蓄電池は業務用の方がいい?一般家庭に蓄電池導入は良いのか徹底解説!

蓄電池は私たちの生活にとても密接している二次電池です。充電することで電気を貯蓄し、繰り返し使用できる電池のことで、自動車や車両のバッテリーやスマホ・カメラなどに使われています。地震や停電時に家庭内で電子機器が使用できたり、企業のサーバーのバックアップを行ったり、蓄電池は災害時など、非常用電源として活用する事もできます。東日本大震災以降、非常事態に備え導入を検討している人は増加しているように思えます。

蓄電池は安いとは決して言えません。また、業務用蓄電池と家庭用蓄電池のどちらがいいのかわからないという人もいるのではないでしょうか。今回は業務用蓄電池と家庭用蓄電について解説していきたいと思います。

業務用蓄電池と家庭用蓄電池の違い

業務用蓄電池と家庭用蓄電池の大きな違いは容量です。業務用蓄電池はオフィスや工場などの利用を前提として設計されているので、一般的に10kWhから20kWあります。最近では60kWhを超える大容量タイプの蓄電池もリリースされています。

サイズも大きく、一般家庭では設置に困るでしょう。家庭用蓄電池はそれに比べてコンパクトサイズで、種類によっては一人で運搬も可能です。

また、業務用蓄電池にはバックアップ電源として、停電になると瞬時に電源の切り替えを行い、PCなどが誤作動を起こしてデータ消失することを阻止するUPS(無停電電源装置)が備わっています。中には電源の切り替えによって不調になる電子機器も存在するので、CVCF(低電圧低周波数装置)機能を持つ電源装置を設置すると安全です。

容量や大きさ、そしてUPSなどの付帯機能によって業務用蓄電池は家庭用蓄電池よりもコストが大きくなります。一般的に家庭用蓄電池が数十万から数百万円とすると、業務用蓄電池は最低その数倍はすると覚悟しておいた方がいいでしょう。大規模のものになると1,000万円を超える場合があります。

家庭用蓄電池の特徴

家庭用蓄電池の特徴は2つです。

①電気料金の削減

②太陽光発電やオール電化住宅と連携できるものが多い

家庭用蓄電池は電気料金を大幅に抑えることもできます。何故なら夜間に貯めた安い電力を日中に使用できるからです。しかし、これにはあらかじめ電力会社の夜間プランを選択する必要があるのでご注意ください。

また、太陽光発電やオール電化住宅と連携すると、エネルギーを総合的に運用でき、更に節電する事ができます。これをエネルギーマネジメントと呼びます。夜間に貯蓄した安い電力を日中に使用すれば電気料金を最小限に抑えつつ、太陽光発電システムの電力を売電する事が可能です。蓄電システムに合わせた家庭内の電気製品を制御、電力会社からの買電量を調整するシステムも登場してきています。これを使いこなせたらすごくお得ですね。

家庭用蓄電池の容量は1kWhから15kWhが主流で、価格は数十万円から200万円を超えるものまで容量や仕様、メーカーによって幅広く異なります。補助金制度を利用すれば販売価格よりも安く購入する事もできます。

補助金

環境・エネルギー技術促進のため、環境共創イニシアチブ(SII)は個人や法人が定置型リチウムイオン電池導入費用に対し補助金を出す事業を行っています。

金額は法人の場合、最大で1億円。機器費用や工事費用を合わせた1/3を補助してくれます。

注意点として3つのポイントがあります。

①導入する蓄電池システムは新品であること

②ソーラーシステム一体型の場合ソーラーシステムは対象外

③グリーン投資減税と重複して補助は受けられない

申請時期や申請方法についての詳しい情報を知りたい方は「環境共創イニシアチブ」までお問い合わせください。2020年度のSIIによる補助金は2020年7月に予算額に達したため終了してしまいましたので、2021年度に期待です。

また、地方自治体や市区町村によっては蓄電池導入費に対して補助金を出してくれます。各自治体によって条件が異なるので、各HPをチェックしたり、蓄電池購入時に施工業者に相談するのがいいでしょう。

補助金は先着順ですので、検討しようと思ったら早めに計画を立ててください。

業務用蓄電池

業務用蓄電池は病院など、万が一送電停止した場合に一定の時間給電可能な無停電電源装置の蓄積装置として使用されています。企業の場合、ビル全体が停電した時にサーバーの非常用電力として使用します。産業用蓄電池は設置される環境によって容量や目的、効果が大きく変化します。

医療機器の場合は全ての蓄電池が対応しておらず、リチウムイオン蓄電池が対応しています。たとえば、蓄電容量2.2kWh、出力600Wの場合、人工呼吸器に約50時間、電力を供給可能です。

企業の場合、容量10kWh(1万Wh)の蓄電池の場合、LED電球(40W)は250時間、パソコン(500W)は20時間動かすことが可能です。

太陽光発電と業務用蓄電池を組み合わせると、電力の自給自足が実現でき、災害時に大規模施設を避難拠点として活用することが可能です。広い敷地のある工場など、今後は避難拠点としての活躍を期待されています。

大量の電力を必要とする工場ではより効率的なエネルギーの利用・管理が求められているため、FEMSを導入する工場が徐々に増え始めているようです。

工場内エネルギー管理システムのことをFEMS(Factory Energy Management System)といいます。

FEMS導入として蓄電池システムを導入すると、工場全体の製造効率が上昇します。また近隣住民への環境配慮型工場としてイメージ向上やCSR面でも優位に働きかける事ができるでしょう。CSR(Corporate Social Responsibility)とは、組織活動を行うために企業が担う社会的責任のことです。この場合、社会的責任とは従業員や消費者、投資者、環境などへの配慮から社会貢献までの幅広い内容に対して責任を取り、適切な意思決定を行う事です。企業によって責任、役割、影響力は異なるので、各企業は各自課題を見つけながらCSRを作り上げなければなりません。

業務用蓄電池には設備導入に多額のコストがかかる事、設置するための場所を確保しなければいけない他に、補助金が使い難いというデメリットがあります。

ZEB(net ZERO Energy Building)の補助金を普及推進の目的として活用する事ができますが、これは蓄電池単体の補助金ではありません。年間の一次エネルギー消費がネットゼロになる建築物を目標とする場合に使える補助金制度なのです。せっかくあるのに、使いたくても使うことができない事業者が多く、もったいないですね。産業用太陽光発電の補助金は他にも国が中小企業向けの優遇税制を用意していますので、ぜひ条件を確認しておきましょう。

業務用蓄電池の種類

業務用蓄電池には4種類あります。

① NAS 電池

② リチウムイオン電池

③ 鉛電池

④ ニッケル水素電池

① NAS電池

世界で初めて日本企業が実用化に成功したメガワット級の蓄電池システムです。大容量、高エネルギー密度、長寿命であり、複数のシステムとつなぎ合わせることで、さらなる大容量を実現可能です。

設置面積を少なくすることもでき、瞬時に電圧低下を察知する機能があるため、完全に設備が停止するのを回避することも可能です。

② リチウムイオン電池

設置面積を小さくすることができ、小型なのが特徴です。完全に密閉された構造のため、電池を使用するときにガスが外に放出されるのを防ぎます。高いサイクル特性を持っているため、短時間に何回も発電効率の良いエネルギーを充電することが可能です。

他の蓄電池と異なり、充電するたびに蓄電池の中に残っている電力を放電する必要がないため、コストを削減できるのも大きな特長といえます。

③ 鉛電池

世界で最も古い歴史があり、約150年前に発明された蓄電池です。安価で導入可能で、使用できる温度範囲も広いため、代表的なもので自動車用のバッテリーとして使用されています。鉛、水銀、カドミウムなど6種類の物質(SOC6物質)が規制されている環境下の場合、電極が劣化し、放電の出力が低下しますが、他の蓄電池と比べて充放電エネルギーが低く、短時間で高い出力の放電が可能という特徴があります。

④ ニッケル水素電池

主にハイブリッド自動車に利用されている蓄電池です。放電時に周囲の金属や物質に影響を与えないため、過放電の心配が少なく、寿命が長いという特徴があります。

また充放電も速く、数百kWhの容量を充電することができます。しかし、いまだ開発の途中であることから、実用化まではしばらく時間がかかるでしょう。

近年では、業務用蓄電池は工場や商業ビルだけでなく、集合住宅などにも利用されています。 今後、余った電力の蓄電や大容量化などのスペック開発が進むことで、さらに使い方の幅が広まる可能性を期待されています。

一般家庭には家庭用蓄電池で十分

オフィスや工場と一般家庭では、使用する電気量が桁違いです。業務用蓄電器の容量は一般家庭において不必要なほど大きすぎます。またサイズが非常に大きいため設置場所にも困ります。それだけでなく導入費用やメンテナンスのコストも高くつき、無駄な費用を支払う可能性があります。

どんなに良いエネルギーマネジメントシステムを取り入れても、一般家庭では業務用蓄電池の初期費用を回収することは厳しいでしょう。一般家庭に業務用蓄電池は向いていないと言えます。

まとめ

家庭用蓄電池と業務用蓄電池について解説してきました。以下まとめになります。

・家庭用蓄電池と業務用蓄電池の大きな違いは大きさと容量である

・業務用蓄電池はそれぞれ給電する環境によって目的も容量も変わってくる

・一般家庭には家庭用蓄電池でも十分賄える

家庭用蓄電池と業務用蓄電池はそれぞれの特性に合った方法で活用するのがいいでしょう。無理に一般家庭に業務用蓄電池を設置すれば電気代や場所など、とても困る事になります。

太陽光発電システムやオール電化住宅と連携すると大幅に電気代が削減できます。エネルギーマネジメントを検討している方は大災害の非常用電源として自分の家に見合った容量の蓄電池を導入してみてはいかがでしょうか。

以上、蓄電池と業務用についてでした。

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蓄電池コンシェルジュは、蓄電池を購入しようとお考えの方々に、蓄電池を活かした暮らしをするための上質なコンシェルジュサービスをご提供しております。再生可能エネルギーに理解のある方々にご利用頂くことが「脱炭素社会」実現へのカギとなります。蓄電池コンシェルジュは、文化的、社会的資産を後世に引き継ぎ、社会的責任としての取組みのみならず、日本の人口減少と地球温暖化の危機を救うためのお手伝いをさせて頂いております。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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