卒FIT後の選択肢を提案する資源エネルギー庁とは!あなたはどっちの選択肢を選ぶ?

資源エネルギー庁は2019年11月1日、固定価格買取制度(FIT制度)による電力買取期間が満了する住宅用太陽光発電設備を対象とした、余剰電力買取サービスについて、手続き方法や買取期間満了(卒FIT)後の選択肢など、今後注意すべき事項について制度に関する情報提供等を行う専用サイト「どうする?ソーラー」を設置しました。大変わかりやすく解説を乗せており、FITとは何で、卒FIT後どうすべきかが、閲覧すればなんとなくイメージしやすくなるのではないでしょうか。
資源エネルギー庁とは一体何で、どういう事をしているのか。そして資源エネルギー庁は卒FIT後、どういう選択肢を提案しているのかを解説していきます。

資源エネルギー庁とは

資源エネルギー庁(Agency for Natural Resources and Energy)とは、石油、電力、ガスなどのエネルギー安定供給政策や原子力、太陽光、風力、スマートコミュニティ等の省エネルギー・新エネルギー政策、鉱物資源の開発を所管する日本の経済産業省の外局の事です。

1973年に発生した第一次オイルショックをきっかけに、当時の通商産業省の鉱山石炭局と公益事業局を統合する形で設置され、石油をはじめとするエネルギー安定供給政策を行ってきました。

2001年の中央省庁再編に伴い、資源エネルギー庁の特別機関として設置されていた原子力安全・保安院は2012年9月19日に廃止され、原子力安全行政は環境省の外局として設置された原子力規制員会に、産業保安行政は経済産業省の商務流通保安グループから産業保安グループへそれぞれ移行しました。

資源エネルギー庁が行っている電力システム改革

資源エネルギー庁が行っている電力システム改革の目的は3つです。
①安定供給の確保
②電気料金の抑制
③電気利用の選択肢や企業の事業機会の拡大

この改革を行うために大事なことは3つあります。
①広域的運営推進機関設置による、地域を超えた電気のやりとりを拡大
②電気を売電する送配電ネットワーク利用の促進
③電気の小売販売ビジネスへの新規参入解禁

この3つを実現すれば、消費者がどの電気を使うのか、会社や価格を見て決めることができます。
従来の電力会社とは別の新規参入してくる会社から購入する新電力が、この電力システム改革によって生まれてくるでしょう。そうすることで、電力事業者間の競争を生み、様々な消費者に合わせた電気販売が可能となるため、消費者にも事業者にもメリットがあります。

固定価格買取制度とは

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)とは、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度の事を指します。
固定価格買取制度の対象となる再生可能エネルギーは5つです。
・太陽光
・風力
・水力
・地熱
・バイオマス

このいずれかを使い、国が定める要件を満たす事業計画を策定し、その計画に基づいて新たに発電を始められる方が対象となります。発電した電気は全量が買い取り対象ですが、住宅屋根に載せるような10kW未満の太陽光やビル・工場の屋根に載せるような10kW以上の太陽光の場合、自家消費後の余剰分が買取対象となります。

電力会社が買い取る費用の一部を賦課金(再エネ賦課金)という形で毎月の電気料金とあわせて私達は支払っています。何故なら、再生可能エネルギーで発電された電気は、日々使う電気の一部として供給されているからです。再エネ賦課金の単価は、買取価格等を踏まえて年間でどのくらい再生可能エネルギーが導入されるかを推測し、毎年度経済産業大臣が決めています。

卒FITとは

FIT制度による電力買取期間が終了した発電設備の事を「卒FIT」といいます。
FIT制度では、太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定期間買い取る事が約束されていました。10kW以内(住宅用)だと10年、10kW以上(産業用)だと20年、とそれぞれ買取期間が異なります。
太陽光発電の普及拡大のため、2009年11月に太陽光余剰電力買取制度が開始されました。太陽光発電設備で作られた電気の内、自家消費分を差し引いた余剰電力を電力会社が10年間買い取る事を義務付けたものです。制度開始時、買取価格は48円/1kWhと高額であり、制度開始時太陽光発電設備の導入は加速していきました。
そのため、2009年から10年後の2019年11月以降、卒FITが多数発生し始めます。2019年の11月、12月だけでも約53万件に昇り、累積では2023年までに約165万件に達成するのではないかと推計されています。

資源エネルギー庁が提案する卒FIT後の選択肢

卒FITの6か月前ほどぐらいからを目安に、必要な手続きなどを記載した通知が届くことになっています。
資源エネルギー庁が卒FIT後提案している選択肢は2つです。
①自家消費
②相対・自由契約

①自家消費

太陽光発電を電気自動車や蓄電池、エコキュートなどと組み合わせて自家消費しましょうという選択肢です。
家庭用蓄電池を購入して設置すれば、昼間に発電して家庭用電気として自家消費し、余った電力を蓄電池に貯め夜間に使用することができます。そうすることで、太陽光発電でまかなえる電力を増やすことができます。
プラグインハイブリッド自動車や電気自動車を購入すれば、太陽光発電で作った電力を充電するだけでなく、自動車の動力や家庭の電化製品やエコキュートなどの電力として使う事ができます。

J-クレジット制度

また、追加的な設備投資を行った場合、自家消費した分のCO2排出削減量を「J-クレジット」として認証取得することが可能です。
たとえば、卒FIT後に過去2年以内に導入された出力制御対応機能付きパワーコンディショナーや電気自動車、蓄電池、エコキュートなど追加的な設備投資を行い自家消費した場合に適用されます。2020年5月27日より2年が経過する日までに登録申請が行われた追加的設備も認証対象となります。
「J-クレジット制度」とは、省エネルギー機器の導入や森林経営などの取組による、CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。
認証されたクレジットは、低炭素社会実行計画の目標達成やカーボン・オフセットなど、様々な用途に活用されています。
J-クレジットでできることは以下の通りになります。
・省エネ設備導入やクリーンエネルギー導入によるエネルギーコストの低減
・設備投資の一部をクレジットの売却益によって補う事で投資費用の回収
・新たなネットワークの構築
・省エネへの取り組みが具体的な数値として見えるため、取り組みに対して組織内で意識改革につながる
・温暖化対策に積極的な企業、団体としてPRできる

卒FITを迎えても追加的な設備投資をすることによって、自家消費だけでなく地球環境に大きく貢献することができます。これは自社の屋根に太陽光パネルを設置し、卒FITに向けた企業にとって、温暖化対策に積極的な企業としてPRできるだけでなく、ランニングコストも低減することができて大変メリットがあると言えるでしょう。
J-クレジット制度へ登録されているプロジェクトはたくさんあるので、もしJ-クレジット制度に参加してみたいと思った方は検討してみてはいかがでしょうか。

②相対・自由契約

小売電気事業者などに対し、相対・自由契約で余剰電力を売電するという選択肢です。
今までどおり小売電気事業者などと個別に売電し、余剰電力を買い取ってもらいます。
資源エネルギー庁の「どうする?ソーラー」では、売電できる事業者一覧を随時更新しています。事業者一覧は小売電気事業者から該当ページへ掲載希望登録があった場合に更新されるようです。全国から54社が掲載されているので、気になった方はぜひ覗いてみてください。様々な買取メニューや単価を確認し、自分自身に会ったプランを選択して、事業者へ申し込みしましょう。ただし、事業者への手続きには一定の期間を要しますので、卒FIT満了までに手続きが終わるよう、早めに申し込みする事を念頭に置いてください。

卒FIT後、何もしないで放置した場合

卒FIT後も契約が自動継続となっている場合は新しい単価で買取が行われますが、自走継続になっていない場合は買取者が不在となり、余剰電力は一般送配電事業者が無償で引き受ける事になります。
何故このようにしているかというと、無契約だからといって余剰電力の系統へ逆潮流できないように解列してしまうと、住宅用太陽光発電の場合、配線状況によっては電気の給電まで遮断されてしまい、過大な不利益になってしまうかもしれないからです。そうならないために、一時的に例外的な無契約の逆潮流による買い手不在の余剰電力受け皿として、一般送配電事業者が引き受けるようにと、政府の審議会で一般送配電事業者に対して要請され、了承されています。
無償で電力を引き受けるのは不当な利益を得る事になるのではないか、と思う人もいるかもしれません。しかし、一般送配電事業者は売り手と買い手があらかじめ決まっている電気を運ぶことを業務としています。そのため、計画にない「買い手不在の余剰電力」は周波数調整の負担が増す可能性があり、利益になるというわけではないのです。

まとめ

資源エネルギー庁と卒FITについて解説してきました。以下、まとめになります。

・資源エネルギー庁は卒FIT者に向けて「どうする?ソーラー」という専門サイトを公開している
・資源エネルギー庁が提案する卒FIT後の選択肢は「自家消費」と「相対・自由契約」
・卒FITを迎える前に早めに準備し、どの選択肢を選ぶか検討しよう

電気料金や蓄電池の価格、または小売り電気事業者などの買取メニューによって売電価格は異なるため、「自家消費」と「相対・自由契約」のどちらに経済的メリットがあるかは使う人自身によって異なります。そのため、自分にとってどちらがいいのかを考え、検討するのがいいでしょう。卒FIT準備期間に資源エネルギー庁の「どうする?ソーラー」を閲覧し、基礎知識を身に着けてみてはいかがでしょうか。

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