蓄電池にも取り入れられているIoT技術とは? IoT技術が革新すれば未来は増々便利になる!

家電や自動車をはじめとする製品には次々と新たなテクノロジーが搭載されています。その中でも急速な進歩を見せているのが「IoT」を活用した技術です。最近ではテレビをインターネットに接続して職場からスマートフォンで録画予約したり、外出先からエアコンをスマートフォンで遠隔操作することにより、帰宅時間に合わせて室内を最適な温度に保つことができます。このように、私達が快適で豊かな生活を享受する上でIoTの技術はなくてはならない存在になりつつあります。
蓄電池は災害時の非常時電源として非常に便利ですが、メンテナンスが大変です。IoTの技術を使う事によって蓄電池の故障や劣化を予知・検知したり、遠隔操作が可能となります。今回は蓄電池のIoTについて解説していきます。

IoTと家電

IoT(Inetrnet of things)とは、センサーと通信機能が組み込まれた様々な機械がインターネットを通じてモノやヒトと相互に繋がり、互いの情報・機能を補完・制御・共生し合う仕組みのことです。

IoTは以下の事を実現します。
・モノを操作する
・モノの状態を知る
・モノ同士の通信を可能にする

IoTは、インターネットを通じて地域、家族、支援センターと、一人暮らしをせざるをえない高齢者や足腰が悪くて外出困難な方をひとつにつなげる方法でもあります。
具体的な例を紹介します。

テレビ通話で家族の状態を知る

テレビ通話は遠く離れた家族と活動状況を送りあうことが可能です。また、高齢者の血圧、体重、睡眠時間などの健康情報も共有することができます。

バイタル情報を自動的に病院へ送信

マッサージチェアなどについている端末で測定した体重や血圧、心拍数などのバイタル情報を自動的に病院や支援センターへ送信し、異常があればかかりつけ医が駆けつけることができます。

AI冷蔵庫

冷蔵庫の中身をカメラで判定し、AIで自動的に注文が入るシステムです。
Amazonのアレクサなどのスマートスピーカーと冷蔵庫を繋げることで、冷蔵庫の各種設定や食材をリスト化し、登録・削除することができます。また、オーブンレンジや自動調理器と連携することで、声で料理ができます。

故障対応遠隔操作

家電製品の故障や異常を検知すると、対応業者が遠隔操作したり、修理に必要な部品を用意してすぐに駆けつける事ができます。

外出先からエアコン操作

外出先から温度や湿度を確認し、エアコンの電源を入れて運転モードやタイマー、温度、風向きを設定する事が出来ます。

HEMS

HEMSは家庭内の電気を管理し、エネルギーの見える化をサポートするものです。外出先から太陽光発電で作った電気でお湯張りや照明器具の制御、エアコンの温度調整、電気自動車や蓄電池に電力を貯めるなどの操作をスマートフォンで行うことができます。蓄電池システムと組み合わせることで、エコで環境にやさしい生活を送る事が可能です。太陽光発電、HEMS、蓄電池、EV充電器等の導入にかかる国による費用補助制度も充実しています。

蓄電池とIoT

IoTの技術は、蓄電池にも役立ちます。
クラウド環境の広がりにより、大規模データセンターの新設が増加しています。データセンターでは予期せぬ停電に備え、大量の非常用無停電電源装置(UPS)を保有していますが、その数は莫大なため個別電源の検査・メンテナンスに大きなコストがかかってしまいます。

「蓄電池劣化判断IoTシステム」とは、蓄電池の抵抗値を自動収集できるIoTデバイス、ネットワークを構築し、遠隔地からでも蓄電池のメンテナンス判断を行うシステムです。

蓄電池劣化判断IoTシステムは以下のような流れになっています。

①内部抵抗と電圧を測定
②数値を元にバッテリーの消耗を検出
③継続的データによりバッテリー消耗の予知保全を推測
④データに基づいたフィードバック
⑤運営・管理者による遠隔操作

このシステムにより、今まで人間が手動で一つひとつ検査を行っていた電池の劣化判定をIoTデバイスおよび通信ネットワーク開発により自動で行うことができるようになりました。そのため、業務の効率化だけでなく高頻度かつ継続的なデータ収集によりAIでの予知保全の実現に近づいています。

GSユアサの蓄電池監視装置「DATAWINDOW-S」

蓄電池監視装置「DATAWINDOW-S」は株式会社GSユアサによって販売されている商品です。インフラ設備などのバックアップに使用される産業用の制御弁式鉛蓄電池の電圧、内部抵抗、温度を定期的に自動計測することにより、異常や寿命の兆候を早期発見し、蓄電池システムの予防保全を図ることができます。

災害などによる停電に備えて、発電所、変電所、鉄道施設、通信基地局などのインフラ設備やオフィスビル、非常照明、監視カメラなど、高い信頼性が要求される設備をバックアップしているGSユアサの蓄電池システムに「DATAWINDOW-S」を導入することでできることは次の通りです。

・常時監視による蓄電池システムの健全性の確保
・遠隔監視による迅速な保守対応の実現と保守業務の負担軽減
・計測データを活用することにより、最適な更新計画の立案をサポート

「DATAWINDOW-S」の特徴は以下の通りです。
①最大監視電池個数540個、最大4並列までの広範囲監視機能
②汎用性の高い無電圧警報接点出力を搭載し、異常発生時には複数のEメールアドレスに通知する保守・保全の利便性を考慮した警報設定
③SNMPおよびModbus/TCPにも対応したWEBサーバ機能を搭載し、ブラウザからSSL/TLS通信にて各種データを確認できる汎用性が高いネットワーク機能

VPPとIoT

2019年1月、東芝エネルギーシステムズ株式会社はIoTを用いて複数の蓄電池を最適に制御するバーチャル・パワープラント(VPP)運用サービスを開始しました。東京電力エナジーパートナー株式会社(以下、東京電力EP)と横浜市内に設置する蓄電池の運用に関する業務委託契約を締結しています。

VPPとは、地域に複数散在する太陽光発電、蓄電池、電気自動車、水素などの発電・蓄電設備を束ねてIoTにより制御することで効果的に制御・運用し、一つの発電所のような機能を持たせ、電力網の需給バランス最適化に寄与する技術です。従来、火力発電所などの大型電源が電力を安定的に供給するために、需要と供給を常に一致させていました。再生可能エネルギーは天候に強い影響を受けるため、再生可能エネルギーの普及に向けてVPPへの期待は高まっています。

東芝エネルギーシステムズ株式会社は、2016年から2年間、横浜市および東京電力EPと共にVPP構築に向けた実証事業を実施しました。複数の蓄電池を効果的に制御する蓄電池群の制御技術を開発し、その実績やデマンドレスポンスに関する取り組みが評価される形で契約へと至りました。

デマンドレスポンスとは、電気の需要(消費)と供給(発電)のバランスをとるために、需要家側の電力を制御することです。

東芝エネルギーシステムズ株式会社は、これまで培った発送電・蓄電技術と、最新のIoT技術を結集し、多種多様な分散電源の組み合わせに対応可能なエネルギーマネジメントシステムの開発を行うことによって、VPP構築を目指しています。

IoT技術を活用したVPPに向けた蓄電池群制御システム

 
太陽光や蓄電池など、既存の設備にゲートウェイを設置するだけで簡単にVPPアプリケーションを実現できる「IoTスタンダードパック」がIoT事業者向けに開発されました。
IoTスタンダードパックが行えることは次の通りです。

・複数施設に散在する蓄電池の見える化
・遠隔操作と制御
・電力市場に連動
・リアルタイムの充放電制御

グリッド内の電力需給調整を行うエネルギーマネジメントシステム

東芝のスマートグリッドコア製品に、電力事業者と強調したグリッド内の需給調整機能を持つ「μEMS」があります。
スマートグリッドとは、ITやエレクトロニクスといった先端技術を活用し、系統運用の最適化・低コスト化を実現した電力系統のことです。

再生可能エネルギーによる地産地消を支えるμEMSができることは以下の通りです。

・需要家の電力使用量をリアルタイムに把握・予測
・需要に応じて太陽光発電や蓄電池から電力を供給
・家庭やビルで使用している機器の電源を制御
・電力の需要と供給のバランスをとる
・再生可能エネルギーの有効活用とエネルギーロスの低減、エネルギー消費の低減

μEMSの機能は以下の通りです。

①μSCH:総合エネルギー需給計画(PV出力予測、需要予測に基づく運用計画立案)
②μELD: 経済負荷配分制御(長周期での発電機・蓄電池制御)
③μLFC: リアルタイム負荷周波数制御(短周期での発電機・蓄電池制御)

離島など独立した場所でのオフグリッドエネルギー問題を解決する方法として、μEMSと蓄電池により再生可能エネルギーの変動を抑制し、系統安定化とディーゼル発電機の燃料費を削減することは、需要と供給を完結できるため、非常に有効といえるでしょう。

オフグリッドとは、電力会社の送電網に繋がっていない状態、あるいは電力会社に頼らずに電力を自給自足している状態を意味します。

余剰電力の有効活用と高効率で安定的な電力需給を実現することができます。

まとめ

蓄電池のIoTについて解説してきました。以下、まとめになります。

・IoTは世の中をますます便利にする仕組み
・「蓄電池劣化判断IoTシステム」は、自動で監視や遠隔操作ができるため業務効率化につながる
・東芝はIoT事業者向けに、IoT技術を活用したVPPに向けた蓄電池群制御システム「IoTスタンダードパック」を開発

蓄電池はメンテナンスをきちんと行わないと、いざという時に稼働しなかったり、故障したり、最悪発火する可能性もある精密な機械です。UPSなどのために膨大な数の蓄電池を備えている場合、人間の手動で一つひとつ検査、監視するのは難しいといえるでしょう。
IoのT技術は世の中をますます便利にする技術であり、蓄電池だけでなく家電や自動車など、人間が快適に暮らす上で必要なものを遠隔で操作したり、故障を感知し業者に報告してメンテナンスを促したりすることが可能です。IoTの技術は増々進化していくので、これからの発展に注目です。

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蓄電池コンシェルジュは、蓄電池を購入しようとお考えの方々に、蓄電池を活かした暮らしをするための上質なコンシェルジュサービスをご提供しております。再生可能エネルギーに理解のある方々にご利用頂くことが「脱炭素社会」実現へのカギとなります。蓄電池コンシェルジュは、文化的、社会的資産を後世に引き継ぎ、社会的責任としての取組みのみならず、日本の人口減少と地球温暖化の危機を救うためのお手伝いをさせて頂いております。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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