私達の生活にとても身近なリチウムイオン電池!特徴を知って増々便利に使いこなそう

蓄電池にも様々な種類があります。その内、リチウムイオン電池はスマートフォンのバッテリーなどに使われるなど、私達の生活にとても密着しています。リチウムイオン電池はとても便利なのですが、扱い方を間違えると爆発したり、機能が停止したりしてしまいます。そうならないために、リチウムイオン電池の特徴を知ることにより、今後更に使いこなすことができるかもしれません。そこで今回は蓄電池のリチウムイオン電池について解説します。

リチウムイオン電池とは

物質科学反応または物理反応によって放出されるエネルギーを電気エネルギーに変換する装置を電池といいます。電池内部で電子が電解質を通して、極間を-から+に移動することによって電圧が発生します。

電池は大きく分けて2種類あります。

①一次電池

②二次電池

一次電池は使い切り電池のことで、マンガン電池やアルカリ電池のことです。

二次電池は充電して繰り返し使える電池です。移動する電子を外部からの充電電流によりスタート地点に戻すことによって使い切りではなく繰り返し使えます。

リチウムイオン電池は二次電池になります。

リチウムイオン電池のリチウム原子は金属の中で比重がもっとも軽く、非常に柔らかいアルカリ金属類で、その密度は水の約半分ほどです。周囲との反応性も高く、水に触れると反応して燃焼します。リチウムは単体で存在せず、リチウムイオンとして存在しています。

リチウムをそのままの状態で保管する場合、油などの中に入れておく必要があります。さらにリチウムは炎症性や腐食性も非常に高い金属ですので取り扱いも難しいです。

イオンとは、プラスかマイナスのどちらかの電気を帯びた、電子が過剰か足りないかの状態の原子や原子の集合体を指します。

また、最も電子を放出しやすいので、電池としてとても使いやすいことから起用されました。

リチウム原子が電子を放出し、電子が足りなくなってプラスの電荷を帯びたため、リチウムイオンは陽イオンになります。原子が電子を放出してイオン化することを酸化、電子を獲得して戻ることを還元反応と呼びます。この酸化と還元がリチウムは元素の中で最も容易に行われるので、イオン化しやすい物質であるとされています。

酸化と還元を繰り返すことによってリチウムイオンが正極と負極を行き来し、電池の充電や放電がされるのです。これをロッキングチェア型反応といいます。

リチウムイオン電池は正極にリチウム含有金属酸化物、負極にグラファイトや黒鉛などの炭素材、電解液に有機溶媒電解液を用いて発電します。鉛電池のリザーブ型に比べて電解液を少なくすることができるため、電池の小型化に成功しました。

急速充放電が可能で、自己放電が小さいので、長時間充電していない状態で長期間放置されても充電したエネルギーを長期間保存し、効率よく運用する事ができます。他の電池と比べてエネルギー密度が高く、電圧パワーも高いです。また、充電を繰り返すことによる悪影響が少なく、電池寿命が長いというのも特徴の一つと言えるでしょう。

自動車のバッテリーとして利用されているのを始め、非常用電源やフォークリフト・ゴルフカートといった電動車用主電源としても用いられており、安価で使用実績が多く、用途が幅広く、信頼性に優れています。

リチウムイオン電池の種類と危険

リチウムイオン電池は私たちの身近にありますが、危険度は種類によって大きく異なります。リチウムイオン電池の種類と危険度、そして何に利用されているのかを説明します。

コバルト系

リチウムイオン電池として世界で初めて開発されたものです。バランスが最も取れた正極材量でモバイル機器を中心に幅広く使用されていましたが、原価が高く価格変動が激しいことが難点です。また、熱暴走の危険もあることから、現在はあまり利用されていません。

ニッケル系

安全面に問題がありますが、最も高容量の電池です。

マンガン系

安全性が高く、熱安定性に優れ、原価が安いので車載用電池として主流となっています。

三元系

ニッケル・マンガン・コバルトの三元素の化合物を使った電池で、コバルト系よりも安全性を高め、車載向けに改良されたものです。

チタン酸系

正極にマンガン酸、負極にチタン酸を使用した電池です。黒鉛を負極に使用する従来型の電池に比べ寿命が6倍伸び、急速充電が可能で10分以内に充電できます。高い安全性により、モバイル医療機器に使用されています。

他の電池の電圧が3.7Vなのに対し、電圧が2.4Vしかなく、エネルギー密度が低いのが欠点です。

リチウムポリマー系

リチウムポリマー系はゲル状の電解質を使用し、電池の電気機器を中に収めた箱をアルミラミネートのフィルムにすることで、形状の自由と重量の軽さを備えています。過充電や過放電によって電気機器を中に収めた箱が膨らみショートが発生して、発火・炎上の危険性があります。また、折り曲げたり、衝撃を与えることも危険です。

ほとんどのスマホや携帯電話、タブレットに使用されているので、私たちに身近な存在です。

リン酸鉄系

電材として価格が割安で、電池内部で発熱があっても結晶構造が崩壊しにくく、有機電解液を用いているため安全性が高い電池です。また、結晶構造がとても固いため、熱安定性も高く、長期間放置していても十分な電力が得られる特徴があります。-20℃の低音環境でも使用でき、幅広い場所で活躍することができます。

しかし、リチウムイオン電池化するのにコストがかかり、3.2Vの電圧でエネルギー密度が低いのが欠点です。電気自動車、蓄電システムに使用されています。

たくさん種類があるリチウムイオン電池ですが、コバルト系やポリマー系、三元系は過去に爆発・発火事故を起こして社会問題になったことがあります。

その点、リン酸鉄系はエネルギー密度が低く、過充電・過放電状態でも爆発せず、安全性が高いと言えます。また、約10年間も長期使用できるのも利点です。

それぞれの特性と欠点を考慮して使うのがベストでしょう。

リチウムイオン電池の発熱発火事故原因

新幹線や航空機、自動車、電車の中でスマホやノートパソコンのバッテリーが爆発・破裂し、火柱を上げて大怪我や大事故に発展したことから、2008年5月に電気用品全法施行令が改定され、リチウムイオン電池は規制対象となりました。

体積エネルギー密度が400Wh/l未満で、簡単には取り外せない構造であれば、発熱・発火の可能性が低いので、規制の対象外です。

リチウムイオン電池は私たちの生活ととても密接しているので、とても恐ろしいですよね。

事故を起こさないためのポイントは2つです。

①強い刺激を与えない事

②高温環境に置かないようにする事

③放電状態で放置しない事

リチウムイオン電池は正極と負極、電解質、正極と負極を隔てるためのセパレータで構成されています。強い刺激を与えるとセパレータが破れてしまい、正極と負極が直に触れ合ってしまうのでショートを起こしてしまう危険性が高まります。

高温環境に長時間放置するとセパレータが縮こまってしまい、正極と負極が直に触れ合ってショートしてしまいます。屋内であっても南向きの部屋は真夏にかなりの高温になるでしょう。リチウムイオン電池が入っている家庭用蓄電池の設置場所には十分気を付けましょう。

また、放電状態で長期間放置すると過放電状態になり、電池残量が0でも充電しないまま長期間放置されます。すると過放電から更に負荷放電状態になり、使うことができなくなってしまうのでご注意ください。過放電状態は負極の集電体となる銅が溶けだすことから始まります。放置すると熱暴走に繋がりますので、過放電状態にならないように20%から80%の電池残量の間で小まめに充電を心がけるようにしましょう。

ほとんどの日本国内メーカーの製品では、電池の内部にも保護機能を備えていますし、製品・システム側でも異常値を検知したら安全停止するような仕組みが備えられています。蓄電池メーカーは私たちの生活に欠かせないリチウムイオン電池を、安全に使える形で提供するように心掛けなければいけません。

リチウムイオン電池はほぼ住宅や小規模店舗、オフィスに導入される蓄電池に使われており、リチウムイオン蓄電池を導入する方を対象とした補助金事業が設けられています。

2020年度の家庭用蓄電池の価格について資源エネルギー庁が発表した価格は1kWhあたり9万円を目標としています。1kWhあたり9万円という価格は、住宅用太陽光発電の買電機関を終了したFITが家庭用蓄電池を導入し、自家消費した時に15年程度で蓄電池の投資費用を回収できるように計算されました。

リチウムイオン電池のバイポーラ型蓄電池

2020年6月9日、古河電気工業と古河電池は実現困難と言われていたバイポーラ型蓄電池を開発したと発表しました。リチウムイオン電池と比べ、トータルコストを約半分にできると想定しており、定置型蓄電池などに向けて商品化を考え、2021年中にサンプル出荷、2022年に製品出荷を計画しています。

バイポーラ型蓄電池とは、シンプルな構造で、1枚の電極基板の表と裏にそれぞれ正極と負極を持っています。構造自体は前々から考案されていましたが、鉛の薄箔化と長寿命化の両立、樹脂プレートの成型と鉛箔との異種材料接合という技術課題があり、実現は難しいとされていました。

しかし、古河電気工業のメタル・ポリマー素材関連の技術と古河電池の電池加工技術などを活用し、協力し合うことで課題を達成しました。リサイクル性や安全性の面でリチウムイオン電池よりも優れている鉛蓄電池をバイポーラ型で実現成功したのです。

バイポーラ型蓄電池と従来の鉛蓄電池の違いは3つです。

①システム構築時に離隔距離が不要であり、材料削減が可能

②設置面積当たりのエネルギー量の向上

③排熱対策用の空調システムの簡略化など電池設計の自由度が高い

これにより、リチウムイオン電池よりもバイポーラ型蓄電池はコストを半減できると言われています。これはすごいですね。

リチウムイオン電池など、蓄電池として求められる要素と、鉛蓄電池の能力を併せ持ったバイポーラ型蓄電池の開発・製品化によって、電池は増々発展を遂げていくことでしょう。

まとめ

リチウムイオン電池について解説してきました。以下まとめになります。

・リチウムイオン電池は私たちの生活に密着して幅広く使われている

・高温環境や長時間の過放電状態になると負荷がかかりすぎて発火する危険があるので注意

・新しい蓄電池は開発され続けている

電気は現代を生きる私たちにとってなくてはならないものです。リチウムイオン電池はまさにその代表的な電池といっていいでしょう。これからどんどんリチウムイオン電池よりもすぐれた電池が開発されていくと思われます。大事なのはその電池は何に使われていて、どのような効果があって、何をしたら危険になるのかを知っておくことです。リチウムイオン電池を知ることで、増々電気というものを身近に感じられたのではないでしょうか。

以上、リチウムイオン電池についてでした。

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蓄電池コンシェルジュ代表
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