蓄電池の税金を知って少しでも賢く減税しよう

生きて暮らすために税金はとても重要な知識です。所得税、固定資産税と税金は私たちの生活に密接して存在しています。蓄電池設置は高価ですので、できるだけ節税したいですよね。どうすれば蓄電池を経費に計上できるのか、一体どんな税金があるのか、その計算方法は?今回は蓄電池と税金について解説していきたいと思います。

蓄電池と税金

蓄電池設備時に利用できる税制優遇は2つです。

①中小企業投資促進税制
②中小企業経営強化税制

中小企業投資促進税制とは中小企業の生産性向上のために、そのための投資に対して優遇するという制度です。資本金が3,000万円以下の法人の場合、一定の税額控除や30%の特別償却を受ける事が出来ます。

中小企業経営強化税制とは、新たに設備投資などをする際に税制上の優遇を受けられる制度です。新たな設備導入によって生産性がどのくらい向上するのかを証明するための経営向上計画所を提出しなければなりません。中小企業経営強化税制によって7%の税額控除や即時償却を選択適用できます。

蓄電池と減価償却

蓄電池は太陽光発電設備と同様、固定資産として扱われます。そのため減価償却することができます。減価償却とは、固定資産を購入時に購入金額を数年にわけて経費に計上していくことです。減価償却費は収入に対する経費に計上するので、控除額が増えて節税に繋がります。
蓄電池は固定資産の中で耐用年数が6年と定められていて、構築物・建物附属設備の電気設備として扱われます。蓄電池の購入費は6年に分割して経費に計上できます。
また、蓄電池の設置工事費も固定資産として扱われるので、工事費用も蓄電池の購入費とまとめて減価償却できます。

蓄電池と個人

個人にとって売電収入は雑所得です。他の雑所得と売電収入を合わせた収入から太陽光発電設備の減価償却費を差し引いた金額が20万円を超過した場合、所得税の対象となります。
更に蓄電池を減価償却し、経費に計上する事で節税につなげる事ができます。
しかし、個人の場合、太陽光発電設備と蓄電池の設備は家庭用として使用されます。家庭用の使用時間と事業用の使用時間から経費に計上できる割合を算出する必要があります。そのため購入金額全てを経費に計上できるとは限らないのでご注意ください。
なお、自宅を仕事場にしている個人事業主は蓄電池を経費に計上する事ができます。しかし、個人事業主の場合も個人と同じく、家庭用の使用時間と事業用の使用時間から経費に計上できる割合を算出しなければいけません。

蓄電池の減価償却計算方法

減価償却する計算方法は2つあります。

①定額法
②定率法

定額法は毎年同じ金額を減価償却費として経費に計上する方法です。定額法には2種類あります。
①購入費を耐久年数で割る方法
②定額法の償却率をかけることで算出する方法

例えば工事費込みで180万円の蓄電池を購入した場合。
蓄電池は固定資産の中で耐用年数が6年と定められていますので、減価償却費は30万円になります。
また、蓄電池の定額法償却率は0.167ですので、減価償却費は30.06万円となります。

定率法は購入した年の減価償却費を多く計上し、年々減価償却費を減少させる方法です。
購入費に定率法の償却率をかけた金額が1年目の減価償却費です。購入費からすでに減価償却した額を差し引いた額に定率法償却率をかけた金額が2年目以降の減価償却費です。

例えば180万円の蓄電池を購入した場合。定率法償却率は0.333なので6年間の減価償却費は以下のようになります。

1年目  59.94万円
2年目 約39.97万円
3年目 約26.66万円
4年目 約17.79万円
5年目 約11.86万円
6年目 約7.91万円

定率法では減価償却費が償却保証額を下回った年以降、購入費から減価償却した額を差し引いた金額に改定償却率をかけた金額が減価償却費となります。償却保証額は購入費に保証率をかけることによって算出できます。

蓄電池の補償率は0.09911です。補償金額は約17.83万円になります。4年目の減価償却費が約17.79万円ですので、4年目から6年目の減価償却費は一定となります。
3年目までの購入費から減価償却を差し引いた約53.43万円に蓄電池の改定償却率0.334をかけます。約17.84万円が4~6年目の減価償却費となります。

1年目  59.94万円
2年目 約39.97万円
3年目 約26.66万円
4年目 約17.84万円
5年目 約17.84万円
6年目 約17.84万円

この計算方法は法改定が適用された2012年4月1日以降に取得した蓄電池に限りますのでご注意ください。

太陽光発電と税金

税制優遇以外に、蓄電池設置と共に太陽光発電を一緒に設置する場合、太陽光発電の自立化に向けた家庭用蓄電・蓄熱導入事業という補助金を受けることができます。
補助金を受ける条件として、太陽光発電を設置していること、またはこれから導入する予定であることが条件となります。

蓄電池と太陽光発電を組み合わせると、日中は太陽光の電気を発電し、余った電気は貯蓄。夜になれば貯蓄した電気を使うことで、お得に電気を使うことができます。災害時による停電時も蓄電池と太陽光発電を組み合わせれば、1~2週間は電気のある生活ができると言われています。
太陽光発電の固定資産税は、課税評価額減額の特例措置が平成25年度まで適用されていたので、固定資産税額は軽減されていました。しかし、固定価格買取制度が見直しされ、太陽光発電の優遇措置は縮小されてしまいました。太陽光発電設備を導入する前に、設置予定の設備が課税対象になるかどうか自治体に確認するのがいいでしょう。

太陽光発電と固定資産税

太陽光発電は2つの課税対象になる場合があります。
①家屋(屋根と一体型、固定して動かせない)
②償却資産(10kW以上で産業用)

固定資産税とは、土地や家屋、償却資産に対して毎年かかる地方税の事をいいます。土地や家屋は基本的に全て国のものであり、それに対する使用権として私達は税金を納めています。また、土地や家屋自体だけでなく、それに付随する上下水道や環境整備などの行政サービスの対価も固定資産税に入ります。太陽光発電設備も償却資産ですので、所有者である個人、法人は償却資産の申告をしなければいけません。
償却資産とは、製造業や小売り、農業などを営んでいる個人や事業主、会社などが所有する運搬具、器具、備品などの事業用資産です。太陽光発電設備は機械・装置に当たります。

太陽光発電の売電は固定価格買取制度に基づき行われます。固定価格買取制度とは、2012年にスタートし、再生可能なエネルギーを用いて発電した電気の買取を電力会社に義務付ける制度です。太陽光発電の場合、10kWを境に売電方法が変わります。

太陽光発電の売電方法と所得

売電方法には2種類あります。
①余剰買取
②全量買取

余剰買取とは、10kW未満の設備で発電した電力を実際に使用して余った電力を売電する事です。
全量買取は発電した電気を全て売電する事です。10kW以上の設備の場合、余剰買取か全量買取か選ぶことができます。

一般家庭でも10kW以上の設備があり、投資や副業をされている場合は確定申告が必要です。
売電によって得られる所得は3つです。

①雑所得
②事務所得
③不動産所得

住宅用太陽光システムの余剰買取は雑所得として扱われます。偶然余っていた電気を売ったという扱いになるので、継続した事業としてみなされないためです。

事業所得者が事業の一環として売電を行った場合は事業所得になります。設置場所が事業所兼自宅でも同様であり、また設置者が給与所得者である会社員でも50kW以上の太陽光発電を設置しているなど、一定の条件を満たせば事業所得と扱われます。

賃貸住宅に太陽光発電システムを設置し、発電された電気を賃貸住宅の共有スペースに使った後に余剰売電した場合、共有スペースで使用した電気代は必要経費とみなされるため不動産所得となります。

産業用と住宅用の違い

太陽光発電設備は2つに分けられます。

・産業用太陽光発電(10kW以上)
・住宅用太陽光発電(10kW未満)

出力10kW以上あれば全量売電や余剰売電など、売電方法に関わらず課税対象となります。産業用太陽光発電は課税対象であり、収益を得る事を目的とした事業用資産とみなされます。
住宅用太陽光発電設備は個人の利用とする資産のため基本的に非課税ですが、出力が10kW以上の設備は産業用とみなされてしまうのでご注意ください。全量売電をしていても売電事業者とみなされ、償却資産の申告をしなければいけません。屋根や庭の空き地に10kW以上の設備を設置した場合も不動産賃貸事業の一部とみなされ、発電した電力を全て住民が使っていたとしても課税対象になります。
また、10kW未満でも住居兼店舗など自宅をお店として経営している、部屋の一部を貸し部屋にし、賃貸用として利用している場合も産業用とみなされて課税対象になります。非課税になるのは一般家庭での電気利用が目的の場合のみとなります。

太陽光発電の設置形態によっても課税になる可能性があります。固定資産税の対象は土地や家屋に固定された資産です。屋根と一体型の太陽光発電設備を取り付けた場合、家屋として課税対象になるため、固定資産税がかかります。それに対し、架台に取り付ける方式で太陽光発電を取り付けるなど、設備の取り外しが可能な後付けタイプの太陽光発電設備は非課税になる場合が多いです。

太陽光発電の固定資産税の計算方法

太陽光発電設備が課税対象になる場合の計算方法は以下の通りです。

たとえば10kWの太陽光発電設備を600万円で購入したと仮定します。
個人所有ですが、全量売電を行うので産業用とみなされ課税対象となります。
太陽光発電設備の法定耐用年数は17年です。固定資産税の税率は課税評価額の1.4%です。
太陽光発電は償却資産ですので、耐性年数を元に減価率は決まり、毎年資産価値が減価していきます。また、固定資産税額2/3に減免される課税標準の特例が取得後3年間適用されます。

1年目
初年度の原価率0.064
購入額6,000,000円×(1-0.064)=課税評価額5,616,000円
5,616,000円×税率1.4%×2/3=52,416円
1年目の固定資産税は52,416円

2年目
2年目以降の減価率0.127
5,616,000円×(1-0.127)=4,902,768円(2年目の課税評価額)
4,902,768円×税率1.4%×2/3=45,759円
2年目の固定資産税は45,759円

3年目
4,902,768円×(1-0.127)=4,280,116円(3年目の課税評価額)
4,280,116×税率1.4%×2/3=39,947円

太陽光発電設備の減税特例

太陽光発電設備の固定資産税は、再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置という税制上の優遇措置があります。平成24年から実施されているエネルギーの安全保障の強化や低炭素社会の創出、エネルギー関連産業の創出・雇用拡大の観点から国が推奨している制度です。平成28年に改正され、平成29年度までに取得した太陽光発電設備が対象となります。

対象設備条件は2つです。
①平成28年4月1日から平成30年3月31日までに取得した太陽光発電設備
②再生可能エネルギー事業者事業費補助金を受けている

この2つをどちらも達成している場合のみ対象設備条件対象者となります。
再生可能エネルギー事業者事業費補助金とは、10kW以上の太陽光発電設備で自家消費を目的とした設備を対象としています。小規模な複数発電設備を組み合わせ、出力合計が10kW以上であっても補助対象となります。

条件を満たした設備は3年分の固定資産税に限り、設備の課税標準額が2/3に減税されます。この制度を受けるには、設備所在地の各市町村へ固定資産に関する課税標準の特例申請書類を提出しなければいけません。特例申請書とは、一般財団法人環境共創イニシアチブ(SII)発行の「再生可能エネルギー事業者支援事業補助金」交付決定通知書の写しのことです。

まとめ

蓄電池に関する税金について解説してきました。以下まとめになります。

・蓄電池には2種類の税制優遇制度がある
・蓄電池は固定資産として減価償却できる
・雑所得から減価償却を引いた金額が20万以上で所得扱いになる

蓄電池の減価償却は売電収入が20万円を超えることがない限り関係がありません。しかし、売電を事業化したいと思っている方は蓄電池の経費計上が節税対策として重要になってきますので、ぜひこの機会に減価償却費を見直してみてください。以上蓄電池と税金についてでした。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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