特定負荷型と全負荷型があり、それぞれどちらを選択するかで必要な容量が異なってきます。

・特定負荷型
特定負荷型とは、事前に指定した特定エリア(冷蔵庫に繋いでいるコンセント、テレビコンセントなど)に電気を供給します。商品によりますが、15~20Aまでの回路を選択できます。20Aは、ドライヤーと掃除機を同時に使うことができるくらいの容量です。

停電した場合、必要な場所に優先的に電気を供給することができますが、指定したエリア以外には電気を供給しないため、蓄電した電気を使いすぎることがありません。

特定負荷型は、全負荷型の大きさの半分くらいなので設置場所の確保が容易になり、価格も20万円前後抑えることが可能です。

・全負荷型
全負荷型の場合は、家まるごと包み込むように、全ての部屋で電気を使用することができます。停電時でもエアコンや電子レンジ等、ほとんどの家電製品を使えるので、普段と変わらない生活を送ることができます。お湯を沸かしたり、調理も可能ですので、オール電化住宅の方には特にオススメです。災害時の停電はいつまで続くかわかりません。そんな時に普段に近い電気ある生活ができるとそれだけで安心できますよね。

蓄電池を設置する際には、本体価格の他に、設置工事等の費用も掛かります。しかし、国や各地方自治体が出している補助金制度を利用すればお得に設置することができます。ただし、この補助金制度は予算上限に達すると早々に打ち切られてしまいますので申請する場合は早めに準備をしておいた方がいいでしょう。また、地方自治体によって条件が異なったり、実施していない事もありますので、一度、自分の住む地方自治体のホームページをご覧ください。

②設置スペースを確保しなければいけない
太陽光発電と組み合わせ、節電効果や災害時の非常用電源として本格的に使用する場合、家庭用蓄電池は定置型蓄電池が必要となります。

住宅用の定置型蓄電池はエアコンの室外機を縦に2台分積んだほどのサイズであり、重さは50〜100キロほどになります。そのため、設置するための場所やそれをメンテナンスする際に必要なスペースも確保しなければいけません。屋外に置く場合、蓄電池は精密機械であり、弱点が多いです。高温多湿、直射日光、塩害、水没などにとても弱いので、日よけや蓄電池を設置する倉庫などの対策が必要です。

③家庭用蓄電池の寿命は太陽光発電よりも短い
家庭用蓄電池の寿命は短くて7年、長くて15年程度です。太陽光発電の各メーカーによる期待寿命は20年~30年に対し、蓄電池の交換サイクルは早いといえるでしょう。費用回収も考えると、費用対効果が厳しい可能性も出てきます。

太陽光発電と蓄電池の組み合わせはメリットも多いですがデメリットもあります。導入を検討する際は何度も価格や対策をシミュレーションしてからにしましょう。

産業用蓄電池

太陽光発電システムには住宅用と産業用があります。
10kW以上の出力を持つ産業用太陽光発電に導入する産業用蓄電池は、蓄電用量が多いので電力量の大きい大規模な施設に用いられています。

産業用蓄電池は、非常時に長期間設備を動かさなければいけないので、蓄電池同士を接続して容量を大きくする仕組みもあります。

また、有事に事業を継続・被害を最小限に食い止めるための準備や計画を定めた、BCP計画の一環として産業用蓄電池の導入は企業にとって重要なポイントとなってきます。

これからの太陽光発電システム

クリーンでエコな再生可能エネルギーとして国が設置を推奨してきた太陽光発電も、今では多くの家庭や企業に普及しています。普及が進んだこれからの太陽光発電は、制度そのものが大きく変わるかもしれません。すでに太陽光発電システムを導入している人も、これから導入を考えている人も、今後の太陽光発電がどうなっていくのか注意しておく必要があります。

太陽光発電で作られた電力は、電力会社に買い取ってもらうことが可能です。買い取り価格に関しては、再生利用エネルギー固定価格買取制度によって、単価が一定の額に設定されることになっています。かつて太陽光発電で作られた電力は、かなり高い単価で取引されていました。国は太陽光発電を一般家庭に広く普及させようと、高い売電収入が期待できれば普及率も上昇するだろうと予想しました。

その結果、売電収入を目的として太陽光発電を導入する家庭や企業は増加しました。以前に比べて多くの世帯に太陽光発電が普及しており、産業分野においてもシステムを導入している機関は少なくありません。

太陽光発電が広く普及した今、買い取り価格を高い単価にしておく必要性はないと言えるでしょう。そのため買い取り価格は年々下落していっています。しかも固定価格買取制度は10年契約なので、2019年頃から終了(卒FIT)を迎えています。

【 売電価格 】2020年度(令和2年度)の余剰買取価格:21円/kwh
【 電気料金 】電力プラン次第:25~30円/kwh

電気料金が売電価格より高価格です。電力会社から購入する電気料金は年々価格上昇傾向であり、卒FIT後の売電価格は6~10円程度になるのでFIT開始当時の固定価格42円/kWhと比べるとおよそ5分の1も収益が少なくなります。
その対策として太陽光発電と共に蓄電池を導入すると経済メリットが増加します。

蓄電池を併設して自家消費すればどれほど経済メリットが増加するのでしょうか。太陽光発電の発電電力を「電力会社に売電」と「蓄電池を設置し、全て自家消費」で、20年間の収益を比較してみました。

【 前提条件 】
・売電価格:21円/kwh(売電期間満了後は8円/kwh)
・電気料金:30円/kwh
・ソーラーパネルの設置容量:5kw(年間発電量5,500kwh)

電力会社に売電

年数計算収益
1~10年目 5,500kWh×21円×10年 1,155,000円
11~20年目 5,500kWh×8円×10年440,000円
20年間の収益 1,595,000円

 

蓄電池を設置してすべてを自家消費

年数計算収益
1~20年目 5,500kWh×30円×20年3,300,000円
20年間の収益3,300,000円

 

収益の差は1,705,000円です。20年間電力会社に3,300,000円払いつつ売電して1,595,000円するより、蓄電池を設置して全て自家消費した方がかなり経済的にメリットがあるという事がわかりました。

太陽光発電システムの売電価格の下落と電気料金の価格上昇という要因から、発電した電力は売電するより自家消費した方が経済メリットは大きくなり、太陽光発電システムと共に家庭用蓄電池を導入する家庭が増えつつあります。
今まで太陽光発電で自家発電した電気を売電していました。しかし、これからは自家発電・自家消費の時代です。太陽光発電で作られた電気で日中過ごし、余った電力を蓄電池へ貯めます。夕方から朝方にかけては蓄電池へ貯蓄した電力を使うことで、電力会社から電気を極力買わずに済みます。また、太陽光発電と蓄電池の組み合わせは節電だけでなく災害対策の1つとして、需要は今後も高まることが予想されます。

家庭用蓄電池は80万円から100万円台、産業用蓄電池は1,000万円台、と年々価格が安くなっていっています。そして補助金制度を利用すればさらに安く導入することができます。ZEHやスマートシティ・災害対策を考えると太陽光発電と蓄電池の組み合わせは必要な装置と言えるでしょう。太陽光発電の導入や今後の運用に悩んでいる方は、この機会に蓄電池の設置も考えてみてはいかがでしょうか。

クリーンなエネルギーへの期待、災害時の停電対策としての非常用電源、自家消費・自家発電による節電など、太陽光発電は蓄電池と組み合わせによって今後もまだまだ注目されるものだと言えるでしょう。

実際の導入例を見てみる

企業や一般家庭でさまざまな用途で蓄電システムが導入されています。ここではその実例を紹介します。

蓄電池使用事例

製造業および工場は電気をより多く使用する業種です。
また、NAS電池はメガワットクラスの蓄電容量に対応可能で、工場など大規模施設に向けた使用を想定しているため、企業が産業用蓄電池を選ぶ際にNAS電池を導入する場合が一般的です。

大手住宅メーカーの積水ハウス東北工場は省エネへの取り組みを進めるため産業用蓄電池と太陽光発電システムを導入しました。
2MWhという非常に大容量の産業用蓄電ユニットと、720kwの太陽光発電システムを導入し、非常時に1週間電力供給することができます。

まとめ

蓄電池と太陽光発電の連携について解説して決ました。以下まとめになります。

・太陽光発電と蓄電池を連携させれば節電できるだけでなく災害時に備える事ができる
・売電するよりも自家消費した方が圧倒的にお得
・年々蓄電池の値段は下がってきているので補助金と組み合わせて導入する家庭は増えつつある

電力を発電するには火力発電や原子力発電など、CO2排出が起こってしまいます。しかし、太陽光発電は太陽の光によって電力が生じるので超エコで再生可能エネルギーです。節電や非常時用電源としてだけでなく、これからの地球環境を考えると太陽光発電と蓄電池の組み合わせを導入する事はとても良いことだと言えるでしょう。導入を考えている方はぜひ太陽光発電と蓄電池の導入を検討してみてください。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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