世界は地球環境対策として脱炭素社会を求めています。その考えはSDGsとESGの観点から生まれました。世界の投資家達は2つの観点に立った経営をしている企業を投資する流れになってきています。それにより大企業だけでなく中小企業もSDGsとESGという考え方を見つめ直さなければいけなくなりました。この二つの対策として自社の太陽光発電と蓄電池の導入が深く関わってきます。
SDGsとEGSとは一体どういうものであり、蓄電池とどう関係してくるのかを解説したいと思います。
SDGsとは
SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)は、2015年9月の国連サミットで採択されました。2030年までに持続可能でよりよい社会を目指すため、17の目標と169のターゲットから構成された、グローバルな社会課題を解決し持続可能な世界を実現するための国際目標です。最も導入しやすいのが7番目の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と言われています。例えば電気をこまめに消すという小さな行動も7番目に十分貢献しています。
SDGsは重要なコンセプトとして「誰一人取り残さない(No One Left Behind)」を打ち立て、先進国と途上国、さらには政府や国際機関だけでなく、企業を含むすべてのステークホルダーが取り組むべき目標として位置づけられています。
それまでの国連の開発目標は、政府および国際機関のODAなどによる途上国向け開発援助がメインでした。これに対して今回の目標は、気候変動や国内の所得格差拡大といった先進国・途上国の区別なく生じる課題にも目を向けるべきとの社会的論調を反映して、対象を拡大しています。
SDGsの最大のポイントは、政府に限らず、企業や私達個人も含めた地球上全ての人が主体的に課題に取り組むと定められていることです。
特に企業がどれほどSDGsに取り組めるかによって目標達成に近づくとされています。
同年12月に開催されたCOP21(Conference of Parties21:気候変動枠組み条約締約国会会議21回)ではパリ協定が採択され、低炭素から脱炭素へと世界は乗り出しました。
脱炭素社会とは、地球温室効果ガスの大容量を占める二酸化炭素の排出を防ぐために化石燃料から脱却を目差し、それを基盤とする社会を構築することを指します。
日本国内でもSDGsへの対応を要請する動きが明確になり、2016年5月に政府は首相官邸にSDGs推進本部を設置し、日本独自のSDGs達成方針として、イノベーション、地方創生、女性エンパワメントに注力し始めました。
また、2017年11月の企業行動憲章改定において、経団連も企業によるSDGsの推進を後押ししています。さらに2015年9月に日本の年金基金の運用主体であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、投資判断に企業の財務情報だけでなく、環境、社会、企業統治いった非財務情報も考慮するESG投資を行う方針を明らかにし、2017年に運用開始しました。ESG投資はSDGsと裏表の関係であり、GPIFも企業に対しSDGsへの対応を促していると言えるでしょう。SDGsに積極的に取り組んでいる企業は、必然的にESGを意識した企業活動を行っているといえます。
SDGsが提唱されたことでESGの認知度が一気に高まっていき、企業はESGへ向き合うことが求められるようになりました。
ESG投資とは
ESG(environment Social Governance)は環境、社会、企業統治の略称であり、これから企業に求められる要素です。利益ばかり求めるのではなく、ESGを考慮しない限り長期的な事業活動ができないとされています。高度成長期時代に起こった四大公害病のように企業が利益だけを追い求めるあまり、周辺の人々に大きな危害を与えました。責任を追及された企業は金銭面だけでなく信頼や環境汚染という大きな損失を負ってしまいました。
ESG投資とは、環境・社会・企業の観点を重要視した活動をする企業に投資する事です。
環境へ配慮している太陽光発電設備の導入など、グリーン投資を積極的に行う企業へ投資する行為はESG投資にあたります。
日本では、世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2017年からESG投資を開始したことにより、さまざまな企業が一斉にESGの3つの観点を重視した企業戦略について考え、その対策に動き出しました。
投資家がそのような企業に積極的にESG投資すれば、企業はよりSDGsに基づいた事業活動に取り組めるようになるでしょう。そうなると最終的に持続的な事業活動が実現し、投資家も長期的なリターンが得られるようになると考えられます。
ESG投資のポイント
ESG投資のポイントは3つあります。
①自然環境に配慮姿勢を示す企業が投資対象に選ばれる
②事業運営を自然エネルギー100%で行っている大企業はRE100に加盟している
③中小企業でも大きなビジネスチャンスを掴む可能性がある
世界各国で脱炭素に向けた動きが活発になっており、増税などのペナルティが自然エネルギーの利用を行っていない企業に課せられるようになっています。
2006年以降、国連が責任投資原則を提唱し、持続可能性を重視する「ESG投資」は世界中の機関投資家たちの間で急速な拡大をみせています。
企業は環境・社会・企業統治への取り組みを活発化していかなければいけません。
特に世界レベルで取り組みが活発化しているのが環境分野です。事業運営を自然エネルギー100%で行うという取り組みを大企業の多くが行っており、その企業の多くはApple、Googleといった世界的大企業が多く加盟しているRE100という国際イニシアチブに加盟しています。日本では積水ハウスやリコーなどが加盟しています。
RE100に加盟している大企業の多くが、取引先・下請け先起業に対しても自然エネルギー100%利用企業であることを求めます。脱炭素ヘの取り組みは大企業だけの問題ではありません。脱炭素に向けた取り組みを行っている中小企業はこれにより、世界的な企業と取引チャンスが回ってくる可能性が生まれます。ここに大きなビジネスチャンスが生じるのです。
大きなビジネスチャンスを掴めば、日本の小さな中小企業でも安定した事業を行う事が可能です。実際、Apple社は愛知県の太陽光発電所の電力を使って部品製造を行っています。
企業規模に関係なく、ESG対策をしっかりと立てておく必要があります。
自家消費型太陽光発電で脱炭素と経費削減が実現する
日本の中小企業が将来に渡り安定した事業を続けるためには、ESGの観点により脱炭素を目指しているという姿勢が大切です。しかし、大型設備を導入すると初期費用が高額になり、中小企業には大きな痛手になります。設備導入が原因で経営困難になってしまえばESGどころではありません。
自家消費型太陽光発電のメリットとは
自家消費型太陽光発電のメリットは5つです。
①低コストで脱炭素対策が可能
②高額な電気代をほぼ払わなくてよくなる
③経費削減
④より幅広い企業とのチャンスが広がる
⑤炭素排出量が減るので将来的に受ける企業ペナルティが軽減できるかもしれない
例として工場や倉庫、大型店舗などの屋上や空いたスペースに太陽光発電設備を設置したとします。それにより、日中太陽光発電によって得られた電力を施設内に利用することができます。雨天時や夜間などの太陽光発電ができない時間帯にもエネルギーを利用可能ですので、これまで経費を圧迫してきた電気代が不要、もしくは大幅に削減可能になるでしょう。
更に蓄電池を同時導入すると、デマンド値をコントロールして毎月の基本使用料を下げることができます。
デマンド値とは1ヶ月で一番多く電力を使用した瞬間の値のことです。この値を基準に基本使用料は設定されており、一瞬でも大量に電力を使用する事があれば基本使用料がはね上がってしまいます。
蓄電池があれば太陽光発電の電力だけでは足りない、たくさんの電力が必要な時に蓄電池から補うことができますので、デマンド値を抑えることで、基本使用料を抑えることができます。
自社に太陽光発電を導入して自家消費すれば、太陽光という自然エネルギー利用の企業であると言えますので、ESG投資が進む脱炭素時代において非常に有効な手段と言えます。
自家消費型太陽光発電は、自分の施設に電力を供給するためのシステムです。蓄電池と併用すると、日中太陽光発電によって得られた電力を蓄えておき、夜間や雨天時の非常電源として機能させることが可能です。この動きは故障しない限り災害時も発動し、停電が長引いてもとても安心できますよね。
また、環境を配慮したシステムの導入は中小企業が大企業から選ばれるチャンスの拡大につながります。しかし、手に入るかわからないチャンスのためにコストの高い新しい設備投資を行うのは中小企業にとって大変厳しいです。しかし、自家消費型太陽光発電は電気代カット、災害対策が可能であり、導入したメリットが企業にとってとても大きいです。日本では中小企業向けに税制優遇や補助金が受けられますので、ぜひこの機会に自家消費型太陽発電と蓄電池を導入してみてください。
まとめ
SDGsとESGについて解説してきました。以下まとめになります。
・企業や団体、個人が本当にSDGsに取り組んでいるのか評価するための基準の1つとしてESGがある
・世界は脱炭素化社会へと動き出している
・自社の太陽光発電と蓄電池はESGの観点から自然エネルギーと言える
SDGsが提唱されたことでESGの認知度一気に高まりました。その結果、投資家がそのような企業に積極的にESG投資すれば、企業はよりSDGsに基づいた事業活動に取り組めるようになります。
そして最終的に、持続的な事業活動が実現し、投資家も長期的なリターンが得られるようになると考えられています。今やエネルギーは変化の時代を迎えており、選ばれ続ける企業であるために、脱炭素社会に向けて自然エネルギーに対する対策は無視できません。大切なのは、企業だけでなく私達個人もSDGs達成に貢献できるよう行動する事です。
ESG投資は日本の中小企業のエネルギー事情を変えるかもしれない存在です。ESGの環境に注目し、それぞれの企業で導入が進みつつある「自家消費型太陽光発電」はこれからの脱炭素社会に欠かせないものとなってくるでしょう。
以上、SDGsとESGについてでした。