いざという時にできる蓄電池の停電対策と何日もつかについて

家庭用蓄電池を導入する大きな理由として災害への備え、停電対策があります。災害が発生し、電線が切れて何週間も停電になると電気のない生活を送らなければいけません。しかし、家庭用蓄電池があれば節約次第で電気のある生活を長引かせることができます。停電時にどれくらい電力を使えるのか。それは蓄電池を選ぶ最大のポイントとなるでしょう。それには蓄電池についてある程度知識がなければいけません。そこで今回は蓄電池を導入してどのような停電対策を立てればいいのか、また何日もつのかを解説していきたいと思います。

蓄電池の停電対策

停電時、必要最低限な生活を送るのに必要な電気機器は以下になります。
・エアコン
・冷蔵庫
・照明
・電気ケトル
・電子レンジ
・スマホの充電

エアコンがなければ、夏は熱中症で命を失う可能性もあります。冷蔵庫は電源がなければ中の物が傷みだし、食料を保存できません。また、スマホは情報確保のために必要なツールとなるので充電する必要があります。電気ケトルや電子レンジは非常食を食べるのに必要ですし、寒い冬には温かいものを体内にいれるだけで不安は取り除かれます。これらを動かすには最低8~10kWhの蓄電池が必要です。

長時間にわたって熱を発生させるこたつや電気ストーブ、エアコンを我慢すれば7kWhでも1日は過ごせそうですが、災害はいつまで続くかわかりません。電気ケトルやヘアドライヤーも消費電力が大きく、蓄電池での利用には向いていません。そうなるとポータブル蓄電池では容量が小さく、数週間電気のある生活を送るには苦しくなってきます。そこで、定置型の家庭用蓄電池が必要となってくるのです。

蓄電池にも使える電力に限界があります。停電時に節電せずに普段通り使っているとすぐに電力はなくなってしまうでしょう。停電時の対策として、絶対にこれは必要だという電化製品を絞って、使わない電化製品のコンセントは抜いておきましょう。
停電時は蓄電池の残量を確認しながら電気を使い、付属の蓄電池管理のモニターやアプリで残っている電力をどの電化製品に利用すべきか考えて使いましょう。

蓄電池があるのに電気が使えない時の注意点

蓄電池があるのに停電時に電気が使えないとなるととても焦りますよね。そうならないための注意点を解説していきます。

蓄電池を自立運転へ切り替える

①主電源のブレーカーを切る
②太陽光発電のブレーカーを切る
③パワコンの運転モードを自立運転モードへ切り替える

停電時、ブレーカーの電源が入った状態で停電が終わり、電力会社からの通電が開始されて電化製品が動き出すと火災になる可能性があるので、安全のために主電源ブレーカーを切ります。

続いて太陽光発電のブレーカーの位置を確認し、それも切ります。太陽光発電のブレーカーの位置はだいたい屋内の壁面に設置している場合と屋外のパワコンに設置している場合と2通りあります。

蓄電池の運転モードは普段経済モードになっています。経済モードは太陽光発電の売電を優先するモードで、FIT契約中(固定価格買取期間中)で売電価格が高い方におすすめとなっています。停電時、経済モードのままでは貯めていた電力を使うことはできません。自立運転モードへ切り替える事によって蓄電池の電力が使えるようになります。自立運転モードは日が沈むと運転が自動的に停止し、翌朝太陽が昇っても自動的に運転することはありません。次の日になっても停電が直っていない場合は手動で自立運転モードへ切り替えなければいけません。

蓄電池には、停電を検知して自立運転へ自動切り替えする機能が備わっています。基本的には秒単位で切り替わりますが、メーカーや機種によっては自動切り替え機能がなかったり、手動で切り替えるものもあるのでご注意ください。停電時に切り替え方法がわからなくて蓄電池を使えなかったら意味がないので、事前に蓄電池の設定と自立運転モードへの切り替え方法を確認しておきましょう。

蓄電池のタイプで使える電気機器が異なる

蓄電池には大きく2種類のタイプがあります。
①全負荷型
②特定負荷型

全負荷型は蓄電池の電力により家を丸ごと包み込んで電気が使えるタイプで、いつも通りの生活が送れるという安心感があります。しかし、その分多くの電力を使うので、蓄電池の減りは早くなります。全負荷型は太陽光発電と組み合わせることで、停電時に1~2週間は電気のある生活を送ることができます。

特定負荷型は、設置時に決めた特定の部屋や電化製品以外の電気が使えません。使える範囲が絞られてしまいますが、全負荷型よりも長時間蓄電池を使えるので、停電が長引いた時にとても助けになるでしょう。停電が起こった際、通電設定をしていない部屋の電気が使えなくても蓄電池の残量が少ないのだと勘違いしないように、使える部屋と電化製品を普段から確認するようにしましょう。

出力の大きい電化製品はできるだけ使わない

エアコンやIHクッキングヒーターなどの家電製品は200Vもあるため、蓄電池の自立運転出力が足りずに利用できない可能性があります。利用する場合は注意してください。
自立運転で利用する蓄電池の最大出力の値は容量とは別に決定されています。水槽に貯めた水量が容量とするのなら、蛇口から出せる水の量が出力と考えてください。

蓄電池から一度に利用できる電力は最大出力が上限となります。
停電時に蓄電池の電力を使用する場合、出力が大きい電化製品を使用すると蓄電池の最大出力を超えてしまうため利用ができません。最近では200Vの電化製品対応で、自立運転の最大出力が大きい蓄電池も増えつつあります。この機会にぜひ導入を検討するのもいいかもしれません。

蓄電池は何日もつのか

蓄電池は日常や非常用電源としてとても役立ちます。しかし、利用時間は容量によって大きく左右されるので、一体どれくらいの電力が必要なのかあらかじめ知っておく必要があります。
必要な電力量は必要な電力×時間でわかります。
たとえば照明(100W)と冷蔵庫(200W)、スマホの充電器2台(30W)を24時間使用する場合、330W×24=7.92kWhとなります。
8kWhの容量を持つ蓄電池であれば、停電しても1日は普段通りの生活を送ることが可能です。照明、テレビ、スマホの充電、冷蔵庫を使いたい場合は11.1kWの蓄電池であれば24時間利用可能でしょう。
しかし、消費電力が多い家電はより大きな容量の蓄電池を必要とします。蓄電池は電気料金の安い時間帯に電気を貯蓄し、必要時に使うものなので、蓄電池単体しか導入していない場合、停電時に電力を蓄電池へ貯蓄することができなくなってしまいます。そうならないために、太陽光発電と組み合わせて導入するのがおすすめです。太陽光発電は日中に太陽光で発電し、余った電力を蓄電池に貯蓄できるので、停電時にも蓄電池から電気を給電することができます。

太陽光発電×蓄電池×燃料電池があれば10日間確保できる

停電は台風や劇的豪雨、地震だけでなく、落雷や瞬電などによっても起こります。災害時など1~2週間電気が復旧しない可能性もあるので、防災として食料などを最低1週間は備蓄しておくのがいいと言われています。
停電時でも自宅で何日過ごせるのか、その対策として電気をつくる太陽光発電と燃料電池、そして電気を貯める蓄電池を組み合わせる全天候型3電池連携システムが注目を集めています。

地球温暖化が問題になり、2015年のパリ協定で温室効果ガスの削減目標が国ごとに決められました。CO2の排出量を減らすためには、太陽光などの再生可能エネルギーで電気を作る創エネと省エネが必要です。2009年に発売されたエネファームは、創エネと省エネの両面を併せ持ち、広がっていきました。全天候型3電池連携システムとは、エネファーム+太陽光電池、太陽光発電+蓄電池の発展形として3つの電池を組み合わせたタイプのことです。

3つの電池にはそれぞれ弱点があります。
①エネファームは定格出力700Wなので、停電時ガスが通っていれば発電可能ですが、エアコンなど高出力のものが使えません。
②太陽光発電は停電時に悪天候が続くとあまり活躍できません。
③蓄電池は貯蓄した電気を使い切る可能性があります。

この3つの弱点を補い合って長所を活かそうという発想から生まれたのが全天候型3電池提携システムです。長期間停電が発生しても日常に近い生活が送れることを目標としています。リビングなど家の特定エリアに絞れば、雨天時でも約10日間暖房・給湯を確保でき、冷蔵庫などの電力消費が多い家電も使えます。
エネファームはガスで発電を行うので、停電時も継続運転ができます。また、ガスが止まっても全天候型3電池提携システムなら蓄電池と太陽光発電で補えます。

エネファームは発電時にできる熱で作ったお湯を温水式床暖房の熱源としても使うことが可能です。室内を早く温めるためにガスを燃焼させますが、一定の時間が経過するとエネファームの貯湯タンクに貯蓄されたお湯の熱で床暖房の温水を温め始めます。ガスの消費量や料金を気にせず一日中床暖房をつける事も可能です。もし停電になってエアコンの電力を抑えたいとなった時、これがあると床暖房が使えてとても暖かく過ごすことができます。

まとめ

いざという時にできる蓄電池の停電対策と何日もつかについて解説してきました。以下まとめです。

・一日を過ごすのにどれくらい電力が必要かあらかじめ計算して備えておく
・8kWhあれば普段通りの生活が24時間保てる
・太陽光発電×蓄電池×燃料電池があれば10日間確保できる

蓄電池を停電時の備えとして用意していても、その時になって使えなければ意味がありません。急に停電になっても蓄電池の正しい普段から使い方を確認し、停電が長期化しても大丈夫なように電力の分配を考えましょう。以上、蓄電池と停電対策でした。

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蓄電池コンシェルジュは、蓄電池を購入しようとお考えの方々に、蓄電池を活かした暮らしをするための上質なコンシェルジュサービスをご提供しております。再生可能エネルギーに理解のある方々にご利用頂くことが「脱炭素社会」実現へのカギとなります。蓄電池コンシェルジュは、文化的、社会的資産を後世に引き継ぎ、社会的責任としての取組みのみならず、日本の人口減少と地球温暖化の危機を救うためのお手伝いをさせて頂いております。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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