蓄電池とBCPの関係性は?緊急時に蓄電池とBCP策定は企業にとってとても重要である

BCP(Business Continuity Planning)は大地震や台風による自然災害、感染症の蔓延、テロや大事故により突発的に経営環境が変化し、不測の事態が発生しても重要な業務を中断させない、中断しても可能な限り短期間で復旧するための方針、手順を示した行動計画のことです。BCPの概念はリスクマネジメントそのものだと考えていいでしょう。
大地震や大型台風だけでなく、コロナやウイルスによるパンデミックなど企業は常に様々なリスクに脅かされています。そんな状況でも事業を中断せずに活動するため、BCPの需要は年々高まりつつあります。BCPと蓄電池はとても重要な関係です。今回は蓄電池とBCPについて解説していきたいと思います。

BCPとは

BCPは蓄電池による電源確保の重要性と強く結びつけられます。日本においてこのBCPは東日本大震災を契機に登場したと考えられます。
BCPは災害をはじめとした緊急事態に事前対策を含め、人命や資産を守りながら事業の継続復旧を目指す計画であり、人命の安全や資産の保全を最優先する防災マニュアルとは異なります。BCPには止まった事業を早期に復旧し、継続する対策を立てなければいけません。また、BCPは自由に策定してもいいのですが、基本的に2つの方法によって取得します。
①企業独自に策定する方法
②事業継続マネジメントシステムに関する国際規格ISO23001を取得する方法

独自策定とは、ガイドラインなどを参考にマニュアルを自作することです。作成するには3つの方法が考えられます。
①行政が提供しているテンプレートを活用
②プロのコンサルタントに協力してもらう
③社員に防災士免許を取得させ、BCPの独自策定をさせる

国際規格ISO23001とはBCMS(事業継続マネジメントシステム)の運用を定めているものです。ISO23001の取得には手間やコストがかかりますが、BCP取り組みを外部にアピールすることができます。ISO23001は3つの柱からできています。
①事業の中断・阻害引き起こす事象への組織的な対応策の構築・運用
②BCMSのパフォーマンスおよび有効性の監視・レビュー
③継続的改善

BCPの注意点

BCP策定の注意点は6つあります。
①中核事業の特定
②中核事業の復旧時間の目標決定
③顧客とあらかじめ緊急時に提供できるサービスレベルの協議
④事業拠点の生産設備、仕入れ品調達等の代替策を用意
⑤全従業員とBCP対策についてコミュニケーション
⑥社内演習と改善

全ての事業を普段通りに進めるのは難しいでしょう。そのために、優先して継続・復旧させる中核事業を特定しておきましょう。
会社の存続にかかわる中核事業が特定できたら、復旧時間の目標を決めます。同時にその事業を遂行するために必要な資源や資産はどれくらい必要かも決めておきます。

災害時に提供できるサービスレベルを事前に顧客と打ち合わせておくと安心して事業計画を進める事ができます。特に一般人を顧客とした企業サービスが停止した場合、損害賠償の請求にまで発展するケースもあります。また、生産設備や仕入れについての代替え策も一緒に打ち合わせておくといいでしょう。

顧客だけでなく従業員ともあらかじめ事業継続についての情報を共有する必要があります。BCP対策を作ったら実際に社内で演習を行い、何が不足かを考え改善していきましょう。
BCPを策定すれば取引先や投資家に、この会社は緊急時でも商品の供給を行い、短時間で復旧対応ができるという安心感を与えられます。
最近ではBCP対策を策定していない企業とは取引を行わないというケースもあります。BCP策定を行っている事は、緊急時に少しでも損失を減らし、自社だけでなく取引先の事業継続性を重視しているという意識がある事を証明しているからでしょう。

BCP対策は経営改善と密接ですので、平常時からBCP対策を行うことで経営改善を促進し、サプライチェーンとしての責任を果たすことができます。サプライチェーンとは供給連鎖で、製品の原材料・部品の調達から製造、在庫管理、配送、販売、消費までの一連の流れを指します。
企業にとってBCP策定はコンプライアンスに続く企業の新たな義務となってくるでしょう。信頼性を持つためにもBCP対策をしっかりと行いましょう。

BCPにおける企業を脅かすリスク

中小企業BCP策定運用指針を基に、企業を脅かすリスクとして7つ考えられます。
①地震
②風水害
③火災
④集団感染・集団食中毒
⑤科学技術災害
⑥その他自然災害
⑦その他の人為的リスク

地震は広範囲に被害が及び、社会インフラ機能の回復に時間を要しますので、事業の回復にも時間がかかるでしょう。
風水害は地震と異なり予め対応や警戒ができるので、適切な対処を行えば被害は最小限に食い止められます。
火災は従業員の死傷や設備の全焼など、企業に致命的なダメージを与える場合があります。原因は火の不始末や放火など様々ですが、火の不始末の場合、社内で指導対策を行うことによりリスクを軽減できます。

集団感染と集団食中毒は、原因となるウイルスの種類にもよります。被害状況が酷いと操業停止だけでなく、商品を経由した外部への二次感染の可能性が発生します。手洗いやマスクの着用、定期的な空気の入れ替え、消毒などの予防策を普段から徹底する必要があります。
科学技術災害は危険物の輸送事故、電力配給停止等が含まれます。科学技術災害は直接的な被害だけでなく、事故を起こした社会的責任の追及などにより、事業再開が困難になる可能性が大きいので注意が必要です。

その他自然災害は豪雪や落雷、猛暑、渇水、水不足など、地震や風水害以外の自然災害を指します。これは特に気候に左右されやすい卸・小売業や大寒波や水不足などの影響を受けやすい企業は強くダメージをうけます。
その他の人為的リスクとは、企業内部紛争や外部からの妨害、サイバーテロなどです。
このリスクは範囲が特定であるため、影響的に考えると低いですが、予測不能で期間が不明なので、予防対策が立てづらいという問題点があります。

BCPは緊急時の対応が前提であり、計画だけを立てていてもいざその場で適切に行動できるとは限りません。日頃から防災教育や救急訓練を行い、実践のために知識や技能習得が不可欠です。各種防災対策と並行して教育訓練を怠らないようにしましょう。

BCP対策における蓄電池の重要性

東日本大震災などの大災害により、停電は身近に起こりうるものであり、復旧に長期間かかることを私たちは思い知らされました。太陽光発電も悪天候が続くなど電力供給が途絶えてしまうと頼りになりません。

災害が起こると電気、水道、ガスの順番にライフラインが復旧していきます。しかし電気の復旧で約1週間はかかり、電力供給設備が崩壊した場合2~3週間はかかります。
電気が使用不可能になると設備や機器が使用不可能になり、通信手段も制限されます。また、PCに保存されているデータにもアクセスできません。業務継続をしたいと思っても、業務に必要な連絡が途絶え、情報も得られない事態になってしまいます。BCP対策として電力の確保は最重要となってきます。

従業員の安否確認や被害状況の把握、損害を受けた設備の修理依頼、取引先との連絡を行うため通信手段の確保は特に重要です。
こうした事態に備え、通信手段としてフリーWi-Fi『00000JAPAN』が開設されるなど、Wi-Fiを使ってインターネット回線での連絡が可能なケースが増えてきています。フリーWi-Fi使用にはWi-Fi対応PCやスマホが稼働できる状態が必要ですので、やはり電源確保が必要となってきます。

予備電源設備は複数ありますが、安全に使えるのは蓄電池でしょう。
企業の予備電源は発電機も挙げられますが、発電機の燃料が入手困難になる、保存していて劣化してしまうなどのケースがあります。蓄電池は災害時だけでなく通常時も電気代を節約する設備として稼働し、非常時にもすんなりと電源供給が行えます。
産業用蓄電池は大容量なものが多く、停電時も業務に必要最低限な電源供給が可能な状態に設定することができます。小規模なオフィスであれば1週間は電源供給が可能でしょう。

産業用蓄電池にはUPS(無停電電源装置)機能という停電になると電源の切り替えを行う装置が付いているので、急な停電によるPCの誤作動によるデータ消失を防ぐことができます。産業用蓄電池の容量は一般的に10~20kWhですが、最近では60kWhを超えるものも出てきています。容量が多ければ多いほど蓄電池は価格が高くなります。工場や冷蔵倉庫などは消費電力が多いので、複数の蓄電池を設置する必要があります。その場合、蓄電池設置には数百万円以上の追加投資が必要となってきます。

また、蓄電池は燃料を消費せずに自家発電可能な太陽光発電システムと組み合わせると、日中は太陽光で発電、電力を自家消費し、夜は余剰な電力を蓄電することができます。太陽光発電だけでは、日中悪天候の場合や夜間は発電できません。日中に太陽光発電できる時間は約4時間。それだけの電力で2週間も続く停電に耐えられるとは思えません。同様に蓄電池も蓄えていた電力を放出してしまうと充電しない限り使うことはできません。蓄電池と太陽光発電はお互いの良いところを伸ばし、不足している個所を補い合うことが可能なのです。
太陽光発電と蓄電池の組み合わせはBCP対策としての電力供給だけでなく、平常時の効率的運用にも活用できるのでとてもオススメだと言えます。

蓄電池は容量が大きければ大きいほど高価になります。その場合、国や地方自治体が出している補助金制度を利用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

蓄電池とBCPについて解説してきました。以下まとめになります。

・緊急時に即座に対応、短時間復旧のためにあらかじめBCPを策定する必要がある
・策定したBCPは作るだけでなく社内演習、改善が必要
・BCP対策にとって蓄電池はとても重要

BCP対策は社外からの信頼を高めるだけでなく、自社の事業を継続させ、改善させることに繋がります。BCP対策に置いて電源の確保は初歩的ですが、必要不可欠な要素です。
蓄電池は高価ですが、設置しておけばいざという時に大変役立ちます。停電時以外に電気代の節約とコスト削減にも活用できる設備であり、国や地方自治体から補助金が出ているので、ぜひこの機会に検討してみてはいかがでしょうか。
以上、蓄電池とBCPについてでした。

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蓄電池コンシェルジュは、蓄電池を購入しようとお考えの方々に、蓄電池を活かした暮らしをするための上質なコンシェルジュサービスをご提供しております。再生可能エネルギーに理解のある方々にご利用頂くことが「脱炭素社会」実現へのカギとなります。蓄電池コンシェルジュは、文化的、社会的資産を後世に引き継ぎ、社会的責任としての取組みのみならず、日本の人口減少と地球温暖化の危機を救うためのお手伝いをさせて頂いております。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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