蓄電池を設置するには安全のために消防法が必ず関わってくる

昼に電気を貯めて、電気代の高い夜に自家発電して賢く使いこなす。停電しても蓄電してあるから普段通りの生活を数日送ることができる。
太陽光や蓄電池の設備費用に国や自治団体から補助金が出るようになって、そういう家庭が増えてきているように思えます。昼間貯めた電力を夜中に使用するため、太陽光発電と蓄電池をセットで購入する人も増えています。少しでも容量が多い方がたくさん蓄電できて便利ですが、市販の蓄電池はほとんどが20kWh未満のものです。これには消防法が関係してきます。今回は蓄電池と消防法について解説していきたいと思います。

蓄電池と消防法

一般に私たちが使っている蓄電池とはスマホのバッテリーなどです。
蓄電池には鉛電池や水素電池、リチウムイオン電池などあります。

①車のバッテリーに使われる低コストが魅力な鉛電池
②高出力・高容量。長寿命が魅力的で乾電池二次電池やハイブリッドカーの動力として使われるニッケル水素電池
③ノートパソコンやスマホに使われるリチウムイオン電池

太陽光発電とセットで販売される蓄電池はほとんどがリチウムイオン電池だと言われています。蓄電池は太陽光発電システムと併用すると電力を大幅に節約したり、災害時に非常用電源として使えるのでとても助かります。
蓄電池は発火の危険性もあります。スマホやノートパソコンは使いすぎると熱くて手で持てないほどになりますよね。バッテリーは発火だけでなく爆発する可能性もあるため大変危険です。スマホを充電しすぎて爆発したという事件もありました。
1948年に消防法は発火の危険性を考慮して、蓄電池の設置や取り扱いを規制し始めました。条例化されたのは1961年からです。

消防法とは、火災を警戒・予防し、国民の生命・身体及び財産を火災から保護するとともに、火災や地震などの災害が発生した場合は傷病者の搬送を適切に行うというものです。

家を建てる時も消防法を考慮しながら作られます。同じように、安全に蓄電を使うためには消防法を考慮して設置する必要性があります。

消防関係法令による蓄電池設備の規制体系

消防法に基づく規制の対象となる蓄電池設備や蓄電池設備の位置、構造や管理の基準については、消防関係法令に基づかなければいけません。これは対象火気省令によって定められていて、具体的な規制内容は市町村の火災予防例により定められています。

電気的出火危険防止

屋外に蓄電池設備を設置する場合

①雨水等の侵入防止措置を予測した鋼板で造られた外箱に収納された方式のキュービクル式のものにすること
②キュービクル式など火災予防上支障がない構造でない限り、蓄電器設備と建築物は3m以上の距離を保つこと。ただし、燃えにくい素材を使っている蓄電池や10kW未満の蓄電池であれば3m離す必要なし

屋内に蓄電池設備を設置する場合

①不燃材料で作った壁、床、天井で区画され、かつ窓や出入り口に防火戸を室内に設置すること
②4800Ah・セル未満の蓄電池設備のみ許可

蓄電池を設置する床材は耐酸性の床材が必要です。アルカリ性蓄電池の場合は耐酸性である必要はありません。

4800Ahは17.76kWhです。家庭用蓄電池の容量はほとんどが20kWh未満です。これは規制があるからです。それ以上の蓄電池導入も可能ですが、その場合取り扱いや届け出、煩雑な手続きなどが必要となり手間がかかります。施工業者も推奨していません。

水素ガスの異常発生による燃焼危険防止

①屋外に繋がる換気設備を設置すること
②室内の場合、常に整理整頓し清潔に保つこと。またみだりに火気を使用しないこと

希硫酸による可燃物の酸化防止

①アルカリ蓄電池を除き、電槽は耐酸性の床上、台上に転倒しないように設置すること
②主に開放形の鉛蓄電池の規制を目的として制定された
③電圧が48V未満のものを除いた定格容量の合計が200Ah以上の蓄電池設備を規制対象

消防法に則った施工は業者やメーカーに任せよう

蓄電池に消防法が適用されているかどうかは、自分自身で確認するのではなく施工業者やメーカーが行います。消防法に適用されることを覚えておいてください。そうすれば本当に消防法に基づいて設置されているか大まかに自分で確認する事も出来ます。

蓄電池のオススメ設置場所

蓄電池を設置する場所には大きく分けて3つあります。

①屋内外共通
②屋外
③屋内

屋内外共通に適した場所

①広い設置スペース
②寒冷地エリアではない場所

蓄電池を設置するには屋内外問わずサイズが大きくメンテナンスも必要なので、ある程度広いスペースが必要です。
屋外サイズは特に大きく、蓄電池本体とパワーコンディショナーがセットになったものもあります。住宅に設置する場合、外壁に沿って設置される場合が多く、隣人住居との距離を考えると搬入時や作業時のスペース確保がとても難しいです。
屋内サイズは空気清浄機ぐらいのコンパクトサイズからエアコンの室外機ほどのサイズのものまであります。蓄電池は大きいサイズなので、配線関係も考えつつどこに設置するかよく考えなければいけません。

また、蓄電池の下限温度は-10℃もしくは-20℃なので、北海道などの寒冷地エリアでの設置は向いていません。蓄電池にはリチウムイオン電池が使われており、低温時に性能が低下してしまうからです。スキーに行ってスマホの電源は入っているのに動かなくなったのと同じですね。電力が停止したり、蓄電池の容量が小さくなるなど誤作動を起こし、最終的には停止してしまう可能性があります。

屋外に適した場所

屋外は周囲環境や自然災害の影響が受けにくい場所を選ばなくてはいけません。
屋外に蓄電池を設置した時のポイントは3つです。
①直射日光が当たらない
②かさ上げして地面よりレベルが高い
③塩害地域ではない

長時間直射日光が蓄電池に当たると高温状態になってしまうため、絶対に避けましょう。
高温状態になると劣化が進み、発火などが起こる原因になります。メーカーによってはオプションで専用の日よけ板を付けてくれる場合もあります。どうしても南面しか設置する場所がなかった場合、問い合わせの際メーカーに聞いてみてはいかがでしょうか。

蓄電池は水が苦手です。浸水や水没を避けるため、コンクリート基礎を打って高さをかさ上げしなければいけません。太陽光発電のパワーコンディショナーは壁面設置が可能ですが、蓄電池はパワーコンディショナーより重いので壁面に設置不可能です。蓄電池が浸水してしまうと感電する可能性もあり大変危険です。コンクリート基礎を打つと地面が雨などで弱くなっても沈まず、地震で倒れないよう固定しているので安定させることができます。これはとても頼もしいですよね。

蓄電池は電子部品の集合体であるため、塩害地域がとても苦手です。
塩害とは、海水に含まれる塩分によって機器内部の絶縁不良や金属などの構造物が腐食してしまう、沿岸部エリアに見られる現象です。潮風を受ける場所から波しぶきから直接受ける場所まで、塩害にもレベルがあります。蓄電池メーカーは海岸線からの距離によって塩害地域、重塩害地域と区分けして設置できるか否かを決めている所がほとんどです。塩害地域であっても住宅や倉庫などに守られるなど、直接潮風が当たらなければ設置可能な場合があります。またメーカーによっては蓄電池やパワーコンディショナー本体が塩害対策のものや、オプションとして塩害部品を出している場合もあります。

屋内に適した場所

屋内に蓄電池を設置する時に注意するポイントは3つです。
①重量に耐えられる床
②熱や湿気がこもらない部屋
③運転音が気にならない部屋

蓄電池はメーカーや型式、容量によって変わりますが、軽いものでも50kg以上で、重たいものは100~150kgを超えるので、その重量に耐えられる床に設置しなければいけません。設置時は問題なくても数年後に床が抜けてしまう可能性もあるので、設置前に必ず床の耐荷重テストや芯材は入っているかなどチェックし、慎重に選びましょう。

蓄電池は低音も高温も湿気も苦手です。階段下の物置スペースやクローゼットなどの密閉空間、脱衣所や洗面所などの湿気が多い空間は設置場所に向いていないのでご注意ください。蓄電池は適度に換気がされていて、熱や湿気がこもらない場所に設置しなければなりません。何故なら、電池の内部温度が上昇すると劣化が進んだり、発火や破裂する可能性があるからです。蓄電池は熱を持たない設計や持ったとしても燃え広がらない工夫と安全性を厳しくチェックされています。しかし、蓄電池である以上過熱状態になると発火する可能性はないとは言えません。

蓄電池はだいたい35db~40dbほどの小さな運転音がします。これは静かな図書館や閑静な住宅街レベルの音です。普段生活している中ではほとんど気にならない音です。エアコンの室外機よりも静かです。しかし寝室や書斎など、音が気になる場所には設置を避けた方がいいでしょう。

まとめ

蓄電池設置と消防法について解説してきました。以下まとめになります。

・安心安全に蓄電池を設置するために消防法が適用される
・消防法に則った蓄電池設置はメーカーに任せよう
・蓄電池は高温、低温、湿度、水に弱いので設置場所には気を付けよう

蓄電池はとても便利なものです。しかし、設置場所を誤ればとても危険なものになってしまいます。消防法に則って、高温、低温、湿度、水で感電や発火、爆発しないようにコンクリート基礎を打って地面より高い位置に設置したり、十分換気された強度ある床に設置したりする必要があります。塩害などにも弱いので、蓄電池を設置したい場合はメーカーに問い合わせをしてから一緒に考えるのがいいでしょう。ぜひ蓄電池を正しい方法で設置して、電気を日中貯蓄し、夜に自家の電気として使ってみてはいかがでしょうか。
以上、蓄電池と消防法についてでした。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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