卒FIT後どうする?卒FIT後に取るべき選択肢とは?徹底解説してみた!

FITと卒FITとは

再生可能エネルギーのFIT制度とは、太陽光、地熱、水力などの再生可能エネルギーを用いて発電された電気を、国が定める固定価格で一定期間地域指定電力会社が買電することを義務付ける制度です。電力会社が再生可能エネルギーを買い取る際にかかる費用は再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)として、電気を使用している全ての家庭から電気代に上乗せされて徴収されます。

FIT制度による余剰電力の固定買取価格は、設備費の価格・発電コスト(太陽パネルなど)に基づいて算出されます。
家庭向け太陽光発電の場合、10年間の固定価格買取義務期間が設けられています。48円/kWhと高額な単価に設定したのは、太陽光発電などの再生可能エネルギーの普及拡大を国が目指したからです。

FIT利用者の中には未稼働案件をする事業者も現れました。未稼働案件とは、固定買取価格が高額の時にFIT認定を受け、その後放置し、発電コスト(設備など)が下がってから稼働させ不当な利益を得ようとする、未稼働の発電施設を指します。FIT認定を受けた後、一定期間が過ぎても発電をはじめない事業者にはさまざまなペナルティが課せられるようになりました。

FIT制度により太陽光発電は一気に普及し、それに伴い、太陽光パネルなどの設備費は随分値を下げることになりました。つまり固定買取価格もどんどん安くなっていったのです。
太陽光発電が普及するにつれ、再エネ賦課金は増大していきます。国民にとって大きな負担となってきたため、固定買取価格決定の仕組みを見直し、固定買取価格の引き下げが行われました。

卒FITとは固定買取制度が満了した事を指します。
FITは2009年11月から始まり、10年前いち早く太陽光発電を導入した約53万世帯がいわゆる【卒(卒業)FIT(固定価格買取制度)】を迎えました。2020年は約20万件、2021年も約27万件が対象です。
売電価格は48円/kWhから8円/kWh程まで下がり、逆に電気代は増々上がっていくようで、2011年の東日本大震災以降、電気代は15%以上も上昇しています。電気自動車の普及などによりますます電気の需要が増える一方、消費税引き上げ、原発処理費の負担、原油価格の高騰などにより、今後も電気代は上がり続けていくと予想できるでしょう。

また、電気代の一部である再エネ賦課金も2012年度の0.22円/kWhから、2018年度には13倍の2.9円/kWhに急増しています。300kWh/月ほどの使用量を一般家庭の標準とすると、792円だったものが、なんと10,440円になり、再エネ賦課金も上昇の一途をたどっています。

なぜ国は太陽光電池を普及させたかったのか

日本は再生可能エネルギーの普及を急務としていました。
火力発電は化石燃料の燃焼で大量のCO2を排出し、地球温暖化を促進させてしまいます。
また、日本は化石燃料などのエネルギー資源のほとんどが輸入頼りです。他国にエネルギー資源を制限されると、たちまち困ってしまう状態です。
化石燃料は永久にあるわけではなく、いつか枯渇します。そうなると輸入による確保は難しく、エネルギーの自給自足が課題となってきます。
安全で再生可能なクリーンエネルギーを国内で生産できれば、それによる雇用の創出、地域活性化、化石燃料を購入するための費用を削減が可能となります。
しかし、再生可能エネルギーを用いた発電は、従来の発電方法に比べ高額な設備費、維持費が普及の妨げになっていました。
そこで国が制度を設ける事によって電力会社に一定期間、再生可能エネルギーで発電された電力を固定価格で他の電力より高く買い取ることで、太陽光発電などの再生エネルギーの普及促進を図りました。この作戦は成功し、FIT制度導入以降、再生可能エネルギー、特に太陽光発電は一気に普及していきました。

卒FIT後どうする?卒FIT後に求められる選択肢とは

FIT買取期間が終了すると、法律に基づく電力会社の電気買取義務はなくなり、何もしないままでいると余剰電力は無料で電力会社に売電していることになります。かなりもったいないですよね。太陽光発電システム(ソーラーパネル)の寿命は20〜25年といわれていますから、卒FIT後も太陽光発電システムはまだまだ現役です。そこで、卒FIT後の行動として4つの方法を提案しています。

①継続して地域指定の電力会社に余剰電力を買い取ってもらう
②少しでも高く買い取ってくれる電力会社(新電力)を探す
③蓄電池を購入し、発電した電気を全て自家消費する
④昼間の電力の有効活用+高値売電「SUN給(サンキュー)プラン」(エコキュート)

①継続して地域指定の電力会社に余剰電力を買い取ってもらう

卒FIT後、地域指定の電力会社も続々と買取義務期間終了後の余剰電力買取価格を発表しました。面倒な手続きなどは一切不要、そのまま継続するだけで卒FIT制度後も買い取ってもらえます。これが一番楽な方法ですね。ただし、余剰電力の買取価格は大幅に下がります。

九州電力の場合:48円/kWh(2009年の買取価格)→7円/kWh

太陽光発電の普及に伴い、設備費の値下がりを受け、余剰電力の買取価格は48円→42円→38円と、どんどん下がっていきました。これにより、売電収入だけで太陽光発電の設備費を回収できたわけではありません。このまま売電し続けるのは手間がかかりませんが、電力の買取価格は更に下がっていくので、売電収入では設備費回収は難しいと言えるでしょう。

②少しでも高く買い取ってくれる電力会社(新電力)を探す

2016年4月の電力全面自由化を受け、さまざまな事業者が電力小売事業に新規参入しました。新規参入した新しい電力会社は、地域指定の電力会社と区別するために新電力と呼ばれています。

ほとんどの新電力が余剰電力の買取サービスを行っているので、膨大な中から一番高く買い取ってももらえる新電力を探すのも一つの方法ですが、それはとても困難であるといえるでしょう。新電力ごとにポリシーもプラン内容も付随する条件も異なります。インターネット上で公開されている余剰電力の買取価格だけを参考にして判断するのは少々危険です。地域の電力会社に継続して買い取ってもらうよりも多少の買取価格UPが期待できますが、その代わり信頼できる新電力を探す手間と時間がかかります。また、買取の年数が一年更新という点とパワーコンディショナがいつか故障するのも気になりますね。

③蓄電池を購入し、発電した電気を全て自家消費する

余剰電力を売る代わりに、家庭用蓄電池に貯め、全て自家消費する方法です。
太陽光発電だけを設置している場合、昼間は発電した電力を自家消費し、使いきれなかった分は売電、夜は安い深夜電力を購入して使用というパターンがほとんどだと予測できます。

・卒FIT余剰電力買取価格:7円/kWh
・深夜電力13.25円/kWh(再エネ賦課金を含む)

7円/kWhで余剰電力を買い取ってもらうより、13.25円/kWhの深夜電力を自家発電で蓄電池に蓄えておいた電力で賄った方が断然お得です。

太陽光発電システムと新しく導入した蓄電池を組み合わせれば、昼は太陽光の電気、夜は蓄電池に貯めておいた昼の余剰電気で賄うことができます。更に、電力会社から買う電気を減らすことができるので節電・節約につながります。
太陽光発電だけでは、電力を創り出すことはできても貯める事はできません。太陽光発電の余剰電力を蓄電池に貯めておけば、いざ災害で停電が起こっても蓄電池に貯めていた電気を使うことができます。

自家発電した電気を全て自家消費することで電気代を節約することができ、災害時の非常用電源として役立つので、余剰電力を地域指定の電力会社に継続して売電するより経済的です。蓄電池は高いですが補助金を使うことができれば安く購入する事ができるでしょう。
しかし、蓄電池の寿命は太陽光発電よりも短いので、蓄電池の購入費用を電気代がお得になった分取り戻せない可能性があります。

昼間の電力の有効活用+高値売電「SUN給(サンキュー)プラン」(エコキュート)

太陽光発電の余剰電力は、「売る」から「活用する」時代へと変化しています。
色々な電力会社が卒FITに向けてサービスを出していますが、今回は新電力おおいたのオリジナルサービス「SUN給(サンキュー)プラン」を紹介します。
SUN給(サンキュー)プランとは、昼間にエコキュートを稼働させることで、昼間の電力を効率的に自家消費し、今まで安い深夜電力を使って深夜稼働していたエコキュートを昼間稼働に切り替えることで、給湯効率が大幅にアップさせることができます。
また、再生可能エネルギーの活用は地球環境保護の観点等から非常に重要です。春・秋は電力消費量が減少し、昼間の電力が大量に余ります。これにより、電力は需要と供給のバランスが崩れ、大規模停電などのトラブルを招きます。そのため、春・秋は頻繁に太陽光発電の出力制御し、発電を強制的にとめています。これでは太陽光発電を普及させた意味がありません。その対策として電力の使用を夜間から昼間にシフトし、本来無駄になるはずだった昼間の電力を自家消費します。これにより、貴重な再生可能エネルギーとして有効活用することが可能となります。さらに、再生可能エネルギーの有効活用促進のために、10円/kWh(九州電力7/kWh円)というギリギリの余剰電力買取価格を設定しています。自家消費できなかった余剰電力は10円/kWhで売電することができます。
雨、曇りで自家消費できないときはSUNタイム(10時〜14時)の低料金(0.49円/kWh)で電気を購入できるのも嬉しいですね。

環境問題を配慮し、昼間の再生可能エネルギーを有効活用でき、経済的で効率的な電力の自家消費が可能です。更に余剰電力を10円/kWhという高値で売電可能です。
しかし、新電力おおいたに乗り換えるのに手続きが発生します。面倒な工事など一切なく、乗り換えはとても簡単らしいので、気になった方はぜひ検討してみてください。

卒FIT後パワーコンディショナが壊れた時の選択肢

【前提条件】
太陽光発電を15年間使用
パワーコンディショナが壊れ発電しなくなった

この場合、選択肢として3つ挙げられます。
①直さずそのまま
②パワーコンディショナだけを取り換える
③ハイブリッドパワーコンディショナに取り換えて蓄電池をつける

①直さずにそのまま

太陽光発電はだいたいパワーコンディショナの対応年数が10年から15年と言われています。今まで太陽光発電で発電していた電気を自家消費し、余剰電気を売電していましたが、その効果がなくなってしまいました。つまり、自家消費分の電気代が増えてしまうのです。ご家庭にもよりますが約4,000円~6,000円ぐらいでしょう。この選択肢はすべてを失うことになるのでオススメはできません。

②パワーコンディショナだけを取り換える

パワーコンディショナを直すには容量によりますが、費用が掛かります。ただ、直すことで発電を再開し、自家消費ができるようになり、余った電気も7円~10円前後で売ることができます。自家消費分の4,000円~6,000円復活+売電ができるようになり、直したほうが断然お得です。電気代をあまり払ってない方や今の住居に住む年数が10年未満の方にオススメと言えます。

③ハイブリッドパワーコンディショナに取り換え+蓄電池を付ける

普通、パワーコンディショナは太陽光発電用のパワーコンディショナと蓄電池用のパワーコンディショナとそれぞれに付いています。ハイブリッドパワーコンディショナは太陽光発電のパワーコンディショナと蓄電池のパワーコンディショナを1台にしたものです。
ハイブリッドパワーコンディショナに取り換え+蓄電池を付けることで太陽光発電も復活し余った電気を自家消費ができ、非常用電源としても活躍します。
パワーコンディショナの寿命は10~15年程度ですので、設置してから10年後の卒FITはハイブリッドパワーコンディショナに乗り換える丁度良い時期なのかもしれません。
太陽光発電に設置されていたパワーコンディショナをハイブリッドパワーコンディショナに取り換えると発電も再開し、蓄電池に余った電気を貯めて、夕方以降の自家消費に使用することができます。

自家消費部分の電気代4,000円~6,000円復活+蓄電池の容量にもよりますが、余剰電力を自家消費する電気代約4,000円~10,000円と断然安くなります。太陽光発電の保証が10年の方や設置して10年前後、また今の住居にずっと住まれる方にオススメだと言えるでしょう。

まとめ

卒FIT後に私達がどういう選択肢を取ればいいのかを解説してきました。以下、まとめです。

・卒FIT後、売電価格は48円/kWhから8円/kWh程まで下がるので電気は売るより自家消費に切り替えるのが得策
・地球環境のため余剰電力買取価格を高くすることで、太陽光発電は一般家庭に普及していった
・卒FIT後は蓄電池やエコキュート、そのまま売電、新たに売電という選択肢がある

卒FITは太陽光発電を設置している全ての家庭に関わる重要な問題です。今対象でないから、卒FITまで時間があるからと油断せずに、どの選択肢を選べばいいのかを今から考えておく必要があるでしょう。何もしない選択をするのは一番もったいないです。

上記で解説した方法以外に、V2Hスタンドという選択肢もあります。太陽光発電から電気自動車(EV)へ急速充電し、停電時には電気自動車の大容量バッテリーから家庭に電気の供給も行えますので、災害時のバックアップ電源としても安心です。

CO2削減や再生可能エネルギーなど、FIT制度が設けられた背景を考え、節電や売電収入だけでなく、社会にとっても良くなる選択肢をぜひ選んでください。

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蓄電池コンシェルジュは、蓄電池を購入しようとお考えの方々に、蓄電池を活かした暮らしをするための上質なコンシェルジュサービスをご提供しております。再生可能エネルギーに理解のある方々にご利用頂くことが「脱炭素社会」実現へのカギとなります。蓄電池コンシェルジュは、文化的、社会的資産を後世に引き継ぎ、社会的責任としての取組みのみならず、日本の人口減少と地球温暖化の危機を救うためのお手伝いをさせて頂いております。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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