2021年度の国(sii)からの蓄電池補助金は蓄電用量1kWhあたり4万円と2020年の2倍でした。2022年度は2021年度よりもさらに補助金額が増額されています。今回は2022年度の蓄電池補助金について解説します。
補助金とは
蓄電池の補助金は自治体(国・都道府県・市区町村)に申請することによって先着順で受け取ることができます。蓄電池の補助金は併用申請できますので、補助金制度を活用すれば蓄電池を低価格で導入することができます。
補助金の申請期間は自治体によって異なりますが、多くが4月から順次申請開始します。自治体によって契約前に申請する必要がある場合や設置工事前申請、工事後申請の場合もあるのでご注意ください。
また、1つの工事に対して各省庁が管轄している補助金同士の併用はできません。たとえばZEH補助金(環境省・経産省)と、DER補助金(経産省)は併用ができません。
国と地方自治体(都道府県・市町村)の補助金は併用ができます。
契約前申請の場合、以下のような流れになります。(東京都助成金申請の場合)
①対象機器の見積
②補助金申請
③交付決定通知受領
④契約・工事
⑤事業報告書提出
⑥助成金確定通知受領
⑦入金
補助金を受けられる条件も自治体によって異なります。
・税金を滞納していない
・リースではなく対象機器所有者
・自治体内の住宅に新規で設置する機器が未使用
・自治体が定めた期間内に対象機器を設置する予定、または設置されている
(対象機器:容量または太陽光システムとの連携、対象機器を指定などの条件あり)
2022年度一般会計概算要求・要望額
2021年9月7日、財務省は各省庁からの2022年度一般会計概算要求・要望額をまとめました。2050年脱炭素の実現に向け、再生可能エネルギーの最大限導入に1,322億円、EV(電気自動車)の本格普及に690億円を計上するなど、脱炭素に7,586億円を要求。総額は1兆4,026億円となり、2021年度当初予算比11.9%増となりました。
各省 | 要求額・要望額計 | 前年度予算額 | 前年度比較 |
環境省 | 4,345億円 | 3,233億円 | +1,112億円 |
経済産業省 | 10,825億円 | 9,170億円 | +1,655億円 |
国土交通省 | 71,249億円 | 60,578億円 | +10,671億円 |
環境省の概算要求基本方針は「2030年ターゲットの達成」に集中的に取り組むことを明らかにしています。それには、2020年10月に菅総理が「2050年カーボンニュートラル」を表明し、2021年4月に「2030年度までに温室効果ガスを46%削減」宣言をしたという背景があります。そのため、環境省では温暖化問題やサーキュラーエコノミービジネスといわれる大量生産、大量廃棄問題解決に対して以下のような取り組みを推進しています。
・温室効果ガス46%
・サーキュラーエコノミービジネス市場規模80兆以上
・陸、海野保護区域など30%確保
・脱炭素インフラ輸出に1兆円など
2022年度蓄電池補助金情報
2022年度の蓄電池補助金情報は以下の通りです。
V2H補助金
電気自動車とは蓄電池を積んだ電気で動く車です。
政府は2035年までにガソリン車の新車販売を禁止する方針を掲げ、EVシフトの本格化に向けて購入者への補助金額を増額しています。2021年度の補助制度は、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)を対象に、EV1台あたり60万円、PHV30万円、FCV250万円を上限に購入補助をしました。日産・三菱が2022年度から軽EVの発売を予定するなど、EV車種の増加が予想されており、ガソリン車並みに車両価格を抑えられるよう2022年度の補助金予算は335億円と、2021年度の155億円から引き上げられました。
さらに、EVの航続距離倍増を目指し、全固体電池の実用化に28.8億円を計上。水素ステーションの補助にも110億円を盛り込むなど、EV・FCVの導入促進に前年比42%増となる690億円を求めました。
V2H補助金の対象と要件は以下の通りです。
電気自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電池自動車の導入補助事業 | |
補助対象 | 電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池自動車の購入費の一部 |
補助対象者 | 対象者を購入する個人、法人、地方公共団体等 (初度登録で、自家用車の車両に限る) |
補助対象開始時期 | 2021年11月26日以降に新車新規登録(登録車)または新車新規検査届出(軽自動車)された自動車 |
補助上限額 | 電気自動車(軽自動車を除く) 上限60万円 軽電気自動車 上限40万円 燃料電池自動車 上限225万円 超小型モビリティ 定額20万円(個人)、定額30万円(サービスユース)
下記、条件AまたはBを満たす車両の場合は、補助上限額が異なります。 条件A 車載コンセント(1500W/AC100V)から電力を取り出せる給電機能がある車両 条件B 外部給電器やV2H充放電設備を経由して電力を取り出すことができる車両 補助上限額 電気自動車(軽自動車を除く) 上限80万円 軽電気自動車 上限50万円 プラグインハイブリッド車 上限50万円 燃料電池自動車 上限250万円 超小型モビリティ 定額30万円(個人)、定額40万円(サービスユーズ) |
災害時等における協力 | 地域で災害等が生じた場合、可能な範囲で給電活動等にご協力いただく可能性があります。 |
電気自動車・プラグインハイブリッド自動車向け充電インフラ導入補助事業 | |
補助対象 | 電気自動車・プラグインハイブリッド車に充電するための設備の購入費及び工事費の一部 |
補助対象者 | 対象設備を設置する法人、地方公共団体等 |
補助対象開始時期 | 補正予算案の可決・成立後申請受付開始。 事業計画の申請をし、補助対象額の交付決定後、機器購入や工事着手。 ※交付決定前の事前着手は認められない |
補助率・上限額 | 経路充電 設備費:定額、工事費:定額 目的地充電 設備費:1/2、工事費定額 基礎充電 設備費:1/2、工事費:定額 ※いずれも上限額あり |
2021年度当初予算事業からの主な変更点 | ・急速充電器の設備等について、充電口が3口以上の機器に対応した補助枠を創出。 ・50kW以上の急速充電器を設置する際に必要となる高圧受電設備について、付帯設備の経費として工事費を増額。 ・補助金申請が可能な上限基数を緩和。 ・集合住宅等において、複数基を導入する際、施設の電力需給量と充電量の調節を可能とするディマンドコントロール機能を有した、充電器や付帯設備への補助額を拡充。 |
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業 | |
補助対象 | 自家消費型太陽光発電設備・蓄電池 |
補助対象者 | 民間事業者・団体 など |
実施期間 | 2021年度(2021年度)から2024年度(令和6年度) |
条件 | オンサイトPPAモデル等の初期費用0円の仕組みを用いた導入であること |
補助金額・上限 | ・太陽光発電設備 定額:4万円~5万円/kW ・蓄電池 定額:5.5万円/kWh(家庭用)又は7万円/kWh(業務・産業用)(上限1.5億円) |
事業目的 | オンサイトPPAモデル等を活用した自家消費型太陽光発電システム及び蓄電池の導入支援を通じて、当該設備の価格低減の推進とストレージパリティの達成、ひいては脱炭素化・防災性の向上を目指す。 |
事業内容 | ・業務用施設・産業用施設・集合住宅・戸建住宅への自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池(車載型蓄電池を含む) ・ストレージパリティ達成に向けた課題分析・解決手法に係る調査検討を行う |
この場合、リースや購入、蓄電池の有無など導入条件によっても補助金の交付条件が以下のように異なります。
蓄電池あり | 蓄電池なし | |||||
PPA | リース | 購入 | PPA | リース | 購入 | |
4万円/kW | 〇 | 〇 | 〇 | × | × | 〇 |
5万円/kW | × | × | × | 〇 | 〇 | × |
電動車×再エネの同時導入による脱炭素型カーシェア・防災拠点化促進事業
地方公共団体や民間事業者が公用車や社用車を再生可能エネルギー導入に合わせて電動化することで移動の脱炭素化を図るための事業であり、2022年度の概算要求額は10億円です。
電動車×再エネの同時導入による脱炭素型カーシェア・防災拠点化促進事業 | |
補助対象 | 太陽光発電・電気自動車・蓄電池・充放電設備・外部給電器 等 |
補助対象者 | 民間事業者・団体、地方公共団体 |
実施期間 | 2021年度(2021年度)から2025年(令和7年度) |
条件 | (1) 地方公共団体及び民間事業者・団体である (2) 自治体及び民間企業の施設 |
補助金額・上限 | 2分の1または3分の1(定額) ※一部上限あり |
事業目的 | 地域住民とのシェアリングやレジリエンス強化の促進 |
事業内容 | (1) 再生可能エネルギー発電設備と電気自動車等を同時購入し、地域住民向けにシェアリングする取組を支援 (2) 災害拠点化し、地域のレジリエンス強化へ貢献 |
東京都・自家消費プラン(蓄電池導入への補助事業)
東京都・自家消費プラン(蓄電池導入への補助事業) | |
補助対象 | SIIに登録されている蓄電池のパッケージのみ ニチコン株式会社 長州産業株式会社 株式会社NFブロッサムテクノロジーズ シャープ株式会社 ダイヤゼブラ電機株式会社(旧:田淵電機株式会社) オムロンソーシアルソリューションズ株式会社 ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社 デルタ電子株式会社 京セラ株式会社 株式会社村田製作所 エリーパワー株式会社 パナソニック株式会社 株式会社正興電機製作所 住友電気工業株式会社 株式会社日本産業 株式会社Looop カナディアン・ソーラー・ジャパン株式会社 スマートソーラー株式会社 華為技術日本株式会社(ファーウェイ・ジャパン) |
補助対象者 | 民間事業者・団体 など |
申込期間 | 2021年4月1日~2022年3月31日 |
条件 | ・1kWh当たり17万円以下の機器(商品代のみで計算) ・都内住宅に新規に設置する未使用機器 ・太陽光発電システムを同時設置するか、既に設置している ・令和4年9月30日までに設置すること ・家庭の太陽光発電等の電力データ、再エネ電力の自家消費に伴う環境価値等が提供可能など ・補助金の交付決定後に契約を締結すること ・住宅の居住用に電気を供給できないポータブル型の蓄電池は助成対象外 |
補助金額・上限 | 7万円 / kWh(上限額42万円・機器費の2分の1を上限とする) |
各区市町での補助金があり、併用可能です。ただし、太陽光発電(既存含)やHEMSの併設が条件になっている場合もあり、自治体によって条件が異なりますのでしっかり確認をしましょう。
まとめ
2022年度の蓄電池補助金について解説してきました。以下、まとめになります。
・各省庁が管轄同士の補助金は併用できないが、国と自治体同士の補助金は併用できる
・2022年度一般会計概算要求・要望額は1兆4,026億円となり、2021年度当初予算比11.9%増
・環境省の概算要求基本方針は「2030年ターゲットの達成」に集中的に取り組むことを明らかにしている
2022年度の蓄電池補助金が2021年度よりも増加しているのは、一刻も早い脱炭素化社会の実現を目指しているからでしょう。2020年10月に菅総理が「2050年カーボンニュートラル」を表明し、2021年4月に「2030年度までに温室効果ガスを46%削減」宣言に基づいて、国による再生可能エネルギーに関する政策は進んでいます。ぜひこの機会に補助金を利用して蓄電池を導入してみてはいかがでしょうか。