蓄電池の導入費用やコストってどれくらい?気になる太陽光発電の組み合わせと補助金!

大規模災害や台風など多発する自然災害時の停電対策として、非常用電源として家庭用蓄電池の導入を検討する方も多くなってきました。
広く普及させることを目指して売電単価を引き上げていた制度も終わりを迎え、太陽光発電システムの設置コストも年々安価になってきています。これからは売電よりも蓄電池と太陽光発電を組み合わせて電力の自給自足を推奨していく流れが主流になっていくかもしれません。
蓄電池は一体どれくらいの費用で購入する事ができるのかを今回解説していきたいと思います。

蓄電池の導入費用

一般的に、蓄電池は100万円~250万円が相場です。
蓄電池は昔から価格は高価ですが、蓄電池本体の価格は年々下落し、購入しやすくなってきています。

蓄電池の導入費用は主に3つです。
①蓄電池の本体価格
②設置工事
③電気工事

①蓄電池の本体価格

蓄電池の本体価格はメーカーや容量、機能で変わってきます。
太陽光発電と連系するのなら単機能かハイブリッド型か。また、特定負荷にするのか全負荷にするのかによっても金額が変わってきます。

②設置工事

蓄電池を設置するには工事費用は不可欠です。定置型蓄電システムの場合、設置する場所を屋外にするのか屋内にするのかにより工事内容は異なります。屋外の場合、蓄電池の重さによって費用が変わってきます。

③電気工事

蓄電池システムには電気が関わってきますので、以下の電気工事が必要です。

・蓄電池に電気を溜める為の配線工事
・蓄電池にたまった電気を供給できるようにする配線工事
・既存の太陽光発電と接続するための工事
・モニターの配線工事など

①②③を合計した金額が導入費用となります。本体価格はどの販売施工店でもあまり変わりませんが、設置工事と電気工事が販売施工店によって大きく変わります。
定置型蓄電池システムの場合は、本体価格は100万円からで、設置工事と電気工事は約20~30万円ほどかかると言われています。
見積りの際には、設置工事費と電気工事に気を付けましょう。

蓄電池に使われる電池の相場

蓄電池は主に電解液に利用されている材料の違いから大きく4つに分けられます。

・鉛蓄電池
・リチウムイオン蓄電池
・NAS蓄電池
・ニッケル水素電池

鉛電池は主に非常用電源として使われており、最も古い蓄電池の一つであり、安く長寿命です。稼働する温度範囲が広いのですが、過放電すると使えなくなり他の電池よりエネルギー効率が低いです。

リチウムイオン蓄電池はパソコンやモバイル機器全般に広く使用されていて、小型・軽量・高容量であり、高電圧を供給できますが、過充電や過放電に弱く、低温では動作が安定しません。

NAS蓄電池は主に工場などのバックアップ電源として使われています。
大容量化に向いており、構成材料が豊富で長寿命ですが、ナトリウムやイオンなど誘拐電解液の危険物管理が必要であり、過放電時の作動温度が300度前後と高温に注意しなければいけません。

ニッケル水素電池は充電式乾電池です。リチウムイオン電池が登場する以前、モバイル機器のバッテリーとして利用されていました。環境への影響が少なく、安全で過充電過放電に強く、急速な充放電が可能ですが、寿命が5~7年と短く自己放電が大きいです。

相場価格としては家庭用蓄電池に適しているリチウムイオン蓄電池が最も高額であり、産業用蓄電池に向いている鉛電池やNAS電池が低価格です。

鉛蓄電池は寿命が短く、大きく、重量があり、NAS蓄電池は産業用の大規模な設備でないとコストメリットがでないという理由から、どちらも家庭用蓄電池の利用には向いていません。

小型・軽量・長寿命で充電時間も短いリチウムイオン蓄電池は使い勝手もよく、家庭用蓄電池としてとても向いているのですが、価格相場が高いため導入が進んできませんでした。

リチウムイオン蓄電池価格の推移

販売容量(kWh)販売価格(百万円)kWh単価
20132,098,834kWh279,364百万円13.3 万円/kWh
20142,768,688kWh349,761百万円12.6 万円/kWh
20153,194,389kWh360,705百万円11.3 万円/kWh
20164,127,349kWh385,368百万円9.3 万円/kWh
20174,319,904kWh422,366百万円9.8 万円/kWh
20184,570,056kWh462,211百万円10.1 万円/kWh
20193,584,531kWh409,803百万円11.43 万円/kWh

出典:経済産業省 「生産動態統計年報 機械統計編」より作成

表を見れば、年々リチウムイオン蓄電池の価格は下落傾向にあることがわかります。

ここ3年ほどは若干価格が上昇気味ではあるものの、2013年時と比較すれば相場の下落率は約15%前後です。

また、販売容量についても年々増加しており、リチウムイオン蓄電池の市場ニーズの高さがわかります。

ただし、ここで算出しているkWh単価はあくまでリチウムイオン蓄電池のバッテリー本体のみの価格です。
実際の家庭用蓄電池の価格は蓄電池用のパワーコンディショナーやHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)などの合計値を元に設定されますのでご注意ください。

家庭用蓄電池の導入費用

家族構成にもよりますが、一般家庭で導入される蓄電池の容量は4.5kWh~12.0kWh程度です。9.8kwの蓄電池を導入した場合、蓄電池の導入価格は150万~200万程度です。

家庭用蓄電池の本体価格は、蓄電容量の大きさが価格に一番影響します。一度一日の使用電力量や停電時に必要な電力量を計算する事をオススメします。

使用電力量よりも蓄電池容量が少ないものを導入すれば使用可能時間が少なく、蓄電回数が増えて本体劣化が早まります。蓄電用量が使用電力量よりも大きい場合も手に余ります。

少しでも購入費用を抑えるために、実際に必要な電力量を計算した上で本当にその蓄電容量は必要なのかを検討しましょう。

本体保証やサービス費用など

国内主要メーカーでは基本10年以上の本体保証が付けられています。
家庭用蓄電池や太陽光設備の多くは屋外に設置されているので、雨風に常にさらされどんどん劣化していきます。この劣化を放置すると従来通りの性能を発揮しにくくなってきます。導入後のメンテンナンスは必須となります。購入時には導入後のメンテナンス費用が有償か無償か必ず確認しましょう。主要メーカーだと、遠隔モニタリングサービスで24時間365日、機器の状態管理をしてくれる所もあります。

・シャープ:蓄電池WEBモニタリングサービス
・NEC:見守りサポートサービス

上記のようなサービスの場合、定期的なメンテナンスにより機器の状態異常を早く察知でき、保証内容で修理を受けることができます。

また、蓄電池の保障期間がメーカーや型式によって10年は無償で、15年は有償オプションと設定されている場合があります。

蓄電池は消耗品ですので、10年使うと交換が必要になってきます。その際に交換費用が発生し、費用は大体数十万円掛かることがあります。

保証期間であれば無料で交換をしてくれる所もあれば、格安でやってくれる所もあります。保証期間内であれば無料で交換してくれるのか、交換費用はどれくらいかを施工業者にしっかりと確認しましょう。

家庭用蓄電池は年々金額が下がってきているとはいえ、高い買い物です。
・普段と停電時の使用電力を計算し、自分に必要な蓄電池の容量を知っておく
・メンテナンスサポートは付いているか
・本体保証は何年で、有償オプションはあるか
・保証期間であれば交換費は無料か、有償ならいくらかかるのか

家庭用蓄電池導入時には上記の4点を確認してから導入に踏み切るのがいいでしょう。

補助金制度

家庭用、産業用蓄電池ともに年々価格は下落しています。経済産業省では、蓄電池のコスト低減化を目標とし、国全体で蓄電池の普及をしています。
その施行の一つとして、国や地方自治体が家庭用蓄電池の購入に対して補助金制度を行っています。

蓄電池の種類・容量によって補助される金額が異なり、また公募期間も決まっているため、検討されている方は早めに申し込みましょう。
補助金は予算の上限に達すると募集を打ち切ってしまいます。毎回たくさんの応募がありますので、締め切りより2ヵ月も早く打ち切る場合もあります。制度を利用したいと思った場合、国や地方自治体の補助金制度の速報をチェックしましょう。
ただし、全ての自治体で必ず行われているものではありません。お住まいの地域では補助金を受ける事ができない場合があるのでご注意ください。

太陽光発電

1993年当時、家庭用太陽光発電システムの価格はおよそ370万円でした。しかし、2018年になると100万円未満での購入も可能となってきました。
しかも、その費用は固定価格買取制度による売電収入により回収可能でしたので、家庭や企業によっては何年かで設備投資分を取り返して、その後は黒字になったという場合もあります。

ハイブリッド蓄電池

ハイブリッド蓄電池を設置すると効率よく電気を使用することができますので、太陽光の固定価格買取制度が終了した11年目からは、ハイブリッド蓄電池の導入を検討することをお勧めします。

ハイブリッド蓄電池とは、蓄電池本体と太陽光のパワーコンディショナがセットになった家庭用蓄電池です。通常、太陽光と蓄電池を設置すると、それぞれのパワーコンディショナが必要です。ハイブリッド蓄電池の場合、1つのパワーコンディショナで太陽光と蓄電池の両方をまかなうことが可能になります。

太陽光発電をすでに設置している場合、太陽光用のパワーコンディショナが設置されています。パワーコンディショナの耐用年数は基本10年~15年で、多くはこの期間に故障してしてしまいます。

パワーコンディショナの交換時期と固定価格買取制度が終わる時期が重なると、ハイブリッド蓄電池を導入するととてもお得に買い替えることができます。

ソーラーパネルから最適な蓄電容量がわかる

使用電力量は家族構成や生活習慣により変動しますので、太陽光発電のソーラーパネル設置容量から簡単に計算できます。

●ソーラーパネル3kWの場合

太陽光発電システムの年間発電量
= ソーラーパネルの設置容量×1,100=3,300kWh
1日の発電量
= 年間発電量 ÷ 365日=9kWh
余剰発電電力
= 1日の発電量 – 自家消費分(4kwh)=5kWh

・ソーラーパネルの設置容量:3kw
・太陽光発電の年間発電量:3,300kwh
・1日の発電量:9kwh
・余剰発電電力:5kwh(自家消費分4kwhを控除)

よって、ソーラーパネル3kwに最適な蓄電容量は5~7kWhとなります。
余剰発電電力で、充電できる容量の蓄電池がおすすめですね。

太陽光発電とV2Hとの組み合せで経済メリットUP

太陽光発電とV2Hを組み合わせるメリットは

・節電による経済メリット
・非常用電源としての災害対策

太陽光発電で電力を発電し、それを電気自動車(EV)に充電する事で燃料代を節約することができ、CO2削減や石油に対してのエネルギー依存も改善する事ができます。また昼夜問わずEVのバッテリーから自宅に給電することで、電気料金を節電する事が可能です。

停電時にEVから自宅に給電することもできます。太陽光発電による電力をEVに充電し、停電していないエリアへ移動するなど、移動手段を確保することも可能です。

電気自動車の補助金

政府は2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにすることを目標に掲げ、EVの普及やガソリン車の削減を行っています。

しかし、EVは高価格です。そこで国はEV導入に対する補助金を出しました。2020年度の補助金価格は40万円ですが、欧州の補助金価格は100万円と再生エネルギーの普及に対する力の入れ方が違うことが伺えます。

しかし、2021年度はNEV(一般社団法人次世代自動車振興センター)から最大80万円の高価格の補助金が付与されます。2021年度は2020年度の条件に新たな条件が加わります。

●2020年度の補助金の給付条件
・車両販売会社から電気自動車(EV)を直接購入
・電気自動車(EV)の車検証が「自家用」であること
・リースの場合、補助金はリース会社に交付される(補助金額を勘案したリース価格になるはず)
・補助金を享受したら、定められた期間は保有する必要がある

●加わる2021年度条件
・電力プランを再生エネルギーに変更すること

まとめ

蓄電池の導入費用とコストについて解説してきました。以下まとめになります。

・設置工事費と電気工事は販売施工店によって大きく変わるので、蓄電池導入の見積りの際には気を付ける
・蓄電池の導入を普及するため、国や地方自治体は補助金制度を出している
・太陽光発電システムと掛け合わせるととてもメリットがある

蓄電池は停電時の非常用電源としてだけではなく、普段電気を節約するのにも役立ちます。どんどん価格が安くなってきており、テスラのように本体価格が100万円台を切るものも出てきました。太陽光発電と組み合わせれば、お得に自家消費、自家発電できるだけでなく、環境問題解決にも取り組むことができるので、ぜひ蓄電池導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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