蓄電池を水害から守る3つの方法!水没した蓄電池の危険性と補償とは

太陽光発電システムと蓄電池の組み合わせは、台風や自然災害による停電時に非常用電力や自家発電・自家消費として人気が高まりつつあります。しかし、自然災害のせいで太陽光パネルが暴風で飛ばされる、水害で蓄電池システムが壊れるなど、トラブルが起こってしまうと電気を使う事ができなくなってしまいます。
地震などの家屋崩壊や太陽光発電、蓄電池設備の故障を防ぐのは難しいです。しかし、暴風などの外から直接パネルに影響を与える場合や浸水などによる蓄電池水没はある程度対策を練る事が可能です。
住宅用の太陽光パネルは、基本的に販売元が強風対策を行い販売可能であるという基準を満たしたものだけが出回っているため、設置の段階でほぼ完璧な対策が施されていると言えるでしょう。しかし、蓄電池の水害は利用者が防がなければいけません。どうすれば蓄電池を水害から守り、いざという時に使えるのか。今回は災害前に行っておきたい、水害から蓄電池を守る方法を解説していきます。

蓄電池が水没した場合起こる危険性

蓄電池が水没、または一部水没してしまった水害の際にどうなるのでしょうか。
考えられる危険性は以下の通りです。

・有毒ガス発生
・固定金具破損による転倒
・内部の電池が損傷したことによる発熱・発煙・発火
・電線損傷による感電
・電池から電解液が漏れ出す

蓄電池は中に電気を蓄電します。そのため、水没すると内部の回路がショートしてしまう可能性が大きく、水害は蓄電池の天敵と言えます。
いったん水没した蓄電池やパワーコンディショナ等は、乾燥しているように見えても、水分や泥が残っている可能性が高いです。そのため、使用すると発火するかもしれず、大変危険です。水没中、浸水が引いた後でも危険ですので、再使用・処分する場合は触ろうとしないで、販売店や施工店、またはメーカーなどにすみやかに連絡を取りましょう。
万が一、液体が目や皮膚に付着したときは、すぐに大量のきれいな水で洗い流し、傷害を起こす恐れがあるため、医師の診断を受けましょう。

蓄電池を水害から守る対策

近年、自然災害が増加し、停電時の非常用電源として有効なはずの蓄電池が豪雨などの災害時に浸水してしまい、いざという時に給電が行えないといったリスクが高まってきています。
蓄電池を水害から守るためにできる事は3つです。
①屋外設置タイプは避ける
②屋内設置にしてみる
③壁掛けを導入する

①屋外設置タイプは避ける

蓄電池はパワーコンディショナよりも重量が重いものが多く、基本的には地面設置となり、水没の影響を気にかけなければいけません。
蓄電池は水だけでなく、湿度や高温、直射日光にも弱いので、屋外に設置できる場所は限定されます。直射日光が長時間当たると蓄電池が熱されて高温状態になり、劣化の促進や発火等の事故原因になります。
蓄電池の設置場所は、浸水や水没を避けるためにコンクリート基礎を打って、嵩上げして地面から若干レベルの高い位置にし、そこに金具で蓄電池を固定します。何故なら、地面が雨などで弱くなって自重で沈まないように、地震によって転倒しないように固定して安定させるためです。
蓄電池は一度設置すると動かすことが難しいでしょう。水害を見越して屋内に変更したくても、金具を取り外す手間や配線などをリセットしなければいけないなど現実的ではありません。また、足場を底上げして水害対策できたとしても、外にある限り雨風や砂にさらされるため、雨避けや蓄電池を囲う小屋などがなければ劣化が早まっていくでしょう。また自然災害などの影響を受けやすいため、蓄電池を屋外設置にするのはあまりオススメとは言えないでしょう。

②屋内設置にしてみる

屋内に設置する場合、適度な換気や熱・湿気がこもらない環境と設置しても抜けない床が条件となります。電池の内部温度が上昇してしまうと、発火や破裂する恐れがあるからです。換気が十分ではない密閉空間階段下の物置スペースやクローゼットの中、湿気が多い脱衣所や洗面所は設置場所には向いていません。しかし、屋内設置は直射日光が当たらず、メーカーや型式によりますが、蓄電池の運転音はほとんどが35db〜40dbほどです。これは図書館の中や閑静な住宅街ぐらいの静かさであり、エアコンの室外機よりも静かです。そのため、条件を満たしているのであれば、寝室以外の部屋に設置しても大丈夫だと言えるでしょう。
ただし、蓄電池は50kg~150kgほどあるため、設置場所によっては床面の補強工事が必要になります。

しかし、屋内設置も100%水害から蓄電池を守れるわけではありません。何故なら、台風による床上浸水が起こってしまえば、2階にでも設置していない限り蓄電池は水没してしまいます。蓄電池の重量を考えると2階に設置は困難であり、床上浸水が起こっている状況下で蓄電池の水没を気にしている暇などなく、速やかに避難しなければいけません。また、1階の屋外のパワーコンディショナが浸水してしまえば使えなくなります。
しかし、そういった状況でない限り、屋内設置は水没対策として最良の選択だと言えるでしょう。

③壁掛けを導入する

蓄電池は重たいため、壁掛けは難しいとされていましたが、近年壁掛けタイプのものも出てきています。壁掛け設置により、蓄電池の水害リスクを低減する事が可能です。

オムロンは防水対策として壁掛け可能な9.8kWhの蓄電池ユニット「KP-BU98B-S」を開発しました。
「KP-BU98B-S」は屋内外設置可能であり、床起き、壁掛けどちらでも設置できます。大きさが490mm×740mm×295mm、重さは約102kgであり、屋内の場合は壁面に床置き、ネジ止め、屋外の場合は壁掛けまたはアンカーボルト固定による自立設置となります。

他にも壁掛けの蓄電池はたくさんあります。壁掛けを設置場所として選択できれば、家の中に設置しなくても安心して屋外に設置する事が可能です。床下との高さもあるため、洪水が起こらない限り水没する事は少ないのではないでしょうか。

水没に対する保証

屋内、または屋外に蓄電池を設置して水害により壊れてしまった場合、火災保険が適用される可能性が高いです。詳細については加入されている保険会社に一度問い合わせてみるのがいいでしょう。また、洪水時の製品保証が心配な方は、動産保険付きの蓄電池を選んでおけば保証してもらえます。
災害による故障の場合は自然災害補償があります。各メーカーが定める範囲の自然災害補償が適用されますので、工事代も含め全額補償となるケースが多いです。ただし、補償額上限は各販売店によって変わりますので、気になった方は一度問い合わせてみるか、各HPのQ&Aコーナーを覗いてみるといいでしょう。適用される自然災害は、火災・落雷・雪災・風災・落下や飛来・衝突・洪水・雹災・盗難などです。豪雨や落雷などで壊れた場合には無償で修理・交換が可能となっています。地震や(地震による)津波や噴火、製品を加工したことによる事故・小動物・虫食いなどによる損害などは対象外ですのでご注意ください。

自然災害補償が適用されるメーカーを購入しても、それを販売している販売店が自然災害補償に加入していなければ水害による補償は受けられません。小さな販売店などは加入していない可能性がありますので、購入の際には販売店の自然災害補償加入の確認を必ずしましょう。また、メーカーの規定に沿った工事をしていない場合も補償の対象外となってしまいます。販売店と施工業者選びは実績のある所にお願いする事をお勧めします。
また、蓄電池には無償のメーカー保証が10~15年付いている場合が多いのですが、自然災害による破損は非対応のためご注意ください。

まとめ

蓄電池を水害から守る方法について解説してきました。以下、まとめになります。

・浸水してしまったら危険なので絶対に触らず、販売店や施工店、またはメーカーなどにすみやかに連絡する
・壁掛け設置の場合、屋外設置でも水害のリスクは軽減する
・水没しても困らないよう、蓄電池購入時は自然災害補償に加入している販売店、規定にあった施行をしている施工業者を選ぶ

蓄電池をせっかく導入しても、災害などによる浸水で水没してしまえば、いざという時に非常用電源としての役目を果たせません。蓄電池自体が精密な機械ですので、水だけでなく、高温多湿、塩害、低すぎる気温に弱いため、使用する人間が工夫を凝らして水害から守る必要があります。屋外に設置する場合は蓄電池用の小屋や日よけ、水没しない高い基礎を設置する、屋内に置く場合は蓄電池が弱る場所に設置しない、そして壁掛けの蓄電池導入を検討してみる。この3つの工夫によって蓄電池を水害から守ることができるでしょう。
蓄電池が水没、浸水してしまった時に備え、事前に自然災害補償や火災保険に加入しておく必要もあります。実際に水没した場合、水が引いた後の蓄電池は感電、有毒ガス、火災、液漏れなどの危険性があるため、触らずに販売店や施工店、またはメーカーなどにすみやかに連絡を取りましょう。
水害から蓄電池を守る方法は人間でしか実行できません。ぜひこの記事を参考にして、いざという時に備えて蓄電池を水害から守りましょう。

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蓄電池コンシェルジュは、蓄電池を購入しようとお考えの方々に、蓄電池を活かした暮らしをするための上質なコンシェルジュサービスをご提供しております。再生可能エネルギーに理解のある方々にご利用頂くことが「脱炭素社会」実現へのカギとなります。蓄電池コンシェルジュは、文化的、社会的資産を後世に引き継ぎ、社会的責任としての取組みのみならず、日本の人口減少と地球温暖化の危機を救うためのお手伝いをさせて頂いております。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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