蓄電池は東日本大震災以降、非常用電源として注目を集めていますが、実際に購入するとなると本体だけで100万円以上、設置・工事費用を併せると200万円ほどになることもあります。補助金やローン制度もありますが、それでも高額なため蓄電池導入を踏みとどまってしまう方は多いでしょう。しかし、蓄電池を販売しているメーカーの中にはレンタルをしている場合があります。蓄電池に興味はあっても初期費用にかけるお金がないという方にはオススメだといえるでしょう。今回は蓄電池のレンタルについて解説します。
蓄電池レンタルとは
蓄電池レンタルとは、月額料金を支払うことで、蓄電池を一定期間利用できるサービスです。契約期間が10年から15年で、月額料金の中には機器代金・工事費用・メンテナンス費用などが含まれています。そのため、購入にかかる初期費用を抑えて蓄電池を導入する事ができます。
月額料金はレンタル会社や容量(kWh)、契約期間、レンタルする機種によって異なっており、契約期間中は中途解約を原則不可としている会社がほとんどです。
蓄電池レンタルのメリット
蓄電池に興味はあっても「購入するのはちょっと……」と考えている方には、蓄電池レンタルサービスはぴったりだといえるでしょう。
蓄電池レンタルのメリットは3つです。
初期投資が抑えられる
1つ目のメリットは「初期投資が抑えられる」ことです。
蓄電池を購入する場合、その費用は100万円以上かかることがほとんどです。しかし、蓄電池レンタルは工事費がレンタル料金に含まれているので100万円以上の費用がかかりません。
たとえば月額利用料金6,000円の5kWhの蓄電池を10年間レンタルした場合、720,000円かかります。20年間レンタルする場合は1,440,000円でメンテナンス費用はかかりません。
5kWhの蓄電池本体価格が90万円、工事費用が約30万円、メーカー保証は10年間の場合、メンテナンス費用はメーカー保証に入るので120万円となります。
そのため、使用期間10年間の場合はレンタルする方がお得で、それ以上の長期間利用する場合は購入した方がお得になります。初期投資を抑えて蓄電池を利用したい方にぴったりでしょう。
メンテナンス費用、廃棄の手間・費用がかからない
2つ目のメリットは「メンテナンス費用、廃棄の手間・費用がかからない」ことです。
蓄電池レンタルにはレンタル料に工事費だけでなく、メンテナンス費用等も含まれています。蓄電池が使えなくなっても、廃棄は業者が行うため手間も費用も必要ありません。
蓄電池を購入した時に、メンテナンス費用や修理費用が保証内容に含まれていなかった場合は自費で行わなければならないので、諸費用を抑えたいという人におすすめです。
オール電化のプランを気にせず電気が使える
3つ目は「オール電化のプランを気にせず電気が使える」ことです。
近年、ガスを使うよりも電気の方がお得になるという理由で、オール電化を導入している家庭が増えつつあります。しかし、オール電化は電気を使う時間帯によっては割高になってしまうため、電気を使う時間を考えて使わなければいけません。
レンタル蓄電池を導入していれば、蓄電池に電気を貯めておいて時間を気にせず使うことができます。
蓄電池レンタルのデメリット
蓄電池レンタルのデメリットは3つです。
解約すると違約金が必要になる
1つ目は「解約すると違約金が必要になる」ことです。
蓄電池レンタルは初期投資を抑えられますが、10年間など長期の契約が必須となります。
蓄電池を導入したが、予想よりも電気代が節約できず赤字になってしまう場合、契約を途中で破棄したいとなると違約金がかかってしまいます。場合によっては、契約破棄をした時点で残っているレンタル代金や、機器の撤去費用を請求されるケースもあります。
そのため、蓄電池をレンタルする前に現在の電気利用料金から本当に導入するメリットがあるかどうか確認するのがよいでしょう。
メーカーや容量が指定されてしまう
2つ目は「メーカーや容量が指定されてしまう」ことです。
蓄電池レンタルは全てのメーカーで導入されているわけではないので、蓄電池のメーカーや容量があらかじめ決められている可能性が高いです。そのため「このメーカーのこの容量の蓄電池をレンタルしたい」と思っても叶わない可能性がありますのでご注意ください。
また、現状では蓄電池のリース・レンタルを行っている業者はとても少なく、新規契約を停止している業者もあります。業者によって提供範囲も決まっているため、住んでいる地域によっては、サービスを受けられない場合もあります。
長期的に利用するなら高くなる
3つ目は「長期的に利用するなら高くなる」ことです。
蓄電池のレンタルは月額5,000円からですので、10年契約の場合は60万円となります。これは蓄電池を購入するよりも安いのですが、20年以上継続して使うとなった場合は購入する方が安くなる可能性があります。
何故なら、購入する場合の初期費用は100万円以上になりますが、その後のメンテナンスや修理費用は保証でまかなうことができるからです。
また、購入する場合、設置交換費用は20~30万円ほどです。そのため20~30年で利用する場合は補助金を利用すると150万円ほどになります。
レンタルの場合、30年間利用するとなると180万円ほど必要となるため、長期間利用する場合はレンタルよりも購入した方がお得といえるでしょう。
蓄電池レンタルに向いている人
蓄電池レンタルを利用するのに向いている人や家庭の特徴は以下になります。
・初期費用・諸費用を抑えたい
・貯蓄を減らしたくない
・蓄電池の容量が電力量に合っている
・電気代がレンタル料を上回っている
この4点が当てはまる場合は、レンタル蓄電池を導入してもいいかもしれません。しかし、自分で蓄電池の種類を決めたい、長期間蓄電池を使用したいという場合は購入をおすすめします。
蓄電池購入に向いている人
蓄電池を自分で購入する方が向いている人や家庭の特徴は以下の通りです。
・契約期間によって行動や選択肢を縛られるのが苦手
・機器を自分で自由に扱える点にメリットを感じている
・長期間使用したい
・家庭のライフスタイルや設置目的にかなった蓄電池を自由に選んで設置したい
この4点が当てはまる場合、蓄電池レンタルよりも購入の方が向いているといえるでしょう。購入する場合は初期費用をできるだけ安く抑えつつ、長期間使える製品を選びましょう。
国内初の蓄電池レンタルサービスを開始したONEエネルギー
家庭用蓄電池は導入すれば電気代を節約できると言われています。しかし、どうしても導入費用が高く、手が出しにくいというのが現状です。そういった方に向けて、各メーカーは蓄電池のレンタルを開始しています。
オリックス・NEC・エプコの3社が共同出資して創設したONEエネルギーという会社が国内初の蓄電池レンタルサービスを開始しました。
普通、蓄電池を導入しようとすると工事費や設置費も込みで200~300万円近くかかってしまいます。
しかし、ONEエネルギーで蓄電池をレンタルする場合、5.53kWhのリチウムイオン蓄電池を工事費やメンテナンス費用など込みで、月額5,000円でレンタルすることができます。
レンタル期間は10年間となっており、その間にメンテナンスや修理が必要になった場合は無料で行ってくれます。
10年ほどであれば、レンタルしたほうが断然お得です。
ただし、20年となるとレンタルの方が高くなってしまう可能性があるのでご注意ください。
太陽光屋根借りプラン
ONEエネルギーはユーザーの家の屋根に太陽光パネルを設置することで、ONEエネルギーが売電をして、屋根の賃料をユーザーに支払う「太陽光屋根借りプラン」があります。
売電価格自体はONEエネルギーの収入になりますが、月々2,000~3,000円の賃料を支払うため、東京都であれば実質0円で蓄電池の利用が可能です。
レンタル期間が過ぎたら
レンタル期間が過ぎた場合、以下の方法で継続するかどうか決める事ができます。
・業者に撤去してもらう
・新しいものに変えて継続する
・利用中の蓄電池を買い取る
蓄電池をレンタルしてみて、今後も蓄電池を継続したいと思った場合、利用中の蓄電池を買い取るのはオススメとはいえません。その場合、新しいものを購入してレンタルを続けるか、レンタルをやめて自分で購入した方がいいでしょう。
お助け君(刀根自動機株式会社)
蓄電池レンタルの中には、短い期間のレンタルに対応している会社もあります。
刀根自動機株式会社の蓄電池レンタルサービス「お助け君」の価格は50,000円/1週間となっています。
電池容量2.4kWh、充電時間4時間、幅300縦700奥行550重量65kg。家庭用のコンセントで充電し、キャスター付きなので移動が楽であり、発熱や騒音の心配もありません。そのため家庭だけでなく、オフィスや病院、ライブ、アウトドアにも使用する事が可能です。
まとめ
蓄電池のレンタルについて解説してきました。以下、まとめになります。
・レンタル蓄電池は初期費用を抑えて導入する事ができる
・レンタル蓄電池は途中解約ができない
・20年間などの長期間の場合はレンタルよりも購入した方がお得
蓄電池レンタルの最大のメリットは初期費用を抑えることができるという事でしょう。しかし、途中解約に違約金がかかったり、利用したい蓄電池のメーカーや容量が指定された中になかったりするデメリットもあります。また、蓄電池を20年間と長期間利用する場合、購入した方がトータルコストは安くなるでしょう。
蓄電池は15年、20年と長期間使い続けるものですので、蓄電池をレンタルするのか購入するのかは、自分の家庭の電気利用状況を再度確認し、メリットを得られるかどうか考えてから導入することをおすすめします。ぜひこの機会に検討してみてはいかがでしょうか。