真冬の災害対策に蓄電池は必要不可欠? 北海道でも設置を工夫すれば自家消費自家発電できる!

冬に電気がストップしてしまうと、命の危険に関わります。特に北海道では気温がマイナスまで下がり大変なことになります。もしもの時に備えられるのが蓄電池です。今回は冬の蓄電池について解説します。

真冬の災害は危険

地震などの災害で家が崩壊した場合、学校や公民館での避難所生活が始まりますが、だいたいの施設は防寒設備が整っていません。真冬の災害で特に危険なのは体温が下がることです。体温が低下してしまうと思考力が低下し、自分の体調の変化に気づけない可能性もあります。
しっかりと防寒対策をしなければ低体温症になったり、最悪の場合、風邪をこじらせて死ぬ可能性もあります。北海道などの場合は凍傷になる可能性もありますので、冬に被災した場合はしっかりと防寒対策準備を持ち込んで避難する必要があるということを覚えておきましょう。

学校で導入されつつある太陽光発電設備と蓄電池

どんなに防寒対策をしても毛布やカイロだけではいずれ限界が来て、暖房器具が欲しくなりますが、暖房器具はどれも電気が必要です。石油ストーブは近くの人を温めることはできても、避難所の中全体は暖かくできません。そのため避難所にも必要といえるのが、蓄電池です。

2013年~2015年、さいたま市では市立の152校(小学校93校、中学校54校、高等学校5校)に太陽光発電設備と蓄電池が導入されました。
文部科学省も「太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン」において、学校へのこの動きを推進しています。

災害用ポータブル蓄電池を選ぶポイント

避難所に蓄電池が導入されていたとしても、温かいお茶がいつでも飲みたいなど、個人的に使えないことがあるかもしれません。その場合、持ち運びができる災害用ポータブル蓄電池がオススメです。災害用ポータブル蓄電池を選ぶポイントは以下の通りです。

電気容量900VA以上のものを選ぶ

1つ目が「電気容量900VA以上のものを選ぶ」ことです。

充電器に蓄電されている電気量と使える電気料はイコールではありません。
送電の際、微量に放電される分があるため、コンセントをつなぎっぱなしにしていると電気量は減少してしまうからです。
通信機器などのライフラインをまかなえる900VAが災害時に最低限必要な電気容量とされていますので、900VA以上の容量があるものを選びましょう。

持ち運びできる重さにする

2つ目が「持ち運びできる重さにする」ことです。

ポータブル蓄電池はあまりにも重すぎるものだと持ち運びができなくなり、いざという時に使えない可能性があります。
一般的に持ち運びしやすいのは5キロ以内らしいので、この重さを目安に選ぶようにしましょう。最近では移動がしやすいスーツケース型のものも販売されています。

知名度が高いメーカーや口コミで評価の高いものを選ぶ

3つ目が「知名度が高いメーカーや口コミで評価の高いものを選ぶ」ことです。

ポータブル蓄電池は、リチウムイオンバッテリー内蔵のものが多いため安全性には十分注意する必要があり、夏場や冬場など気温によって使えなくなってしまうものもあります。
蓄電池は電気用品安全法の技術基準に沿って作られている「PSEUDO検査」に合格していることが基本ですが、たとえ合格していても安すぎる製品はほかの部分で欠陥がある可能性が出てきます。そのため、保証書がきちんと付帯されていて、十分なサポート体制などが整っているかの確認と周囲温度への対策が必要となります。対応できる仕様となっていても、実際に使う環境によって使えなくなってしまうこともあるため、知名度が高いメーカーや口コミで評価の高いものを選ぶのがおすすめです。

使う家電に応じて出力波形を選ぶ

4つ目が「使う家電に応じて出力波形を選ぶ」ことです。

出力波形には2種類あり、それぞれ対応する家電が違います。

・正弦波:テレビや冷蔵庫などの大型家電、パソコンや電子レンジなどの精密機器に使われ、用途が広い
・矩形波:照明や扇風機など電気消費量が小さい家電に対応し、大きな電力を使わない

太陽光パネル充電が可能なものを選ぶ

5つ目が「太陽光パネル充電が可能なものを選ぶ」ことです。

ポータブル蓄電池は場所を選ばず電源を使えますが、バッテリーがなくなってしまうと充電しない限り電源を使うことはできません。災害時は充電できるかわからないため、バッテリー切れ対策として太陽光パネル充電が可能なものを選んでおきましょう。

蓄電池は寒さに弱い

蓄電池のバッテリーに使われているリチウムイオン電池は寒さにも暑さにも弱いです。
リチウムイオン電池の正常動作可能な周囲温度は、-20~45℃です。0~35℃の温度範囲内での使用が推奨されており、 16~25℃が最も理想的な使用温度範囲です。

低温環境で使用すると、電池の使用時間は普段より短くなります。この現象はあらゆるリチウムイオン電池の特徴です。

バッテリー内部では、バッテリー液(希硫酸)が化学反応を起こすことによって電気の充電や供給を行います。
しかし、温度が低くなると化学反応が鈍くなってバッテリーの性能が下がるため、機器自身を温めるほどの電流を流すことができず、電気を蓄える力が弱まり、最低限の電圧すら確保できなくなってしまいます。

特に0℃以下の低温では充電を停止してしまうため、充電時の環境は必ず0℃以上でなければいけません。気温が-10℃以下になると蓄電池の動作(充電・放電)が停止してしまうからです。
推奨使用温度範囲に戻らないまま動作させると、バッテリーに回復不能な損傷を与えてしまう危険性がありますので、氷点下などで機器を凍らせたまま充電しないようにしましょう。
これは一時的な現象ですので、電池温度が推奨使用温度範囲に戻ると性能も回復します。

冬場に氷点下になる地域で蓄電池を使うのであれば、-20℃まで動作保証されている寒冷地エリア対応蓄電池を選びましょう。寒冷地エリア対応蓄電池は希望するタイプによって異なります。太陽光発電もこれから設置される方にはハイブリッド型蓄電池、既に太陽光発電が設置済の方には単機能型蓄電池がオススメです。

冬の北海道における産業用蓄電池のメリット

本州では夏の電力需要が大きくなりますが、北海道の場合、電力需要は夏より冬の方が大きくなります。11月から需要が増加し、12月から2月にかけて年間ピークが発生します。
北海道電力ネットワークによると、北海道の2021年の電力需給見通しは電力の安定供給に必要な最低限の予備率3%以上を確保できる見通しとなっています。

電力の需給バランスは「同時同量」でなければなりません。これらの量が常に一致していない場合、安全装置の発動によって発電所が停止してしまい、場合によっては予測不能な大規模停電をまねく可能性があるため、蓄電池などで備える必要があります。企業などの場合、パソコンやサーバーなどビジネス用途で使うため、万が一停電になっても無瞬断で継続的に電気使用ができる業務用蓄電池がオススメです。

北海道の冬季の電力使用量が多い時間帯は約13時間(520万kW以上)、ピーク時間帯は約7時間(540万kW以上)と長く、一般の蓄電池ではピークシフト対応が困難です。
しかし、業務用蓄電池「ESSP-3000シリーズ」なら約1.8kWhの蓄電池で600W負荷の場合、商用電力併用モードで長いピーク時間帯に対応できます。

・40%放電(60%商用電力使用):約7.5時間対応可能
・20%放電(80%商用電力使用):約15時間対応可能

ピークカットの量は少なくなりますが、確実にピークシフトが可能です。
また、太陽光パネルとの接続で商用電源の使用を抑え、積極的な節電も可能であり、経産省の「定置用リチウムイオン蓄電池導入促進対策事業費補助金」の交付も受けることができます。

冬の北海道で蓄電池設置には工夫が必要

日本において、北海道に太陽光発電設備と蓄電池を屋外へ設置した場合、冬の寒さに耐えられるように工夫して設置しなければいけません。

システム容量5.31kwの太陽光パネルの場合、無落雪屋根に架台を使用して屋根から浮かせ、雪が落ちるように傾斜を強めにして設置します。

今回使用した蓄電池は動作下限が±0℃までであり、その性能を補完するため以下の対策を行いました。

・日本初の「北海道オリンピアオリジナル蓄電池ケース」を使用
・150Wのヒーターを使用して、±0℃以下にならないように自動制御装置を使用して保温

この設置方法での初年度の年間発電量結果によりわかったことは以下の通りです。

・冬も発電量がまったくないわけではない
・最大発電量が5月、最小発電量が12月であり、発電量は必ずしも気温とは関係がない
・冬場でも約50%の電力はまかなえているので、もし停電したとしても給湯や調理は電気、暖房は灯油など、その他は電気以外を使用できる
・冬の北海道でも太陽光パネルと蓄電池の置き方を工夫すれば自家発電自家消費できる
・熱源をうまく組み合わせれば、非常時にもたくさんのライフラインを守ることができる

しかし、オール電化の場合、停電時に暖房までをまかなうのは厳しいかもしれません。

現在、北海道電力では2021年7月1日から2022年2月28日までエコ替えキャンペーンの申し込み期間となっています。行っている補助内容は以下の通りです。

・容量150l以上の電気温水器からエコキュートまたはネオキュートに変えると50,000円補助
・蓄熱暖房機、融雪電力用暖房器から寒冷地用エアコンまたは、ヒートポンプセントラル暖房に変えると50,000円補助
(蓄熱暖房機・融雪電力用暖房機を設置したままでもキャンペーン対象)

もし停電時にも暖房を使いたい場合は、暖房として活用できる寒冷地仕様のエアコンの導入をオススメします。

まとめ

今回は冬の蓄電池について解説しました。以下、まとめになります。

・冬の避難所には蓄電池が必要であり、個人には災害用ポータブル型蓄電池がオススメ
・蓄電池のリチウムイオン電池の正常動作可能な周囲温度は-20℃~45℃であり、それ以下になると一時的に動作停止してしまうが、正常な数値に戻れば性能も回復する
・冬の北海道でも太陽光パネルと蓄電池の置き方を工夫すれば自家発電自家消費でき、熱源をうまく組み合わせれば非常時にもたくさんのライフラインを守ることができる

冬の蓄電池のメリットは、氷点下の中、停電が起こったとしても、太陽光発電設備と組み合わせることで電気が使えることです。電気が使えると、暖房機やケトルなどの家電を使えるため、真冬の避難所での凍傷や低体温症のリスクが下がります。
冬の蓄電池は氷点下では動作を停止するなど寒さに弱いですが、一時的な現象ですので、電池温度が推奨使用温度範囲に戻ると性能も回復します。人間も蓄電池も寒さと暑さには弱いです。そのため、お互い性能を十分発揮できるよう対策を立て、いざという時に備えておきましょう。

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蓄電池コンシェルジュは、蓄電池を購入しようとお考えの方々に、蓄電池を活かした暮らしをするための上質なコンシェルジュサービスをご提供しております。再生可能エネルギーに理解のある方々にご利用頂くことが「脱炭素社会」実現へのカギとなります。蓄電池コンシェルジュは、文化的、社会的資産を後世に引き継ぎ、社会的責任としての取組みのみならず、日本の人口減少と地球温暖化の危機を救うためのお手伝いをさせて頂いております。

蓄電池コンシェルジュは皆さまの人生をより豊かにする蓄電池をご提案させて頂きます。皆さまのご利用を心よりお待ち申し上げております。

蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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