蓄電池を使ってピークカット! 負荷を平準化して電気の基本料金を削減しよう

企業は経営をしていく上で、金額の変動が大きい電気料金に神経をとがらせています。電気料金の低減に効果的な手法としては「ピークカット」があるのはご存じでしょうか。近年、照明のLED化や高効率の空調システムの導入、太陽光発電システムを始めとする再生可能エネルギーの導入によるピークカットが注目されています。今回は蓄電池とピークカットについて解説します。

ピークカットとは

ピークカットとは、最も使用電力の多いピーク時の使用電力を様々な方法を用いて「カット」し、電力の使用量そのものを低減させる取り組みを指します。

休日や夜間など、あまり事業所内電力を使わないときに蓄電池に電力を貯め、電力を多く使う時間帯に放電することで、購入電力の最大量(ピーク電力)を削減します。最大需要電力の低減によって、電気の基本料金が安価になり、ランニングコストを低減できるというメリットがあります。

蓄電池を用いて負荷を平準化することで、電気の基本料金を削減することが可能です。
太陽光発電で自家発電自家消費をした場合、一般的に最も電力を使用する昼間の時間帯に太陽光で発電した電力を使用することで、最大需要電力を低く抑えてピークカットにつなげることができます。

ピークカットは、CO2排出量の多い火力発電所の発電電力を減らすことにも繋がり、電気料金の削減効果に加えて地球温暖化対策にもなるといえるでしょう。

ピークカットが広まったきっかけ

ピークカットが広まったきっかけは「東日本大震災」だといわれています。
東日本大震災により、全国の原子力発電所が停止に追い込まれました。これにより節電のためスーパーやコンビニ、大型商業施設、オフィスで節電が推奨され、照明を控えるなど、使用電力の需要が高くなる日中の電気を節減することが、社会全体で大きな課題となり、企業からのニーズが高まっていきました。

電気の基本料金

電力会社が提供するプランによって多少の違いがあったり、基本料金が無料といったケースもありますが、一般的に電気料金は「電力量料金」「基本料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」によって構成されています。
毎月届く明細書には電気料金の内訳や明細が必ず記載されており、電力量料金や基本料金がそれぞれいくらであるのかを確認することができます。

電気料金は一般的に以下のように算出されます。

電気料金=基本料金+電力量料金+消費税+再生可能エネルギー発電促進賦課金

・電力量料金:「その月の使用量」によって算出
・基本料金:「契約電力」によって算出
・再生可能エネルギー発電促進賦課金:「その月の使用電力量」によって算出

電力量料金

電力量料金は、使用した電力量に応じてかかるもので、電力使用量が減れば、料金も下がります。
電力量料金は以下の式で求められます。

電力量料金単価×使用電力量±燃料費調整額

燃料費調整額とは、電気をつくるのに必要な燃料費の変動を電気代に反映させるための項目です。燃料費によって上下します。

再生可能エネルギー発電促進賦課金

再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ発電賦課金)は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)によって、電力会社が再エネ電力の買い取りにかかった費用を電気の利用者が負担するものです。
再生可能エネルギー発電促進賦課金は、以下の計算方法で算出されます。

再生可能エネルギー発電促進賦課金単価(円/kWh)×1ヶ月の使用電力量(kWh)

基本料金

基本料金は契約電力に応じて決まります。そして契約電力は過去1年間の最大デマンドに基づいています。
基本料金算出の式は以下の通りです。

基本料金=単価×契約電力(最大デマンド)×力率割引

基本料金はスマートメーターで30分毎に計測される平均電力の最大値「最大デマンド」に「基本料金単価」を掛け合わせ、力率を考慮することで決まります。

単価は契約時に決まるものであり、この「最大デマンド」が、基本料金を決定する上で非常に重要になります。

力率とは、交流電力の効率に関して定義された値であり、皮相電力に対する有効電力の割合です。つまり、「有効に使える電力の割合」のことです。

最大デマンドとは

最大デマンドとは、「過去1年間で最も電気を使った時間帯(30分間)の使用電気料」のことをいいます。
そのため、基本料金はその月に使用した電気量ではなく、過去1年間で最も電気を使った時間帯の使用量によって算出されます。具体的な数字を使って解説します。

・1月の使用量500kW
・12月の使用量200kW
・最大デマンドは500kW

12月の最大使用量が200kWであったとしても、 最大デマンド は過去1年間の中での最大値になりますので、500kWを基準に基本料金が算出されます。

つまり、最大デマンド値がより高い数値に更新されるたびに、その後1年間の基本料金が値上がりしてしまい、その後一年間は下がらないため、電気をあまり使っていない月でも高い電気料金を支払うことになります。

その対策として蓄電池システムを導入し、最も使用電力の多いピーク時の使用電力を削減することで、最大デマンドを抑制し、基本料金削減が可能となります。

ピークカットの最大のメリット

ピークカット最大のメリットは、「電気料金の削減」です。
ピークカットは、基本料金だけでなく電力使用量自体も減らすことができるため、電気量料金の削減につながります。ピークカットをはじめた翌月の電気料金から削減効果を見込むことができます。

たとえば、1kWを1,269円の基本料金で契約し、蓄電池の使用によって200kWをピークカットしている場合、一年間で約300万円電気料金を削減することができます。

ピークシフトとは

ピークシフトとは、電気をあまり使わない時間帯に電気を貯めておき、電気を多く使う時間帯に使用することです。一般的に電力を多く使用する日中の時間帯から、電力の使用量が少ない夜間などの時間帯にシフトさせて、使用電力を平準化させます。

最も電力を使用する昼間の時間帯に、電力消費の少ない夜間に蓄電池にためておいた電気を放電することで、最大需要電力を低く抑えてピークシフトにつなげることができます。

例えば、昼に多く電気を使う工場や会社の場合、あまり電気を使わない夜の時間帯に、蓄電池などに電気を貯めておきます。
そして昼に貯めた電気を使うことで、ピークカット同様に最大デマンドを下げ、基本料金を下げることが可能です。
また、昼よりも夜の電気代の方が安い為、電気代そのものも下げることができます。

ピークカットとピークシフトの違い

ピークシフトは、電力の使用量そのものを低減させるピークカットとは意味が異なります。
ピークカットとピークシフトの違いは以下の通りです。

・ピークカットは、ピーク時の使用電力をカットするため、使用する電力量そのものが減る
・ピークシフトは、電力使用のピークとなる時間帯を他の時間帯に「シフト」するので、使用する電力量そのものは変化しない

ボトムアップ

ピークカットやピークシフトと似た節電へのアプローチにボトムアップという方法があります。
ボトムアップは、ピークシフトと少し似ており、日中電気を極力使わず、電気料金が安い夜間に電気を有効に使っていく方法です。その結果、日中に使う電気代の節減に繋がるため、ピークシフトとあまり変わりません。

具体的にいうと、従業員の勤務する時間帯を昼間から夜間に変える、電気を使用する機器を積極的に夜間の稼働に切り替えるなどがあります。

ピークカットの導入方法

具体的なピークカット導入方法は以下の通りです。

太陽光発電の導入

1つ目の導入方法は「太陽光発電」です。

太陽光発電の導入は、ピークカットの方法として最もよく知られています。
企業や工場などは、電気を最も使用する時間帯が昼間になるのが一般的です。その昼に使用する電気を自家発電自家消費することで、電力会社から購入する電気を抑え、ピークカットに繋げることができます。

更に蓄電池も導入すれば、電気の使用量が少ない夜間や早朝などに電気を貯めておき使用量の多い日中に使用することで、ピークに使う電気を夜間などにピークシフトすることが可能です。

蓄電池と太陽光発電を併用することによって BCP 対策にもなります。
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、企業が災害などの緊急事態において損害を最小限に抑え、中核となる事業を継続または早期復旧するための計画のことです。

現在、多くの企業がCSR活動を行っており、CO2を排出しない太陽光発電を導入すれば、CSRへの取り組みにもつながります。

CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)とは、企業が利益を求めるだけでなく、事業活動を通じて環境保護や、ボランティア、寄付活動といった社会貢献に取り組むことを言います。

デマンドコントロールシステムの導入

2つ目の導入方法は「デマンドコントロールシステム」です。

デマンドコントロールシステムとは、システムを導入することでピーク時の時間帯の使用電力を自動抑制する仕組みのことです。
上限となる電気使用量を設定し、その使用量を上回る可能性がある時に、自動的に使用電力を抑えることができます。
また、デマンドコントロールシステム は「システムのみの導入」ですので、設備を導入する対策に比べれば費用があまりかからないというメリットがあります。

まとめ

蓄電池とピークカットについて解説してきました。以下、まとめになります。

・ピークカットとは、最も使用電力の多い時間帯の使用電力を削減すること
・ピークカットやピークシフトは、電気料金の削減だけでなく基本料金の削減にも繋がる
・蓄電池を導入すれば、最大デマンドを抑制し、基本料金削減が可能

ピークカットは電気の基本料金を下げ、電気料金を削減することに効果的です。
太陽光発電や蓄電池、デマンドコントロールシステムなどを導入することで実現できます。電気を使う時間や最大デマンドを高くしていないかなどを日頃から気をつけることでもピークカットは実現可能です。この機会に電気の使い方を見直してみてはいかがでしょうか。

最新情報をチェックしよう!
>蓄電池の未来をデザインするサービス

蓄電池の未来をデザインするサービス

蓄電池コンシェルジュは、蓄電池を購入しようとお考えの方々に、蓄電池を活かした暮らしをするための上質なコンシェルジュサービスをご提供しております。再生可能エネルギーに理解のある方々にご利用頂くことが「脱炭素社会」実現へのカギとなります。蓄電池コンシェルジュは、文化的、社会的資産を後世に引き継ぎ、社会的責任としての取組みのみならず、日本の人口減少と地球温暖化の危機を救うためのお手伝いをさせて頂いております。

蓄電池コンシェルジュは皆さまの人生をより豊かにする蓄電池をご提案させて頂きます。皆さまのご利用を心よりお待ち申し上げております。

蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

CTR IMG