太陽光発電と相性が良いハイブリッド型蓄電池!メリット・デメリットを解説してみた

台風や地震の自然災害時における、企業のBCP対策として非常用電源は大きな課題となっています。病院や学校、会社、商業施設、工場など、多くの施設で蓄電システムは導入され、停電が発生しても事業継続が困難にならないように対策を練っています。
病院や高齢者施設などの医療・福祉施設で災害時停電が起こっても電源を確保し、医薬品や検体を保管するフリーザーやインキュベーター、特定機器のバックアップなど、特定機器をバックアップに使用することができるよう開発されたものもあります。
また、発電した電力を売電するのではなく、「自家消費」する事で電力会社から電気を極力買わずに電気代節約をしたい場合、蓄電池は必須アイテムといえるでしょう。

蓄電池には単機能型とハイブリッド型があります。単機能型とは、太陽光発電と蓄電池それぞれにパワーコンディショナ(パワコン)がついている事を指します。ハイブリッド型はそれぞれのパワコンを1台にまとめたものです。どちらもメリットとデメリットがあります。今回は単機能型と比較しながらハイブリッド型について解説したいと思います。

ハイブリッド型蓄電池とは

普段、私たちが使用している家電は全て交流電気です。しかし、太陽光パネルによって発電された電気は直流です。そのため、太陽光発電で作られた電気を家電で使うためには変換しなければいけません。それを可能にするのがパワコンなのです。
太陽光発電で作った電気や電力会社から購入した電気を蓄電池に貯めるには交流電気を直流に変換しなければいけないため、蓄電池用のパワコンが必要となってきます。
ハイブリッド型蓄電池とは、太陽光発電のパワコンと蓄電池用のパワコンの機能を1台にまとめたものであり、蓄電池と太陽光発電を併用するのに効率が良い仕組みを備えています。

ハイブリッド型蓄電池のメリット

ハイブリッド型蓄電池は、それぞれのパワコンを2台設置しているよりも優れている点があります。
①電力のロスが少ない
②停電時もそのまま使える
③状況に応じて色々なモードがある

①電力のロスが少ない

パワコンの変換効率は一般的に94%だと言われています。
たとえば、太陽光発電で生み出された直流電気が10kWhだとします。家庭用に使えるよう交流電気に変換すると、9.4kWhになります。太陽光発電のパワコンによって交流に変換された9.4kWhを蓄電池に溜める場合は、直流に変換されるので8.8kWhになります。太陽光発電で10kWh発電したとしても、パワコンがそれぞれについている場合、蓄電池に貯めるまでに1.2kWhもロスしているのです。
更に、蓄電池に貯めた電気を使用する場合、交流へと変換するので8.2kWhとなり、約18%も電気が無駄になっている事がわかります。

ハイブリッド型蓄電池は、太陽光発電のパワコンと一体型です。そのため、太陽光発電で生み出された直流電気をそのまま蓄電池に溜める事が可能です。パワコンがそれぞれある場合の変換ロスが3回に対して、ハイブリッド型蓄電池のロスは蓄電池に溜めた直流電気を家で使えるよう交流電気に変換する時の1回しか発生せず、電力のロスが少なくなります。そのため、10kWhを丸々蓄電池に蓄電でき、更に家庭で9.4kWhも利用できるのです。

②停電時もそのまま使用可能

太陽光発電のパワコンには自立運転機能が備わっています。停電が発生しても系統連系から切り離してパワコンを運動させるので、発電させた電気を停電時にも使用可能です。
しかし、自立運転モードは出力制限があり、1.5kWの範囲内でしか電力を使う事ができません。
そのため単機能型の場合、停電しても普段通りに電気を使うとすぐに電池切れしてしまいます。もし使用電力を1kWに抑える事ができたとしても、残りの0.5kWは蓄電池に充電するため、蓄電池を満充電させるのにとても時間がかかります。充電に時間がかかるせいで使えないのでは、いざという時に役に立つことができません。
ハイブリッド型蓄電池は、太陽光パネルと蓄電池で1台のパワコンを共有使用できるため、電気を太陽光パネルから蓄電池へと直接送る事ができます。そのため、停電時でも3kWの出力が可能となります。機種によってはそれ以上の出力のものもあります。停電時に太陽光発電で電力を賄いつつ、余剰分を蓄電池へ素早く充電する事が可能なため、長期間の停電時にも役立つことができます。

③状況に応じて色々なモードがある

蓄電池は導入する目的や使い方一つで変わってきます。
・できるだけ売電収入を得たい
・停電時に備えて常にフル充電しておきたい
・できるだけ太陽光発電の電力を自家消費に回したい

ハイブリッド型の蓄電池は次世代の蓄電池と言われており、運転モードが豊富となっている機種が多いです。単機能型にも「売電優先モード」「自家消費優先モード」といった運転モードが搭載されているものもありますが、ハイブリッド型はさらに災害時に備える「備蓄モード」など、細やかなモード設定が可能であり、各家庭の事情に合わせた電気の使い方をサポートします。搭載するモードはメーカーによって異なります。

複数のモードから、その時々の状況によって、臨機応変に動作パターンを選ぶことができます。そのため、電気代の節約などの経済的なメリットも期待でき、蓄電や放電をまめに操作しなくていいのも魅力的です。

ハイブリッド型蓄電池のデメリット

パワコンを共有しているので電力変換回数を減らし、電力ロスを抑える事ができ、更に長期間の停電にも役立つハイブリッド型蓄電池ですが、単機能型に比べるとデメリットになる部分もあります。
①価格が割高である
②既存のパワコンを交換しなければいけない

価格が高い

メーカーや容量によって価格差は異なりますが、規格がまったく同じ単機能型とハイブリッド型を比べると、ハイブリッド型の方が値段は高くなります。単機能型の場合、蓄電用量が5kWhだと工事費など込みで75~140万円、パワコンの価格は10~22万円程度です。この2つを合わせた費用は85~162万円となります。ハイブリッド型の場合、蓄電用量5.6kWhだとシステムの専用機器だけで185万円かかり、単機能型とハイブリッド型を比べると、本体価格だけでも23~100万円の差額がでます。容量の小さいもので20万円、大容量のものとなると50万円も価格差が出るメーカーもあります。
ハイブリッド型と同じ値段の単機能型は、電力の変換ロスはハイブリッド型よりも大きいですが、その分容量の大きさでカバーする事ができます。停電時に電気を長期的に利用できなくてもかまわないから安いのが欲しいという方は、単機能型の方がいいでしょう。
また、既に設置している太陽光発電の種類によっては、ハイブリッド型蓄電池に対応できない場合もありますので、必ず導入前に確かめる事をオススメします。

既存のパワコンを交換しなければいけない

既に太陽光発電を設置済みの場合、後付けでハイブリッド蓄電池を設置するのなら太陽光発電のパワコンを交換する必要があります。何故なら、ハイブリッド型は太陽光発電のパワコンと蓄電池のパワコンが一体化したものなので、既存のパワコンを撤去しなければいけないからです。
10年以上前から太陽光発電を導入していて、パワコンの寿命が近く、保証期間が切れそうだからそろそろ交換を考えている場合、ハイブリッド型蓄電池を導入するのに良いタイミングだと言えるでしょう。しかし、太陽光発電を設置して10年未満でありメーカー保証期間内の場合、撤去代などの費用を考えると単機能型蓄電池の方が価格を抑えて設置できるかもしれません。
これから太陽光発電と合わせて蓄電池を導入したいと考えている場合、パワコンが1台であるハイブリッド型は、今後のメンテナンス費用や交換費用を考慮すると大変お得だと言えるでしょう。

設置場所の確保が大変

ハイブリッド型のみならず、蓄電池を設置するにはある程度広い空間を確保しなければいけません。蓄電池の大きさは屋内用だとエアコンの室外機より一回り大きく、屋外用は室外機2台分縦にしたぐらいあります。設置工事する作業スペースも必要であり、余裕をもって設置するためにそれなりの広さを確保しなければいけません。
また、蓄電池は湿度や高温、埃などに弱く、適切な環境下で管理しなければ故障や劣化が速まってしまいます。直射日光が当たらず、湿気が籠りそうにない場所、そして塩害地域であれば蓄電池用の小屋を作るのがいいかもれません。
屋内の場合、分電盤を使用した機器との位置関係を考える必要も出てきます。更に、蓄電池の重さは70~250kgほどありますので、床の耐荷重なども大丈夫かどうかを事前に確認しておきましょう。
屋内の場合は分電盤や使用したい機器との位置関係はどうかといった点も問題になってきます。

まとめ

太陽光発電と蓄電池のパワコンが1台にまとまっているハイブリッド型蓄電池について解説してきました。以下、まとめになります。

・ハイブリッド型は単機能型と比べて電力ロスが抑えられ、状況に応じてモードを使い分けるので、長期間の停電時でも素早く蓄電池に充電できる
・ハイブリッド型は値段が高く、場所を取り、すでに太陽光発電を設置済みの場合は太陽光発電のパワコンを交換・撤去しなければいけない
・太陽光発電を蓄電池と同時に新しく導入しようとしている方にはハイブリッド型がオススメ

ハイブリッド型にも単機能型にも、それぞれメリット・デメリットがあります。ハイブリッド型はライフスタイルに合わせて調整できるので、売電収入を増やしたい人、電気代節約につなげたい人にもオススメだと言えます。価格は高いですが、太陽光発電システムと相性が良く、停電しても発電した電気を効率よく使うことができるため、長期的な視点で考えるとハイブリッド型の方が得になる可能性があります。
蓄電池の導入費用は、販売業者によって大きく異なります。ハイブリッド型は単機能型よりも更に値段が高くなりますので、適正価格で導入するためには複数社から相見積もりを行い、不必要な支出を避けましょう。
単機能型、ハイブリッド型、それぞれの性能をしっかりと理解し、ライフスタイル、電気料金、太陽光発電の容量やメーカーによってどの蓄電池を選べば良いか考えてから、導入を決めるのがいいでしょう。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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