蓄電池の耐用年数と寿命は?寿命を長引かせる4つの方法!

家庭用蓄電池は災害時の非常用電源や日々の電気代節約などメリットは多いです。年々、本体価格も下がってきていますが、それでも高い買い物だと言えるでしょう。

せっかく蓄電池を購入してもいざという時に寿命が来てしまって使えないとなるとすごく困りますよね。蓄電池は何年くらい使えるのか、寿命はどれくらいあるのか。この2つを知ることはコストパフォーマンスにも関わってくるでしょう。

そこで、今回は家庭用蓄電池の寿命の目安について解説し、さらに、できるだけ長く使うためのポイントや、初期費用を抑えて導入するコツについても紹介したいと思います。

蓄電池の寿命と耐用年数

「サイクル回数」によって家庭用蓄電池の寿命は表されます。
サイクル回数とは「満充電から完全放電までを行った回数」のことを指しています。

・満充電:蓄電池に残量100%まで充電すること
・完全放電:蓄電池が残量0%になるまで放電すること

つまり、100%まで充電した蓄電池を0%まで放電して完全に電気を使い切った状態が「1サイクル」としてカウントされます。それを何回繰り返すことができるかを表したものをサイクル数と言います。蓄電池はサイクル数を重ねるごとに少しずつ劣化していきます。

ただし、正確にはメーカーごとに定められている「放電深度」によって「1サイクル」の定義が変わります。

1サイクル時に蓄電池を何%まで放電するかを表す値を放電深度といいます。

この放電深度はメーカーによって異なり、放電深度が100%でサイクル回数を出しているメーカーもあれば、80%で出しているメーカーもあります。

たとえば、蓄電池の寿命を6,000サイクルと表記しているメーカーの場合。このメーカーの放電深度が80%だった場合、満充電(100%)から残量20%までの放電が1サイクルになります。

たとえば容量10kWhの2つの蓄電池があります。
A:3,000サイクルで放電深度100%(1サイクル満充電100%から残量0%までの放電)
B:3,000サイクルで放電深度80%(1サイクル満充電100%から残量20%までの放電)

どちらも寿命は同じですが、蓄電池Bは残量20%を見越した寿命なので、20%以下まで放電した場合は蓄電池が劣化して3,000サイクルを下回る可能性が高いため、実質的に使える容量は8kWhとなります。

家庭用蓄電池で使用されるリチウムイオン電池は、基本的に0%まで完全放電すると劣化が早くなってしまうので、放電を残量20%で止めておけばより長く使用できるようになるわけです。

サイクル数は蓄電池の寿命を決める重要な要素です。大容量の蓄電池は蓄電できる量が多いため、充電・放電の間隔が長くなります。そのためサイクル数から導き出される寿命よりも、実際の寿命が長くなる場合が多いようです。

また、蓄電池の寿命は使用環境や使い方によっても変わってきます。メーカーが公表しているサイクル数はあくまでも目安であり、実際の寿命とは違います。使い方によっては、目安となる寿命よりも長くも短くもなるのです。

サイクル数とは、ある程度の蓄電容量を保てる回数イコール「寿命」とされていることも知っておくといいでしょう。

サイクル回数を元に、大体の寿命年数を割り出すこともできます。サイクル回数は、1日1回の充放電を元にしているので以下の式で求めることができます。

寿命年数=サイクル回数÷365

サイクル回数が4,000回の蓄電池の場合は、

4,000÷365=10

約10年が寿命ということが分かります。

ただし、蓄電池のサイクル回数はあくまで目安であり、この計算方法で導き出した寿命は蓄電池のバッテリー寿命です。バッテリー以外の部品劣化により上記の寿命よりも早く故障する可能性がありますのでご注意ください。

サイクル数は蓄電池の種類によって異なり、現在主流といえるリチウムイオン電池の場合は約4,000サイクルが寿命と言われています。毎日使用する場合、寿命は約10年ぐらいでしょう。大容量の蓄電池ほど蓄電できる量が大きくなり、1回に充放電する時間が長くなり、その分耐用年数は長くなります。中には15年程度持つ製品もあります。

蓄電池は、激しい充電や放電をすることで、システム自体が劣化しやすい特性を持っています。蓄電池を使い切った状態で長期間放置すると過放電になり、急激な電圧降下を招き、蓄電機能を損なう原因となります。充電した電気を使い切るのはいいのですが、そのまま蓄電池を放置しておくのは危険です。電池残量が0になったので100%フル充電をさせ、また使い切る、というような使い方を毎日しているとあっという間に寿命が来てしまいます。

スマーフォンやノートパソコンのバッテリーは一度充電したら全て使い切ってから充電した方が寿命は延びるし、継ぎ足し充電は劣化を早めるというのは間違った知識による勘違いです。

継ぎ足し充電が良くないというのは、以前使われていたニッカドバッテリーやニッケル水素バッテリーの話であり、現在使われているリチウムイオンバッテリーでは継ぎ足し充電を意識する必要はありません。
蓄電池に充電した電気を使い切ったまま放置しておくのは間違った使い方です。気をつけましょう。

動画を見たりゲームをしたり、充電しながら負荷がかかる使用方法は劣化を早めてしまいます。夜の就寝時に充電することもできるだけ避けましょう。

何故なら、夜0時に充電しながら就寝すると、1時間程度で満充電となり。電池は小刻みに充放電を繰り返して満充電を維持しようとします。

つまり1サイクルの充放電ではなく、知らないうちに何回も充放電を繰り返してしまう結果となり、サイクル数が変わってくるのです。携帯電話の充電はお風呂に入る前に充電し、100%充電できたら就寝前に充電用ケーブルを抜く方がいいみたいですね。

蓄電池内にある程度蓄電されている状態で充放電を繰り返せば、サイクル回数が増えることを避け、寿命を引き延ばすことができるでしょう。最近では、蓄電池自体を管理するシステムも数多くありますので、うまく活用し、長く安全に蓄電池システムを使用することができるでしょう。

10年間使用、または4,000回充電・放電を終えたからと言って、まったく使えなくなるわけではありません。蓄電池は使用を繰り返していると徐々に使用できる容量が減っていきます。10年経つと最初の頃のように100%の充電ができなくなるだけで、もともとの容量の何割か(70%程度が多い)は使用できます。携帯電話をしばらく使っていると中のバッテリーが劣化して、電池の持ちが悪くなってくるのと同じです。

サイクル回数が過ぎた蓄電池は、メーカーによって異なりますが、大体10~50%ほど最大容量が減少します。元々10kWhの蓄電池を使用していたとしたら、9~5kWhまで減少してしまいます。

寿命が過ぎて容量が10~50%減少してしまった蓄電池を使い続けると、蓄電池の容量は減少し続けます。非常時に備えるのであれば5kWhは最低限あったほうが良いでしょう。

災害などにより長時間の停電になった場合、LED照明や食材を腐らせないための冷蔵庫、情報収集のための携帯充電器、テレビ、パソコンなど、最低限の家電を使用したと想定しても約5,500Wは使用すると想定されます。そのため、蓄電池の容量が最低でも5kWhは残っていないと、1日も保たずに容量が無くなってしまうでしょう。

劣化した蓄電池を無理やり使い続けると、電気の流れが内部でうまくいかずに発火する可能性があります。
発売されているメーカーの蓄電池は、発火しないよう異常検知の機能はほとんど付帯されています。いきなり爆発したりする可能性はきわめて低いですが、ないとは言い切れません。

蓄電池の寿命が10年以上だとしても、蓄電池内の電子部品や基盤が先に劣化してしまう可能性があります。他の部品が壊れてしまうことも考慮して、寿命は約10年と考えるのがいいでしょう。メーカー保証期間も10年が多いので、買い替えるのならその時期を目安に考えるのがいいですね。

蓄電池の耐用年数は6年?

国税庁によると、蓄電池の法定耐用年数は6年となっています。法定耐用年数は、あくまでも税法上の耐用年数のことであり、設備や機器の実際の耐用年数とは異なります。

建物や工場の設備、パソコンなど、古くなれば古くなるほど資産的価値が減る資産を税法上で減価償却資産といいます。この減価償却資産の価値がゼロになるまでの年数が法定耐用年数で、蓄電池の場合はそれが6年ということになります。

法定耐用年数は税法上の概念であり、企業や事業主が税金の処理時に必要な数字です。メーカーの保証が10年、15年となっていることからもわかるように、6年経ったからといって直ちに使えなくなる、使ってはいけないということではありません。

蓄電池システムを設置する場所

蓄電池は熱く、寒い場所に弱いです。温度が熱すぎる場所に設置すると爆発する可能性もあります。また、寒冷地など寒すぎる場所の場合、性能がうまく作動しなくなる可能性があります。これは中で使われているリチウムイオン電池が熱や寒さに弱いからです。更に蓄電池は精密機械なので塩害などの被害にも弱いです。直接日光が当たる場所、高温多湿でホコリやチリが多い場所、風が悪い場所などにも設置はできません。

よって、蓄電池の設置場所は火災が起きた場合に被害を受けにくく、点検が容易にでき、不燃材料に覆われた不燃室が理想的な環境でしょう。蓄電池と受電設備を収められるキュービクル式の金属箱もオススメだと言えます。

設置場所次第では、蓄電池に負担がかかったり、性能を発揮できなかったりし、蓄電池そのものの寿命を縮めることにつながるので注意しましょう。

蓄電池のメンテナンス

保守・点検を定期的に行えば蓄電池の異常を早期発見・寿命予測が可能となります。
蓄電池のメンテナンス時には以下のような項目で診断します。

・放電が適切な電圧で行われているか
・電解液の比重は適当か
・電解液の温度が高すぎないか
・電解液が補充されているか
・外観に亀裂、変形、漏液などがないか
・その他の設備は正常か

こまめなメンテナンスを心がけましょう。

蓄電池システムを長期間使用するための注意

蓄電池システムを長く使い続けるために注意しておきたいことは4つです。
①高温な場所に設置しない
蓄電池を設置する場所は15~25°Cを超えないようにしてください。高温度になると蓄電池の容量を超えて過剰に充電し(過充電)蓄電池を覆う格子が腐食し、リチウムイオンが減少して蓄電池の劣化が進みます。高温状態で充電まで行うと更にこの状況が加速します。

蓄電池の多くは屋外に設置するので、直射日光が当たるような場所は避け、家の北面や東西面がいいでしょう。どうしても南面しか設置する場所がない場合、業者と相談し、日よけや蓄電池を入れておく倉庫などを一緒に設置しましょう。必ず信頼できる業者に設置を依頼してください。また、その他にも、湿度の高い場所、積雪する場所、風通しの悪い場所、塩害地域などは避けたほうが良いでしょう。

②充電時電圧に気をつける
充電時には、電圧を保つようにしましょう。何故なら蓄電池に適さない電圧で充電をした場合、故障や不具合の原因となってしまうからです。適切な電圧は蓄電池や設備によって変わってくるので、事前に調査しましょう。

③こまめな充電を心がける
蓄電池は、充電した電気をすべて使い切る前に、できれば電池が半分くらいになったら充電すると寿命が長持ちします。激しい充電や放電をすることで、システム自体が劣化しやすくなるので、1サイクルで充放電をするより、こまめな充電を心がけることが、蓄電池の寿命を延ばすコツです。

また寝る前にスマートフォンの充電をすると、寝ている間に細かい間隔で放電と充電を繰り返して満充電を維持しようとします。1%にも満たない充放電のため寿命への影響はそんなに無いかもしれませんが、できれば充電が完了したらすぐに充電ケーブルを外すようにしましょう。

定置型蓄電池の場合は、内部のシステムによって充放電を管理するため気にする必要はないでしょう。

④過充電や過放電を避ける
蓄電池の容量を超える過充電や、容量が空になっても放電し続ける過放電は劣化スピードを加速させ、寿命を縮めます。過充電は蓄電池内部が高温になって破裂する危険性を高めます。

しかし、定置型蓄電池や一部のコンセントに接続するタイプの蓄電池は、蓄電池自体のシステムによって自動的に「過充電」や「過放電」を防いでくれるため、このような過充放電が起きる可能性は低いといわれています。

小型のポータブル蓄電池を非常時電源として倉庫や物置で保管する場合、充電は100%の満充電の状態にしましょう。蓄電池は使用していなくても自然に電気が放電してしまうため、充電池が残り少ない場合だと0%になり、過放電状態になって劣化を早めてしまう可能性があります。時々充電が0%になっていないかチェックして、小まめに充電してあげましょう。

使用している蓄電池の寿命や老朽化が来た場合、必ず交換や更新処置をしましょう。そのまま使い続けると、正常に稼動しないばかりか、大事故につながることもあります。

交換や更新処理には専門的な知識や技能が必要不可欠です。劣化診断や交換・更新は必ず蓄電池の技術者、蓄電池設備整備資格者などの専門家に作業を任せましょう。

まとめ

蓄電池の耐用年数と寿命について解説してきました。以下まとめとなります。

・サイクル回数によって家庭用蓄電池の寿命数値はだいたいわかる
・高温多湿な場所を避け、過充電過放電をしないよう小まめに充電を行うのが蓄電器の寿命を延ばすコツ
・バッテリーの寿命が10年だとしても他の部品などが故障して蓄電池の寿命が短くなる場合がある

充電が終わっているのに充電し続けたり、充電が0なのに数日間放置すると劣化が早まり、寿命は短くなります。小まめに充電し、満充電し終われば充電ケーブルを抜くようにしましょう。蓄電池はうまく使えば寿命を延ばすことができます。保証が切れる10年が大体交換時期だと言われています。賢く蓄電池の寿命を延ばしつつ、交換時期が来たら買い替えましょう。是非、いざという時のために蓄電池導入を考えてみてください。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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