蓄電池を後付けするのに必要な届出とは?補助金の申請をすると安く導入できる

太陽光発電と蓄電池を組み合わせると停電時に普段通りの生活ができ、日中発電した電力を夜に回して、電気会社からの電力を節電できるメリットがあります。余剰した電力を売る事も可能ですので、太陽光発電を設置している家庭で、蓄電池を同時に設置しようと考えている人は多いと思われます。補助金などの制度を利用すれば少し安く購入できるので、国や自治体から補助金が出ている今は、蓄電池を導入するきっかけになるのではないでしょうか。
太陽光発電を設置した後から蓄電池を導入する場合、どんな申請や手続きがいるのでしょうか。蓄電池の後付けに必要な届け出、申請と手続きを解説していきます。

蓄電池を後付けするには手続きがいる

すでに太陽光発電を設置している場合、蓄電池の後付けに必要な手続きは3つです。
①FITの変更認定申請
②電力会社との接続契約にかかわる申請
③補助金の申請

FITの変更認定申請

FIT(固定価格買取制度)の認定時に届け出た内容に変更があった場合に行う手続きをFITの変更認定申請と言います。FITとは2009年から始まり、太陽光発電による余剰の電力を電気会社が10年間買い取る制度の事です。10kW未満の家庭用太陽光発電設備におけるFITは2019年に順次終了しており、当初48円だった買取価格は10円以下となり、売電する方が損をすることになります。

太陽光発電システムを導入した時に設備認定や事業計画認定など、発電システムの構成申請をしていると思われます。蓄電池の後付けは自家発電設備等の変更に該当するので、変更認定申請を届け出なければいけません。

再生可能エネルギー電子申請サイトにログインし、自家発電設備の設置の有無という項目で「有」を選択、種類を蓄電池にし、設置位置や区分計量の可否などを入力していきます。
蓄電池からの放電で売電する量が計測可能か不可かを判断することを区分計量の可否と言います。
また、変更手続きには入電図などの必要書類も添付しなければいけません。専門的な知識なので不安になりますが、その時は太陽光発電や蓄電池の設置業者や販売業者などの専門業者に相談しましょう。代行依頼もできるので、わからないまま進むよりも依頼をして確実な手続きをしましょう。
入電図の他に認定申請についてわからないことがあれば、JPEA代行申請センターに相談するのもいいでしょう。各問い合わせに対応してくれます。

FIT変更認定申請は買取期間が終了した後も申請しなければいけません。買取期間終了後から廃止届出が受理されるまでの間に蓄電池を導入する場合は、事前の変更届出でも大丈夫です。事前変更届出は軽微な変更に使われる申請手続きです。変更認定申請よりも簡単な手続きで完了するので安心して手続きを進められますね。

申請しないと発生するリスク

FITの変更認定申請は複雑に思えて手続きをするのが嫌だと思うかもしれません。しかし、この申請はFITの中に義務付けられた手続きなので怠った場合、FIT法に基づく指導・助言や改善命令が適応され、最悪FIT取り消しの対象となってしまいます。何故なら不当な儲けを狙う悪質なケースと判断されるからです。その場合、罰則が科せられますのでご注意ください。

条件を満たせば申請後にFITの価格が変更になる

FIT変更認定申請を行い、FITの買取期間中に蓄電池を導入するとFIT価格が変更するケースもあります。蓄電池を設置して変更認定した時の価格へとFIT価格が変更されるからです。変更になるには2つの条件が同時に全てあてはまる場合のみです。

①パワーコンディショナの出力よりも太陽電池の合計出力が大きい過積載の場合
②パワーコンディショナよりも蓄電池を、電力会社の送配電網側ではなく太陽電池側に設置する場合

しかし、FITの価格が変更しても良くない場合もあります。
たとえば2018年の10kW未満のFIT価格が26円だったのに、2020年に変更申請を行うと21円になる場合もあります。条件を満たしていてもFIT価格を変えたくない時は蓄電池の設置業者に相談しておくのがいいでしょう。

電力会社との接続契約にかかわる申請

経済産業省とのFIT制度契約だけでなく、太陽光発電システムを導入するには電力会社との契約も必要不可欠です。太陽光発電システム導入時に電力会社の送配電網に接続する系統連系に関する契約を行っているはずなので一度確認してみましょう。

蓄電池の設置に伴う申請手続きは、電力会社ごとに手続きの方法が異なります。接続契約は設置業者が行うケースが大半なので、蓄電池増設に関する変更についても業者に相談し、申請してもらうと良いでしょう。

補助金の申請

蓄電池を後から設置するのに補助金の申請が可能です。補助金を申請すれば設置費用を少しでも安くできるのでオススメです。代表的なものが3つあります。

①災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金
②VPP補助金
③自治体の補助金
3つの補助金について解説していきます。

災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金

災害時に活用可能な家庭用蓄電池システム導入促進事業費補助金は一般社団法人環境共創イニシアチブ(Sii)によって交付されている補助金です。国の補助金との併用はできませんが、自治体の補助金とは同時に利用できます。

災害による停電が長期化した時に備え、太陽光発電と家庭用蓄電池システムを組み合わせ、電力の供給源の分散化を実現し、家庭用蓄電池システム設置時の費用の一部を補助します。災害時に活用可能だと考えているため、10kW未満を併設する家庭用蓄電池が対象です。

この補助金は蓄電池の種類や容量によってもらえる金額が異なります。
①災害対応型蓄電池:2万円/1kWh
②ネットワーク型蓄電池:4万円/1kWh
③周波数制御型蓄電池:4万円/1kWh

蓄電池の補助金は1kWhにより金額が異なります。容量が大きければ大きいほど補助金額も高額になるのです。しかし最高60万円という上限が設けられており、際限なく補助金がもらえるわけではありません。

また、この補助金制度では工事費も蓄電池の種類によって上限額は異なりますが、補助金が支給されます。
①災害対応型蓄電池:工事費の1/2以内(上限5万円)
②ネットワーク型蓄電池:工事費の1/2以内(上限7.5万円)
③周波数制御型蓄電池:工事費の1/2以内(上限10万円)
ちなみに、SIIの補助金制度では、工事費の補助金も支給されています。こちらも、蓄電池の種類によって上限額が異なります。

しかし、この補助金は2020年7月21日をもって申請合計額が予算合計額に達したので2020年度は終了してしまいました。追加公募も締め切ってしまったので、2021年度にまた公募があるのを期待しましょう。

VPP補助金

VPP補助金とは需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業費補助金の事です。点在する小規模な省エネ発電や蓄電池、燃料電池などの設備と電力の需要を管理するネットワークシステムをまとめ、IT技術によって制御する機能をVPP(Virtual Power Plant)と言います。つまり、VPPとは家庭や民間企業を小規模な発電施設とし、それをひとつにまとめてあたかも一つの発電所のように機能させようという構想のことです。日本語では仮想発電所と呼ばれています。

1つ1つは小規模な電力でもまとめて管理をすれば、大規模な発電設備に匹敵する電力となります。これまで電力を使用するだけだった消費者が自家発電により供給プレイヤーになる事を可能にするのがVPPなのです。

家庭用蓄電池は小規模な発電施設の中に含まれますので、補助の対象となります。VPP関連補助金制度が適用されると最大で23.6万円の補助金と地方自治体の補助金が受け取ることができます。

自治体の補助金

蓄電システムに対し、全国の都道府県、市町村が独自に補助金を出しています。しかし補助金制度の有無に関しては各自治体によって異なるので全ての地域で補助金が受けられるわけではないのでご注意ください。

例えば、東京都足立区の場合、蓄電池・HEMS設置費補助金があり、2021年2月26日締め切りで、補助対象経費の1/3に相当する額(上限5万円)が申請すると補助金として受け取れます。
東京都荒川区の場合、令和2年度エコ助成金交付制度があり、2021年2月25日締め切りで、蓄電池の容量1万円/kWhが助成単価(荒川区の内業者と契約・施工する場合は上限15万円、区外業者だと上限10万円)となります。
東京都北区の場合、新エネルギー及び省エネルギー機器等導入助成があり、2021年2月26日締め切りで、定置型リチウムイオン蓄電システムの1万円/kWhが助成単価(上限6万円)となります。

東京都だけでなはく、他にも自治体の補助金はありますので、情報を知りたい場合は管轄の地方自治体に問い合わせをするか、自治体HPなどで調べてください。最新情報を知りたい方は販売店に見積もりを依頼して、直接詳細を聞くのがオススメです。

3つの補助金も含め、補助金は予算がなくなり次第終了となるので、申請を検討している方は早めに計画を立て、実行しましょう。

まとめ

蓄電池に必要な届出や申請について解説してきました。以下まとめになります。

・太陽光発電の後付けに蓄電池を導入した場合、FITの変更認定申請と電力会社との接続契約にかかわる申請が必要
・FITの変更認定申請をしないと不当に電力を売電しているとみなされ最悪FITを取り消しされてしまう
・蓄電池の導入には補助金申請をするとお得である

FIT変更認定申請も電力会社との接続契約にかかわる申請も手続きがめんどうくさいと思われるかもしれません。しかし、自分で悩んでするよりは蓄電池の業者や代行会社に相談・依頼し、手続きをしてもらうとスムーズに進みます。
補助金の申請は予算額に達してしまうと即終了してしまうので、蓄電池導入を検討されている場合、早めに計画をしなければいけません。どうしてもわからないことがあればこちらも業者に相談するのがいいでしょう。
以上、蓄電池の届け出と申請についてでした。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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