卒FIT後にオール電化を導入するととてもお得!深夜料金で電気を買うより自家消費しよう

卒FITとは

卒FITとは、高額な価格で発電した電気を買ってもらうことができる固定価格買取制度(FIT)が終了することです。FITとは、太陽光発電が作った電気を電力会社に一定価格で10kW未満は10年間、10kW以上は20年間購入してもらえる制度です。再生可能エネルギーを普及促進するために設けられました。2019年秋には10年目を迎える一般家庭は53万世帯となり、行政の対策がFIT期間終了間近に行われたため「2019年問題」と呼ばれました。FIT期間が終了してしまうと、売電価格は急落してしまいます。FIT制度開始時、43円/1kWhと非常に高額な売電価格が保証されていました。しかし、卒FITを迎えると大手電力会社の場合約8円/kWhになってしまいます。売電価格が一気に下がるため、電力会社から電気を購入するのを極力減らし、発電した電気を蓄電池やエコキュートなどを使って「自家消費」する方法が一番お得かもしれません。今回は卒FITとオール電化について解説します。

オール電化とは

オール電化とは、家の中の調理・空調・電気・給湯などの熱源を全て電気で賄う事です。
たとえば、キッチンではガスではなく電気を使って調理する「IHクッキンングヒーター」や、給湯ガスでお湯を沸かすのではなく、安い深夜料金で夜間にお湯を沸かし、日中に使えるよう沸かしたお湯を溜めておく「エコキュート」。灯油のストーブを使うのではなく、エコキュートの熱を利用した「床暖房」や安い深夜電力で夜間に蓄熱してその熱を日中に利用する「蓄熱ヒーター」という暖房機を使うなどです。

オール電化のメリット

オール電化のメリットは4つです。
①お湯や暖房を安く使える
②基本使用料を一本化
③住宅内に熱源を持たず安全
④震災時にタンク内の水が利用可能(ただし飲用水としては利用不可)

オール電化向けの電気料金プランは、夜間時間帯の電気料金がとても割安に設定されているので、その安い夜間電力を利用して日中に使う分のお湯を沸かし、暖房の蓄熱をします。

オール電化のデメリット

オール電化のデメリットは3つです。
①昼間の電気代が高くなる
②設置コストが高額
③IHクッキングヒーターは好みが分かれる場合も

オール電化の場合、夜間の電気料金が安い分、日中の電気料金が割高に設定されています。エコキュートは夜間の電気料金に適応されますが、翌日湯切れや熱切れを起こしてしまった場合は追い焚きをしなければならず、その際にかかる電気代は日中の割高な単価が適用されてしまいます。また、エコキュートや蓄熱暖房機は本体費用のほかに、基礎工事費用、水道関連工事費用、電気工事費用といったように、導入する際の費用が多くかかり、設置場所の確保、補強が必要になる場合もあります。

家電の時間帯を安い時間帯にずらすとお得

オール電化を導入する際には、食器洗浄や乾燥、炊飯などを安い夜間電力の適応される時間帯をうまく利用して行えば、電気代を安く抑える事ができるでしょう。タイマーなどを使って時間を計り、家電の時間帯を安い時間帯にずらして使っていく事をオススメします。

卒FITになると昼間運転がお得になる理由

太陽光発電とオール電化を組み合わせると、卒FITを迎えた家庭において大幅な電気代削減効果を得る事ができます。今回はオール電化の一つであるエコキュートを例にとって説明していきます。
エコキュートとは、エアコンなどにも利用されているヒートポンプ技術を利用してお湯を作る給湯器です。室外機を利用して大気中の熱を集め、圧縮機に運びます。そして、それを電気エネルギーによってCO2を圧縮し高温にします。高温になったCO2は、熱交換器に運ばれ貯湯タンク内の水を温め、水が温まったところでCO2を空気交換機に戻すという工程を繰り返して、家庭で使用するお湯を沸かす構造になっています。これらすべては電気を利用しており、同じ電気でお湯を沸かす給湯器には、電気温水器もあるのですが、エコキュートはヒートポンプ技術を採用しているため、少ない電気でお湯を沸かすことができる省エネ設備として人気です。エコキュートはお湯を沸かして作り置きするためのヒートポンプユニットと貯湯タンクで構成されており、比較的大きな設備となります。
日本では、設置に広いスペースを必要としないガス給湯器が広く普及していましたが、環境負荷が少ない、給湯コストを大幅に削減できるなどと言ったメリットが好まれ、現在エコキュートに入れ替える方が増加しつつあります。エコキュートは、電気代が安い深夜帯に1日に必要になるお湯をまとめて作って、貯湯タンクに貯めておく事が可能です。
ヒートポンプ技術を使って少ない電気でお湯を作ることができる上に、電気代が安い時間にまとめてお湯を沸かすことができるため、他の給湯設備と比較して、ランニングコストを非常に安く抑えることができます。同じ電気を利用する電気温水器と比較すると、概ね1/3程度の電気代で運用することが可能です。
卒FITを迎えた太陽光発電とエコキュートを組み合わせるとお得になる理由は3つです。

①余剰電力が有効活用可能
②夜間電力より売電価格が安いから
③エネルギーロスを少なくできるから

①余剰電力が有効活用可能だから

太陽光発電を設置している家庭の多くは、自宅で発電した電気を全て自分で使い切らず、余剰電力はFIT制度を利用して売電収入を得るという使い方をしています。
しかしFIT期間が満了し、卒FITになってしまうと、今までのような高額な売電価格では余剰電力を買い取ってもらうことができません。当初43円/1kWhと非常に高額な売電価格だったのに対して、卒FITを迎えると大手電力会社の場合約8円/kWhになってしまいます。
一方、大手電力会社から電気を購入する金額は24~26円であり、その価格は年々上がってきています。そのため、いくら余剰電力を売電しても買電価格との差でメリットを得る事が出来なくなってしまうのです。よって、電力会社から極力電気を買わずに、今まで売電収入を得るために使っていた余剰電力を使って、日中エコキュートでお湯を沸かした方が絶対にお得なのです。

②夜間電力より売電価格が安いから

エコキュートを導入している家庭の多くは、深夜料金が格安になっているプランに切り替えて給湯コストを抑えている事が多いでしょう。
しかし、卒FITを迎えた一般家庭の売電価格は8円程度にまで下落しています。つまり、格安と言われている深夜帯の売電価格ですら下回るのです。深夜電力プランは夜間の電気代が格安になりますが、昼間の電気代が高く設定されています。そのため、電気を利用してお湯を沸かした方がお得であり、昼間にエコキュートを運転させることで、深夜電力プランを利用しなくてもよくなるでしょう。

③エネルギーロスを少なくできるから

エコキュートは、通常電気料金が安い深夜帯の電気を利用して、日中に使う分のお湯をまとめて沸かすことができます。しかし、お湯を使うまでの間はタンク内である程度温度を保つことはできますが、徐々に放熱して温度低下してしまいます。そのため「深夜にお湯を沸かす」と「昼間にお湯を沸かす」を比べた場合、時間差で昼間にお湯を沸かした方がエネルギーロスを少なくすることができるのです。また、エコキュートはヒートポンプ技術を利用しているため、気温の低い夜間よりも外気温が高い昼間の方が効率よく空気中にある熱を利用してお湯を作ることができます。その効果は昼と夜を比較すると11%程度の省エネ効果があるという実験結果があるそうです。

各メーカーのエコキュートに付いている便利機能

オール電化であるエコキュートを開発しているメーカーによっては、より効率的に利用できるよう様々な機能をつけています。
①ソーラーチャージ機能(パナソニック)
②お天気リンクAI(三菱電機)
③ソーラーモード(コロナ)

①ソーラーチャージ機能(パナソニック)

「ソーラーチャージ機能」を使えば、夜間の沸き上げ量を減らして、翌日の昼間に分散して沸き上げるなどが可能となります。そのため、太陽光発電の余剰電力を自家消費できる機能だと言えるでしょう。

②お天気リンクAI(三菱電機)

「お天気リンクAI」は、翌日が晴れの予報なら、翌日の日中に太陽光発電でお湯を沸かし、雨ならお湯を晩のうちに自動で沸かすという非常に高機能な機能となっています。ただし、この機能を利用するためには、三菱HEMSおよび別売部品のGT-HEM3が必要です。

③ソーラーモード(コロナ)

「ソーラーモード」は、明日・明後日の天気予報を確認し、晴れ予報の時間帯にソーラーモードをONにしておくことで、夜間にお湯をつくる量をセーブして、翌日の昼間に太陽光で発電した電力を使い、設定量までお湯をつくる機能です。
好天が続く夏季などであれば、ソーラーモードを1週間継続することも可能であり、1週間経過後は、自動的に通常運転モードに戻ります。

まとめ

卒FITとオール電化について解説してきました。以下、まとめになります。

・卒FITとオール電化を組み合わせるととてもお得
・卒FIT後の売電価格は深夜の割安料金よりも下回るから、電気を買うのを減らして自家消費に回した方がお得
・エコキュートにはメーカーによって多種多様な機能がついている

FITは、一般家庭の場合10年間と決められた期間だけ高値で売電価格を保証してくれるものであり、いずれ終わりが来ます。そのため、卒FITを迎えた後に余剰電力をどうするのかを早めに決めておく必要があります。
卒FIT後の大手電力会社の電気買取価格は約8円/kWhと、深夜の割安電気料金よりも下回っています。そのため売電するよりも自家消費に回して買電量を減らすようした方が圧倒的にお得です。余剰電力を使ってエコキュートを昼間運転させたせいで売電収入が得られなくなっても、余剰電力でお湯を沸かした方がお得なのです。
日中、太陽光発電により自家発電してできる余剰電力を利用すれば、効率的にオール電化を利用する事ができるといえるでしょう。深夜電力プランから通常料金プランに戻すことで、全体的に電気代を削減する事もできます。
下落した売電価格で収入を期待するのではなく、電力を自家消費する体制を作ることで、売電収入以上の電気代削減効果を期待することもできるかもしれません。
また、オール電化を検討している方におすすめしたいのが蓄電池です。蓄電池とオール電化の相性は非常によく、オール電化の弱点である日中の高額な電気料金と停電のリスクを解消できます。ぜひ、卒FITを迎えてどうしようか迷っている方は、オール電化と蓄電池を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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蓄電池コンシェルジュ代表
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