2021年度の蓄電池の補助金はどうなってる? DERを導入して補助金を貰おう

2021年度はVPP補助金に替わり、DER等導入事業に参加すると国(SII)から最大66.4万円の補助金が支給されます。補助金申請期間は2021年6月上旬から12月24日までです。DER等導入事業とはどのような事業なのか、そしてその他の補助金はどんなものなのか。今回は2021年度の蓄電池の補助金について解説します。

DERとは

DER(Distributed Energy Resources)とは、分散型エネルギー源のことです。
発電所から電力供給だけでなく、住宅あるいは商業ビルなど、電気を使用する場所の近くで発電し、供給する小規模発電源のことを指します。

分散電源というと、太陽光発電や風力発電、コージェネレーション(熱電併給)などの小型発電機などを意味しますが、DERは分散電源に加えて定置用蓄電池や電気自動車(EV)、DR(Demand Response:需要応答)など、エネルギーを作る、貯めるなどの設備の総称を意味します。

DRとは、電気の需要(消費)と供給(発電)のバランスをとるために、需要家側の電力を制御することで、電力需要パターンを変化させることです。

DERは、以下の方法でDERを活用した安定的で効率的な電力システムの構築と、再生可能エネルギーの普及拡大、電力コストの低減などを目的としています。

・今後の電力取引市場等を見据えた蓄電池やエネファーム等からの逆潮流・周波数調整機能等の活用
・稼働状況把握のためのIoT化の実証

社会全体の電力供給の安定化・コスト低減をめざし、エネルギーの補完を行う新しい社会の形態といえるでしょう。

2021年度DER等導入事業補助金

国には、再生可能エネルギーの普及によって、世界的な温暖化対策・CO2削減に向けた取り組みを加速したいという思惑があります。そのため、主に再生可能エネルギーを使ったDERを行う事業者に対して補助金を出し、実験の協力を促す事業をDER等導入事業補助金といいます。一般の方が受けられる事業としてはC事業という区分になります。

それでは、補助金を受けるための条件や概要、補助金額などを見ていきましょう。

予算額

2021年度DER等導入事業補助金の予算総額は45.2億円です。
補助金の申請は、SII(環境共創イニシアチブ)から行います。

補助金額

2021年度DER等導入事業補助金額は以下の通りになります。

・蓄電池:蓄電システム(設備費+工事費)の1/3以内、上限は初期実効容量4万円/1kWh
・HEMS等:補助金額一律10万円
・家庭用V2H:工事費として定額40万円/台、設備費として上限75万円/台
・エネファーム:5万円 / 台

補助金は予算額が無くなり次第終了となるので、先着順です。検討中の方は早めに申請などに動きましょう。
DER等導入事業補助金は、既に太陽光発電が設置済み、もしくは太陽光発電と同時に蓄電池を設置される方が対象となります。

・太陽光発電システム
・蓄電池
・HEMS

上記3点セットが揃っていないと対象にはなりませんので、ご注意ください。

スケジュール

2021年度DER等導入事業補助金のスケジュールは以下の通りになります。申請開始はSIIのホームページからになります。

・補助金申請:2021年6月上旬~2021年12月24日
・系統連系の期日:令2021年12月24日
・実績報告締切:2022年2月10日

補助金申請の流れ

2021年度DER等導入事業補助金申請の流れは以下のようになります。
スケジュールに則った工事完了、実証実験への参加および報告ができる方が対象です。

①販売会社から提案・見積もり
②補助金申請(2021年6月初旬)
③SIIにて審査・交付決定(申請から数週間)
④契約・入金(工事業者と交付決定後契約)
⑤蓄電池の工事完了+電力会社の認定・運転完了(2021年12月24日まで)
⑥DER実証に参加(2022年1月頃)
⑦実績報告書をSIIに提出(2022年2月10日まで)
⑧SIIより支払確定

申請は勿論、2021年12月24日までに蓄電池を含むシステムの連携が開始、実証実験への協力、報告書の提出が必須です。

この場合、「連携」とは蓄電池・HEMSを含むシステム全体の工事が完了して、なおかつ電力会社との認定および連携運転が完了している状態のことをいいます。そのため、工事期間や電力会社への申請期間から逆算して補助金申請を行わなければいけません。

工事業者との契約は、交付決定を受けてからでないと契約することができません。そのため、工事の請負契約日と、補助金の交付決定日が逆転しないように注意しましょう。

工事は、数日から1週間ほどで完了する場合が多いですが、電力会社への設備認定の申請など、何かあった時のために数か月の余裕をみておくことをオススメします。

また、実証実験の実施期間は2021年から2024年までの3年間となっていますが、実証実験の参加は毎日ではなく1年間の中で1週間程度となっています。

この1週間で、蓄電池がHEMSを介して遠隔操作され、充電や放電を行う実験が行われます。実験に協力する協力金として、補助金が採択される形です。

補助金対象蓄電池・補助金額の一例

2021年度DER等導入事業補助金は実証実験の性質上、遠隔で操作できることや事業者指定の縛りなどもあり、実質的には長州産業の蓄電池のみに補助対象は限られてきます。対象蓄電池・補助金額の一例を表にまとめました。

蓄電池シリーズ蓄電池タイプ容量システム定価補助金額(工事費・HEMS含む)

 

工事目標金額
e-STORAGE単機能型6.5kWh268.95万円31.6万円

補助金額上限:21.6万円

HEMS工事上限:10万円

107.25万円以内
e-STORAGE単機能型9.8kWh326.7万円42.8万円

補助金額上限:32.8万円

HEMS工事上限:10万円

161.7万円以内
スマートPVハイブリッド型6.5kWh280.5万円31.6万円

補助金額上限:21.6万円

HEMS工事上限:10万円

107.25万円以内
スマートPV Plusハイブリッド型7.04kWh310.2万円348,000円

補助金額上限:24.8万円

HEMS工事上限:10万円

116.16万円以内
スマートPV Plusハイブリッド型14.08kWh556.6万円59.6万円

補助金額上限:49.6万円

HEMS工事上限:10万円

232.32万円以内
スマートPV マルチハイブリッド型9.8kWh342.32万円45.2万円

補助金額上限:35.2万円

HEMS工事上限:10万円

161.7万円以内
スマートPVマルチハイブリッド型16.4kWh576.62万円69.2万円

補助金額上限:59.2万円

HEMS工事上限:10万円

270.6万円以内

出典:長州産業

販売工事店での工事費用を含む目標価格は蓄電池の商品代+工事費用:165,000円 / kWh 以内です。
補助金を受ける工事は、工事費用の目安金額が蓄電池容量に合わせて設定されています。
たとえば、長州産業の9.8kWの蓄電池であれば以下のようになります。

9.8kWh×165,000円=1,617,000円

工事および商品代の上限とする規定のため、設置業者側は必要以上に高額な工事費用を出すことができないので、設置される側も安心することができます。

地方自治体の補助金との併用

補助金は、1つの工事に対して国が管轄している補助金同士の併用はできません。
しかし、国と地方自治体(都道府県・市町村)の補助金は併用できます。

たとえば、東京都の自家消費プラン事業補助金の場合、DER等導入事業補助金と併用することができます。この補助金はDER実証事業と関係がないため、蓄電池も長州産業以外のものも対象になりますが、長州産業の蓄電池であれば、DER等導入事業補助金と東京都の自家消費プラン事業補助金の両方を受けることができるので、メリットが非常に高くなります。また、23区や市の単位で出ている補助金との併用は基本的に可能です。

東京都の自家消費プラン事業補助金額

東京都の自家消費プラン事業補助金の補助金額は7万円/kWhです。
上限額が42万円であり、機器費の1/2を上限としています。

東京都の自家消費プラン事業補助金の助成対象機器の要件

東京都の自家消費プラン事業補助金の助成対象機器の要件は以下の通りになります。

・1kWh当たり17万円以下の機器(商品代のみで計算)
・都内の住宅に新規に設置する機器(未使用品)
・太陽光発電システムを同時設置するか、既に設置している
・家庭の太陽光発電等の電力データ、再エネ電力の自家消費に伴う環境価値等が提供可能

東京都の自家消費プラン事業補助金の申請期間

東京都の自家消費プラン事業補助金の申請期間は以下の通りです。

2021年4月1日から2022年3月31日(予算額に達し次第終了)

東京都の自家消費プラン事業補助金の対象機器

東京都の自家消費プラン事業補助金の対象機器は、国内で販売されているほとんどの定置型の蓄電池です。

東京都の自家消費プラン事業補助金の注意点

東京都の自家消費プラン事業補助金の注意点は以下の通りです。

・DER補助金と同じように、契約前に設置業者にしっかり確認し、補助金の交付決定後に契約を締結する
・太陽光発電(既存含)やHEMSの併設が条件になっている場合もあり、自治体によって条件が異なるのでしっかり確認する

蓄電池以外との組み合わせで貰える補助金

蓄電池と太陽光発電・HEMSなどを組み合わせるZEHや、電気自動車を蓄電池のように使用するV2Hなどに対しても、国から補助金が出ています。

ZEHに関する補助金

ZEH(Net Zero Energy House)とは、年間のエネルギー収支がゼロ以下になる住宅のことで、高断熱や省エネの性能を高めるだけでなく、太陽光発電などでエネルギーを創り出すことによって、エネルギー収支をプラスマイナス「ゼロ」、または消費エネルギー量よりも自宅で創るエネルギー量が多い状態にする、「自宅で消費する電力のほぼ全てを自宅で創り出す」ことを目的とした住宅を指します。

国は2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目標としており、その一環としてZEH住宅に「ZEH支援事業」という形で補助金を交付しています。

ZEHに関する補助金は2つに別れます。

・ZEH支援事業 (①ZEH ②ZEH+)
・次世代ZEH+実証事業(次世代ZEH+)

ZEHの補助金は、定額60万円/戸です。
ZEH+と次世代ZEH+は、定額105万円/戸です。
追加補助額は蓄電システム補助の2万円/kWhです。上限20万円または補助対象経費の1/3のいずれか低い額が支給されます。

対象者は以下の通りです。
・戸建ZEH(+)を新築する方
・新築戸建て建売ZEH(+)を購入する方
・自己所有戸建住宅をZEH(+)に改修する方

EV・V2H補助金

V2H(Vehicle to Home)とは、太陽光発電で発電した電気を電気自動車に充電したり、電気自動車の電気を家庭内で使用するなど、電気自動車を蓄電池のように運用することが可能となるシステムのことです。

V2Hに対する主な補助金は「経済産業省」「環境省」「CEV(一般社団法人次世代自動車振興センター)」から交付されています。

環境省から電気自動車(EV車)とV2Hに対して高額な補助金が交付されています。補助金額は以下の通りです。

補助金額は以下です。
・電気自動車(EV車):最大80万円
・ニチコンV2H:39.9万円(商品)、20~31万円(工事)

まとめ

2021年度の蓄電池の補助金について解説してきました。以下、まとめになります。

・2021年度は、DER等導入事業に参加すると国(SII)から最大66.4万円の補助金が支給
・国と地方自治体の補助金は併用できてお得
・蓄電池以外にもZEHや電気自動車、V2Hの補助金が出ている

補助金の交付が決まる前に契約や発注によって発生した経費は補助金の対象外となってしまいます。補助金の申請を行った後、決定の通知を受け取るまでは蓄電池を購入しないようにしましょう。
SII(環境共創イニシアチブ)から交付されている蓄電池補助金は、予算上限が決まっているため早いもの勝ちです。補助金を申請する場合は、公募期間内にできるだけ早く申請することをオススメします。この機会に蓄電池を導入してみてはいかがでしょうか。

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蓄電池コンシェルジュは、蓄電池を購入しようとお考えの方々に、蓄電池を活かした暮らしをするための上質なコンシェルジュサービスをご提供しております。再生可能エネルギーに理解のある方々にご利用頂くことが「脱炭素社会」実現へのカギとなります。蓄電池コンシェルジュは、文化的、社会的資産を後世に引き継ぎ、社会的責任としての取組みのみならず、日本の人口減少と地球温暖化の危機を救うためのお手伝いをさせて頂いております。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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