蓄電池と太陽光発電のサブスクリプションを実際に行っている会社のサービスについてまとめてみた

近年、新電力の猛追で、既存の電力会社は顧客流出に歯止めがかからない状況であり、他のサービスを単体でも提供可能な製品やサービスを、複数組み合わせてセットで販売したり、別の製品やサービスに付属して販売、提供することで長期的な契約継続を促すサービスを施策しています。太陽光発電や蓄電池のサブスクリプションサービスもその内の一つです。今回は蓄電池とサブスクについて解説します。

サブスクとは

サブスクとはサブスクリプションの略であり、製品やサービスなどの一定期間の利用に対して、代金を支払う方式のことです。「月額課金」や「定額制」という言葉で、暮らしに必要な家具や家電、車、衣類、日用品など、幅広いジャンルへとサービスが広がっています。

サブスクのメリット

サブスクのメリットは以下の通りです。

気軽に始められる

1つ目は「気軽に始められる」ことです。

サブスクは比較的安価ではじめることができ、いつでも解約可能なので気軽に利用できます。
「30日間無料」など試用期間があるサービスも多く、自分に合うかどうか見極めてから導入することもできます。

~し放題はコスパがいい

2つ目は「~し放題はコスパがいい」ことです。

動画や音楽の定額配信サービスの場合、DVD一枚分の費用で複数の作品を視聴できます。毎月頻繁に映画や音楽を視聴する人には「~し放題」は非常にお得といえるでしょう。

買う手間がはぶける

3つ目は「買う手間がはぶける」ことです。

車や家具のある生活を始めたいと思っても、全てを購入するにはかなりの出資が必要となります。
しかし、サブスクなら毎月の利用料金だけで揃えることができます。
中には乗り換えや借り換え自在なものもありますので、ライフステージが変化した場合も対応可能です。

また、夕食分のお弁当を毎日届けてくれるサブスクや衣服をレンタルしてくれるサブスクを利用すれば、買い物に行く手間も作る手間も省くことができます。

電気会社のサブスク

電気会社のサブスクの場合、だいたい月次の電気料金にオプションとして付加され、毎月利用料金が引き落とされる形が多いです。月次の電力使用量と、サブスクリプションの利用料金次第ですが、電気を多く使う住環境であれば費用対効果は高いのではないでしょうか。

サブスクのメリットは①「低額な費用で利用できる」②「気に入らなければ他の商品に変更できる」③「不要になったら解約できる」です。
しかし「屋根に穴を開ける太陽光発電」「地面に基礎ブロックを設置する家庭用蓄電池」の導入の場合、原状復帰して商品を返却するのは実質的に不可能であり、解約条件はおそらく残価での買取ですので②と③のメリットは達成できません。
また、ローンでの購入の場合①においても月額の支出は同じです。

そのため、導入の際には「解約条件」「購入との比較」を必ずチェックし、国や地方自治体から出ている補助金を勘案した上でサブスクと購入時の価格を比較しましょう。

サブスクを行っている会社

実際に太陽光発電と蓄電池のサブスクリプションサービスを行っている会社は以下の通りです。

IBeeT

2021年8月12日、伊藤忠商事と東京センチュリーは、再生可能エネルギーの普及や自然災害に対するレジリエンス向上・停電対策の観点から、家庭用蓄電システムや中大型の蓄電システムのニーズ拡大需要に対応し市場導入を促進すべく、脱炭素社会の実現に寄与する蓄電池などの分散型電源や関連機器のサブスクリプションサービスの提供を目的とした、資本金2億4500万円の合弁会社「株式会社IBeeT(アイビート)」(東京都千代田区)を共同出資で設立しました。

IBeeTで提供するサブスクリプションサービス第一弾として、2021年9月に「Beeフラット」を開始しました。伊藤忠商事が販売する家庭用蓄電システム「Smart Star L」ならびに「Smart Star 3」を、初期費用無料および月々定額で各ご家庭にリース提供いたします。契約期間中の定期メンテナンスサービスに加え、従来の10年の製品保証に対して5年延長するとともに、AIソフトウェア「GridShare」による最適充放電サービス等をパッケージで提供し、契約期間満了後にはご家庭へ蓄電システムを無償譲渡する国内初のサブスクリプションサービスとなります。

「Smart Star」は、全負荷型蓄電池として、停電時に全ての電気を利用できる利便性を有していることに加えて、各家庭の電力需要パターンを人工知能(AI)で学習し、太陽光や深夜の安い電力を活用した蓄電池放充電の最適化が実現可能です。2021年6月末時点で累計販売台数4.5万台(約450MWh)を突破しています。
契約期間中の定期メンテナンスサービスの他、長期の製品保証、AIソフトウェア「GridShare」による最適充放電サービスなどもパッケージで提供し、契約期間満了後にはユーザーに蓄電システムを無償譲渡する予定です。

伊藤忠商事が販売する家庭用蓄電システム「Smart Star」は、同社がNFブロッサムテクノロジーズ社と共同で開発・販売する家庭用蓄電システムです。IBeeTの蓄電池サブスクリプションサービスでは、容量9.8kWhの「Smart Star L」と、容量13.16kWhの「SMart Star 3」を提供します。

IBeeTでは、将来的なサブスクリプションサービスとして、電気自動車(EV)などのリユース電池を活用した中・大型蓄電システム「Bluestorage」や、業務用蓄電池、太陽光パネル、EV本体及び関連機器などの提供も視野に入れています。さらに、IBeeTが提供サービスを通じて保有する分散型電源から生み出される余剰電力を、AI「GridShare」を用いて相互に融通できるシステムの構築など、効率的な分散型電源プラットフォームの早期構築を目指しています。

伊藤忠商事および東京センチュリーは、今後IBeeTと連携して分散型電源並びに関連機器のサブスクリプションサービスを進化させることにより、新たなエコシステムおよび循環経済創出など、脱炭素社会と分散型エネルギー社会の実現に向けて貢献していくでしょう。

シャープ

2021年5月16日、シャープと東京電力グループのTRENDEは、シャープを窓口として新築向けに、無償で太陽光発電や蓄電池を設置し、ユーザーは発電した電力を定額で利用できる新しいPPA(第三者所有モデル)サービス「COCORO POWER(ココロパワー)」を発表しました。

PPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)とは、施設所有者が提供する敷地や屋根などのスペースに太陽光発電設備の所有、管理を行う会社(PPA事業者)が設置した太陽光発電システムで発電された電力をその施設の電力使用者へ有償提供する仕組みです。

COCORO POWERの申しこみは2021年6月30日からであり、太陽光パネルの設置容量は5~10kW未満、新築住宅が対象、売電収益はシャープの収益となります。
また、太陽光発電の発電状況の見守りや、通常使用時に発生した故障への対応・修理費用などは、月額料金に含まれているのでメンテナンスを気にする必要がありません。
サービス開始日から10年後に、設置した太陽光発電システムはユーザーに無償で譲渡されます。

プランは以下の通りです。
 ・ソーラープラン:太陽光発電のみを設置
 ・ソーラー蓄電池プラン:太陽光発電と蓄電池を設置

ソーラープランは、初期費用ゼロで太陽光発電システムを設置します。
太陽光発電で発電した電気は、毎月の定額制で使い放題となっています。
さらに、毎月140kWhまでの系統電力からの電気も追加料金なしで使用できます。
月額料金はガス併用で税込7,700~8,800円、オール電化で同8,800~9,900円で地域によって異なります。
なお、契約容量が6kVAを超える場合、契約容量追加料金が発生する他、140kWhを超えた場合は地域によって変動はありますが、超過1kWhにつき同25.85円の費用が加算されます。

ソーラー蓄電池プランは、初期費用ゼロで太陽光発電システムと蓄電池をセットで設置し、全国一律で月額税込1万3860円で使用できます。システムの譲渡は、サービス開始日から14年後となります。

ソーラー蓄電池プランの特徴は以下の通りです。
・昼間に発電した電気を蓄電池にためて夜間などに使用できる
・停電への備えとして蓄電池残量をキープ
・ユーザー側で電気の使い方を選べる
・シャープのクラウドHEMSサービス「COCORO ENERGY」が蓄電池の充放電の制御を行う

「COCORO ENERGY」は、AIが季節や天気予報などから予測した翌日の余剰電力量に応じて、夜間の系統電力からの充電量を制御し、効率よく自家消費することができます。さらに、台風などの気象警報が発令された際に、自動で満充電にする機能も搭載しており、停電時に使用できる機器の合計の負荷容量は最大で2kVAあります。

このプランには制限があり、それは以下の通りになります。
・系統電力の利用契約は含まれていないため、現在利用している電力会社との利用契約は継続する形になる
・家庭で使用しなかった余剰電力の所有権はシャープに帰属する
・EV用充電器など指定された一部の設備および機器を組み合わせて利用することはできない
・今回のプランの提供エリアは、東北電力、東京電力、中部電力、関西電力、九州電力のいずれかの管内にある
・原則として2階建て以下の新築住宅(ただし、垂直積雪量70%以下の地域に限る)
・対応する屋根は、スレート屋根、金属屋根、瓦屋根(北面設置不可)
・契約時点で60歳以下のユーザーが対象

まとめ

蓄電池とサブスクリプションについて解説してきました。以下、まとめとなります。

・サブスクとはサブスクリプションの略で、製品やサービスなどの一定期間の利用に対して、代金を支払う方式のこと
・条件付きではあるが、サブスクサービスをはじめる電気会社が増えつつある
・買った方が総額的には安くなるが、まとまったお金を用意しなくても月額支払いで太陽光と蓄電池を利用することができる

一定期間ごとに使用料を払うサブスクが広がったことにより、太陽光発電や家庭用蓄電池も、一定期間リーズナブルな価格で使用できるようになりつつあります。サブスクという導入方法が選択肢に加わったことで、気軽に設置しやすくなるのではないでしょうか。

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蓄電池コンシェルジュは、蓄電池を購入しようとお考えの方々に、蓄電池を活かした暮らしをするための上質なコンシェルジュサービスをご提供しております。再生可能エネルギーに理解のある方々にご利用頂くことが「脱炭素社会」実現へのカギとなります。蓄電池コンシェルジュは、文化的、社会的資産を後世に引き継ぎ、社会的責任としての取組みのみならず、日本の人口減少と地球温暖化の危機を救うためのお手伝いをさせて頂いております。

蓄電池コンシェルジュは皆さまの人生をより豊かにする蓄電池をご提案させて頂きます。皆さまのご利用を心よりお待ち申し上げております。

蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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