蓄電池はスマホのバッテリーなど、一回限りではなく充電すれば何度でも使用できる電池の事です。蓄電池を設置すれば災害時に電気を使えるなどとても便利ですが、初期投資費用が高く気軽に設置できません。しかし、補助金制度を利用することで蓄電池をお得に入手することができます。
補助金は国だけでなく、都道府県、市区町村ごとにでている場合が多く、それぞれの補助金を同時にもらえる可能性もあります。どうせならお得に蓄電池を設置したいですよね。今回は蓄電池と補助金について解説していきたいと思います。
蓄電池の補助金を受け取る流れ
補助金を受け取る流れは以下の通りです。
①見積もり
②交付申請書提出
③審査
④交付決定
⑤対象機器設置・購入
⑥実績報告書提出
⑦審査
⑧交付額確定
⑨請求書提出
⑩補助金の支払い
補助金を申請する人が多ければ多いほど予算に達してしまい、公募は期間の前に終了してしまいます。国からの補助金である、平成31年度「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金」は申請額が予算額を超過したため7月21日受付分で交付申請の受付を終了しました。2020年度の国からの補助金は終了してしまったのです。せっかく申請できるのに、悩んでいて制度が終了なんてもったいないですよね。蓄電池の補助金を検討している人はできる限り早く計画を立てる必要があります。
補助金を利用する場合、各自治体のホームページなど、補助金の詳しい情報を把握しておくことが大事です。
たとえば、補助金の条件によって補助金の交付が決定する前に蓄電池購入の契約や発注をしてしまうと、その経費は対象外になります。補助金条件をよく確認し、補助金申請後は交付決定の通知が来るまで蓄電池の本契約は結ばないようにしなければいけません。
機器の種類や購入時期、設置時期など一つでも条件が合っていなければ支給されません。必ず事前にチェックしましょう。
家庭用蓄電池の種類によって補助金額は異なる
家庭用蓄電池の補助金には2通りあります。
①国(SII)から交付されている災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金
②全国の地方自治体から独自に交付されている補助金
国から交付される補助金と地方自治体から交付される補助金は併用が可能で、よりお得に蓄電池を設置することができます。
蓄電池には3種類あります。
①災害対応型
②ネットワーク型
③周波数制御型
災害対応型蓄電池とは、太陽光発電によりできた電気を災害時に優先して貯める事が可能な蓄電池のことです。この機能は定置型蓄電池であれば搭載されているので、ほぼすべての蓄電池がこれに当たります。
ネットワーク型蓄電池とは、各地にある蓄電池や太陽光発電の施設を一括りにして、一つの発電所として運営(VPP)し、HEMSなどの機器を介して監視制御を行う蓄電池の事です。
周波数制御型蓄電池とは、VPPに参加して求められた需給調整に対して素早く対応できるシステムのことです。
補助金は蓄電池の種類によって異なり、用量に比例して支給される補助金も多くなります。
蓄電池の種類 | それぞれの補助額 |
災害対応型 | 1kWhにつき2万円 |
ネットワーク型 | 1kWhにつき3万円 |
周波数制御型 | 1kWhにつき4万円 |
また、SIIの補助金制度では工事費も補助金として支給されます。
蓄電池の種類 | それぞれの補助金額 |
災害対応型 | 工事費の半分以内(上限5万円) |
ネットワーク型 | 工事費の半分以内(上限7.5万円) |
周波数制御型 | 工事費の半分以内(上限10万円) |
国(SII)の補助金対象となる条件は10kW未満の家庭用太陽光発電を設置している人、またはこれから設置する人である事です。
新規設置者ではなく、太陽光発電を設置していない人や太陽光発電を設置しているが容量が10kW以上の人は対象外です。
上限は60万円で補助額の予算38.5億円を越えると打ち切られます。何故なら高すぎる蓄電池の補助金は受けられないからです。これは販売者に蓄電池の価格を引き下げる工夫を求めているからだと考えられます。
設備費用の上限額は蓄電池の保証期間や年数によって異なり、年数が多いほど1kWhあたりの上限額が高く設定されているようなので注意してください。
蓄電池の補助金は地方自治体によって異なる
補助金の給付条件は自治体ごとにルールがあり、都道府県や市区町村で異なります。
例えば東京都の家庭で使う蓄電池とV2Hを例にとって説明します。
東京都の補助金の家庭用蓄電池、V2Hの支給対象条件は以下の通りです。
・都内に新規設置されたものであること
・住居用に使用されていること
・中古品ではなく未使用であること
・太陽光発電システムと同時に購入または既に設置されていること
支給額はそれぞれ異なり、以下の通りになります。
〇家庭用蓄電池の場合
・商品価格の半額
・蓄電用量が1kwhあたり100,000円
・上限600,000円
3つの内安い方が適用されます。家庭用蓄電池はだいたい蓄電用量が6kwh、商品価格が120万以上であるので、ほとんどの場合60万円を受領することが可能です。
〇V2Hの場合
V2Hとは、家庭用の電力供給源として電気自動車等を利用することを指します。
・商品価格の半額
・上限300,000円
このどちらか安い方が適用されます。V2Hの商品価格は60万円以上なので、ほとんとの場合30万円を受け取る事が可能です。
自治体の完納証明書、印鑑証明書、住民票、蓄電池設置後の申請は設置後の写真や商品の保証書など、必要な書類は自治体によって異なります。また、地方自治体の予算は限られています。特に東京都は非常に人気が高く、2019年度では交付総額の予算を40億円に設定していたにもかかわらず申請期間よりも早く募集を終了させました。せっかくもらえる補助金なのに、後れを取ってしまってもらえないのは大変もったいないです。検討中の方は早めに申請しましょう。
2020年東京都家庭蓄電池補助金
2020年度東京都の家庭用蓄電池補助金は最大60万円の支給が決定されています。
申請額は以下の通りになります。
・機器費用1/2
・ただし1戸当たりの上限額は次のどちらか低い方
①蓄電池システムの蓄電容量が1kWh当たり100,000円を乗じた額
②600,000円
申請期間と対象者は以下の通りです。
申請期間 | 2020年9月15日(火)~2021年3月31日(水) |
予算額 | 43億9,200万円 |
対象者 | 蓄電池システムの所有者 (国や地方団体及び公的な団体は対象外) |
補助要件として、都内の住宅において未使用品であり新規に設置される機器であること。そして交付決定後に契約締結することが挙げられています。しかし、2020年10月31日までに契約締結した、メーカーによって機器登録されているものは交付前の契約締結であっても補助金対象になります。
交付後は2020年4月から2021年9月30日までに対象機器などを設置することも条件となります。
対象機器の条件は以下の通りです。
・SIIに登録されている通信機器
・電力使用量のデータ提供、属性データの提供などに同意
・太陽光発電システムを同時購入または設置済み
・対象公社として登録されている蓄電池システム
対象公社として挙げられているものは以下の通りです。
・ニチコン
・長州産業
・NFブロッサムテクノロジーズ
・シャープ
・田淵電機
・オムロン
・ネクストエナジー
・デルタ電子
・京セラ
・村田製作所
・エリーパワー
蓄電池の補助金は早い者勝ちです。入手できるデータは早く取得し、計画を練りましょう。
事業用蓄電池の補助金
自分の家に設置する太陽光発電は蓄電池と併用すると夜間や悪天候時、停電などの非常時に使えるというメリットがあります。しかし事業用サイズの蓄電池を導入するには、家庭用の太陽光発電ほど価格が安くありません。事業用蓄電池には補助金がとても必要だと言えるでしょう。
事業用の蓄電池の補助金は様々ありますが、一般人にも身近であるVPP構築実証事業に参加することを条件に交付される蓄電池の補助金について解説します。
VPPとは仮想発電所と呼ばれ、バーチャルパワープラントの略称です。屋根の上の太陽光発電機や家庭用燃料電池、電気自動車などの蓄電機能を持つ蓄電池、需要家の節電など、個人や民間企業の発電施設をまとめ一つの発電所のように機能させ、電力が足りなくなったら各地の蓄電池などから放電してもらったり、家庭用燃料電池に発電するよう指令したりします。
小規模な発電機、蓄電システムをひとつにまとめ、大きな発電所のように機能させバランスを整えようという考え方です。
VPPの電気消費者としてのメリットとして想定されるのは以下の通りです。
・電気代が安くなる
・電力会社の節電要請に従った企業は報酬がもらえる
・災害時に分散しているエネルギー源を集約し、大規模な停電を防ぐ
・各地の電力を蓄えさせて出力要請を回避し、太陽光発電所有者にとって売電機会の逸失を防ぐ
全て可能性にすぎませんが、実証実験の結果が出ればさらに現実味を帯びることでしょう。
VPPに協力することで蓄電システムの補助金を受け取ろう
エネマンは実証事業に協力する事によって補助金がもらえる蓄電システム「補助金対象セット」の提供を開始しました。
株式会社エネマンは技術開発から施工、販売まで広く行う再生可能エネルギー活用設備会社です。「エネマン」は平成30年にいくつかある事業からVPPアグリゲーションコンソーシアムとして選ばれました。
補助金対象額は、産業用蓄電システム出力1kWあたり8万円、または設備費の1/3以内
(遠隔制御装置の設備費の1/2以内、対象設備設置工事費の1/2以内)です。
エネマンの提供するシステムのメリット・デメリットは以下の通りです。
〇メリット
・難しい事を何もしなくていい
・補助金手続きをエネマンが代行してくれる
アグリゲーションコーディネーターであるSBエナジー社から指示されたエネマンが蓄電システムの放電や充電を遠隔操作で年間28日間行います。この間ユーザー側が何かをさせられることはありません。
〇デメリット
・導入する蓄電池を指定されるので特別な機能を求める事はできない
・色々な会社の見積もりを受けて一番安い見積もりを選ぶという事ができない
・補助を受けた設備を短期間で処分してはいけない
物事には何でもメリットとデメリットがあります。どうすれば自分にとって良い方向へ行くのかよく考えてから行動しましょう。実証実験に参加時は免責事項や規約をしっかりと確認し、お得に補助金を手に入れ、蓄電池を設置しましょう。
まとめ
蓄電池の補助金について解説してきました。以下まとめになります。
・蓄電池の種類によって補助金額は異なる
・容量が多ければ多いほど補助金の額が上がる
・補助金の上限額は60万円
蓄電池は安いとは言えません。しかも太陽光発電も併設するとなるとかなりの金額になります。補助金は早い者勝ちです。ぜひ早めに計画を立て、補助金を申請し、お得に蓄電池を手に入れてください。