蓄電池はZEHだけではできない安い光熱費を可能にする! 2030年目標に欠かせないZEHの条件とは?

脱炭素化社会、地球温暖化防止に向けて、地球全体でエネルギーを削減してCO2排出量を減らす必要があります。しかし、高性能家電製品が増えるなど、便利な生活になるにつれ、エネルギー使用量は増え続け、その中でも住宅でのエネルギー使用量は年々右肩上がりになっています。

日本政府は住宅分野でのエネルギー削減への取り組みを強化すべく、「エネルギーを使わなくても快適に過ごせる家」を普及させ、社会全体のエネルギー使用量を減らそうとしています。そのために、京都議定書(1997年)およびパリ協定(2015年)のCO2削減目標からの流れでZEH補助金などを出すことにより、ZEH住宅を増やしてエネルギー使用量を全体的に引き下げようという取り組みを行っています。2030年にはZEHが新築住宅の平均、つまり新築住宅全てがZEHになる事を目指しています。
ZEHを満たすには条件があり、それを補うのが蓄電池です。今回は蓄電池とZEHについて解説します。

ZEHとは

ZEHとは太陽光発電のエネルギーと消費エネルギーが差し引きゼロ以下になる、つまり創エネ・省エネ性能の高い住宅のことです。

ZEHでいうエネルギーとは、1年間通して家で使うエネルギーのことであり、主に電気やガスといったエネルギー資源のことです。

ZEHの趣旨とは、太陽光発電やエネファーム(ガス発電)などの発電設備や蓄電池を設置してエネルギーを自家発電・自家消費する、つまり「省エネルギー」と「エネルギー自立」です。世帯当たりのエネルギー消費を抑え、災害時でもエネルギー的に自立した住宅として注目されています。

2030年までにZEHが新築住宅の平均、 つまり新築住宅全てがZEHになる事を目指すため、対象住宅には補助金が出され、太陽光発電や蓄電池の設置に対しても別途補助金が出ることもあります。

2020年度の一般的なZEH補助金は60万円でした。また補助金対象住宅は、蓄電池など蓄電システム(定置型)を設置することで、別途補助金が支給されます。ZEH補助金対象者は以下の通りです。

・所有者自身が自ら居住する戸建専用住宅
・SIIに登録されているZEHビルダー/ZEHプランナーが、設計、建築、改修、または販売を行うZEH住宅

ZEHビルダー(ZEHプランナー)とは、一条工務店やダイワハウス、積水ハウスなど、ZEH住宅の建設を国から認められた工務店やハウスメーカーのことです。ZEH住宅を建設するなら、忘れずにビルダーにお願いしましょう。

ZEHの第1・第2条件

ZEHは、省エネと創エネ、どちらが欠けても認められません。創エネは太陽光発電設備などを設置することで実現できますが、省エネは住宅各部の施工によって追求していく必要があります。
ZEHには以下のような第1・第2条件があります。

エネルギーをあまり使わなくても快適に過ごせる

1つ目の条件は「エネルギーをあまり使わなくても快適に過ごせる」ことです。

普通の住宅と比べてエネルギー資源の使用量が少なくても、快適に過ごせる性能を持っていることが最初の条件となります。これを満たすには、一定以上の性能がある断熱性能と省エネな設備機器を採用して、基準から2割以上の省エネ性が重要となります。

消費エネルギーより創るエネルギーの方が多くなる

2つ目の条件は「消費エネルギーより創るエネルギーの方が多くなる」ことです。

ZEHは一年間を通して太陽光などで作られたエネルギーと消費エネルギーがおおむね同じにならなければいけません。
しかし、太陽光発電などによって創られるエネルギーが年間の消費エネルギーより少なかった場合、消費エネルギーの方が多くなってしまうため、実質ゼロ・エネルギーになりません。

ZEH条件を満たすのに必要な要素

ZEH条件を満たすのに必要な要素は以下の通りです。

一定以上の断熱性能

1つ目は「一定以上の断熱性能」です。

高い断熱性能は、家のエネルギーを無駄使いさせません。
高い断熱性は、冷暖房にかかるエネルギーを自然と下げるため、冷暖房の効きもよく設定温度を上げずに最小限の電気で快適に過ごせます。国土交通省から、ZEH向けの高気密、高断熱材を使用することで、1年間で8万円以上もの冷暖房費を削減できるということが発表されています。
また、高性能な断熱材は冷暖房をつけなくても1年を通して快適な暮らしが可能になります。それだけでなく、耐火性に優れ、激しい温度差を抑えることでヒートショックや結露を予防し、カビやダニの発生を抑えるので家を長持ちさせることができます。
ただし、安価な断熱材の場合は防湿施工などが必要なものもあります。

断熱性能はUA値で評価されますので、まずはUA値を一定以上の性能にすることが重要となります。
UA値は壁、床、基礎、天井、屋根に入っている断熱材の性能、厚さや窓の大きさや性能を1つずつ入力して計算していきます。最終的に算出されたUA値の数値が低いほど断熱性が高くなります。

次世代省エネ基準

国で決められている断熱性能のことを「次世代省エネ基準」といいます。
複数回更新されてきましたが、地域別にまとめられた基準があります。
東京の場合、0.87W/m²Kという数値以下の断熱性能を持っている必要があります。
ただし、この基準は2018年12月に義務化が見送られてしまい、努力義務となっています。
そのため、建築会社側に契約時において説明する義務を設定されつつも、基準の断熱性能を守らなくても建築基準法上は問題ありません。

ZEHでは、一般的な次世代省エネ基準では高性能住宅というには不十分なため、さらに強化した断熱性能が設定されています。ZEH住宅は地域ごとに0.4・0.5・0.6W/m²K 以上の断熱性能が求められます。

基準から2割以上の省エネ性能機器

2つ目は「基準から2割以上の省エネ性能機器」です。

高い断熱性があっても、古くて省エネ性能が良くない住宅の設備機器を使っていると、エネルギーを無駄遣いしているため省エネとはいえません。

住宅の設備機器とは以下の機器のことです。

・冷暖房設備
・換気設備
・給湯設備
・照明設備

家電などで使うエネルギーはその他のエネルギーに分類されます。その他のエネルギーは住宅の設備機器の性能とは異なるため、ZEHの計算上除外されます。

設備機器で年間使うエネルギーを「一次エネルギー消費量」といい、J(1wの仕事量が1秒行われた量)という単位で表します。一次エネルギー消費量には2種類あります。

・基準一次エネルギー消費量:地域、家の大きさなどを考慮して、一般的に使うと想定される(基準)エネルギー量
・設計一次エネルギー消費量:設計した住宅の床面積、断熱性能、冷暖房機器の性能など、1年間消費を想定し、入力・算出されたエネルギー量

「基準一次エネルギー消費量」よりも「設計一次エネルギー消費量」が20%(ZEH+は25%)以上少なければOKとなります。

・ZEH:省エネ性能機器一次エネルギー消費量が基準よりも設計の方が20%以上少ない
・ZEH+:省エネ性能機器一次エネルギー消費量が基準よりも設計の方が25%以上少ない

年間消費エネルギーを上回る、創エネを含んだ100%以上の省エネ率

3つ目は「年間消費エネルギーを上回る、創エネを含んだ100%以上の省エネ率」です。

一定以上の高い断熱性能と基準から2割以上の省エネ性能機器により、エネルギーが使いにくい快適な家になります。
しかし、ZEHは使用エネルギーをゼロ以下にしなければいけません。そのために、太陽光発電などで創るエネルギーで差し引いてゼロにします。

現実的に考えて、大容量の蓄電池が全世帯にあるわけではないので、太陽光発電は昼間しか発電せず、夜の使用エネルギーはゼロにならないのではという疑問は置いておくことにして、一次エネルギー消費量の計算上で考えます。そのため、計算上創るエネルギーの方が上回っていればOKです。

「創エネ」(再生可能エネルギー)を含んだ省エネ率:100%以上

個々の住宅の性能・地域などで搭載必要量は異なりますが、一般的な東京や名古屋などの地域における35坪前後の住宅では、おおむね4kW~5kWの容量の太陽光発電を搭載した場合、この条件をクリアする可能性が高いです。

ZEHでも太陽光発電などの創エネ要素が不要なケースもある

ZEHの認定条件は上記以外にもあり、断熱と省エネの条件さえ満たしていれば、太陽光発電などの創エネ要素が不要なケースもあります。

・ZEH Oriented:都市部狭小地の二階建以上の建物の場合、太陽光発電設置が免除されるケースがある
・Nearly ZEH:寒冷地、低日射地域、多雪地域の場合、太陽光発電設置が免除されるケースがある

太陽光発電を設置する場合、屋根の面積や日射量などで十分な発電量が得られないケースがあるからです。そのため、一部地域はZEH住宅でも設置が免除されます。

ZEHで光熱費を少しでも安くするには蓄電池による「自家発電自家消費」

家庭で発生する全エネルギーをプラスマイナスゼロにするとなると、発電量の不足などが原因で、どうしても光熱費が発生してしまいます。

しかし、国が定義する「ゼロ・エネルギー」は、空調や照明、給湯、換気などの一次エネルギーに限るため、家電などの消費電力を対象外です。そのため、ZEH=光熱費も0円というわけではありません。
光熱費を少しでも安くするのに役立つのが蓄電池です。太陽光発電が発電しない夜間などは、昼間に発電・蓄積した電気を使う「自家発電自家消費」という方法です。

蓄電池導入メリットは以下の通りです。

・買う電力が減り、電気代を下げることができる
・災害時や停電時も安心
・環境にやさしい

個々の家庭の消費電力と生み出す発電力次第で安くなるかは変わってきますが、ZEH住宅は断熱性が高いため、一般的な住宅よりも消費電力が少ないはずです。
太陽光発電に加え蓄電池を導入することで、光熱費を少しでも安くすることができるでしょう。

また、太陽光発電には悪天候や夜間は発電できず、蓄電池に昼間の電気を貯めておいたとしても足りなくなる可能性があります。そのため、足りない分は電力会社から電気を供給してもらう必要性があるということを覚えておきましょう。

太陽光発電と蓄電池のみによる電力の自給自足は不可能

電力会社と契約せずに電気を自給自足するには、超大容量な蓄電池が必要となります。
一般家庭で使う電気は一日約10kWh以上です。一週間分となると70~100kWhもの容量が求められます。現在の一般蓄電池は大きくても10kWh前後であり、数日悪天候が続くと使い切ってしまいます。さらに梅雨や冬など季節によって発電量、電気使用量は異なるため、さらに条件は厳しくなります。一般家庭に設置する蓄電池では余程大きな容量に長期間溜めることが出来ない限り実現困難なため、太陽光発電と蓄電池のみによる電力の自給自足は不可能といえるでしょう。

まとめ

蓄電池とZEHについて解説してきました。以下、まとめになります。

・ZEHとは太陽光発電のエネルギーと消費エネルギーが差し引きゼロ以下になる、つまり創エネ・省エネ性能の高い住宅
・ZEHの主な条件には「一定以上の断熱性能」「基準から2割以上の省エネ性能機器」による省エネと「年間消費エネルギーを上回る太陽光発電エネルギー」による創エネが必要不可欠
・ZEH住宅は光熱費がゼロになるわけではないので、蓄電池導入により少しでも光熱費を安くすることが可能

日本政府は地球温暖化対策として、2030年にはZEHが新築住宅の平均、 つまり新築住宅全てがZEHになる事を目指しています。新築住宅建設を検討している方は、ぜひZEH条件を満たした上で光熱費を安くするために蓄電池導入を一緒に進めてみてはいかがでしょうか。

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蓄電池コンシェルジュは、蓄電池を購入しようとお考えの方々に、蓄電池を活かした暮らしをするための上質なコンシェルジュサービスをご提供しております。再生可能エネルギーに理解のある方々にご利用頂くことが「脱炭素社会」実現へのカギとなります。蓄電池コンシェルジュは、文化的、社会的資産を後世に引き継ぎ、社会的責任としての取組みのみならず、日本の人口減少と地球温暖化の危機を救うためのお手伝いをさせて頂いております。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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