蓄電池を選ぶポイントは8つ!蓄電池の知識を蓄えてよりよい蓄電池を選ぼう

蓄電池は電気を蓄えておく設備です。東日本大震災で非常用電源の必要性が注目され、一般家庭でも災害用の非常用蓄電池の普及が増えていったように思えます。家庭用蓄電池はどんどん高性能になっていき、非常用電源としてだけでなく太陽光発電設備と連携して電気代を大幅削除できる省エネの面でも人気になってきています。

蓄電池は色々なメーカーから出ており、値段や寿命などを考えてどれを選べばいいのかわからない人も多いのではないでしょうか。2019年11月以降、卒FIT対象者や電気を自家消費したい人など、蓄電池の導入を検討している人が増えつつあります。
家庭用蓄電池の場合、自然災害時の大規模な停電対策、電気をより効率的に利用したい、固定価格買取制度が終了して売電価格が下がってしまう、など理由は様々です。
そこで、導入を検討している人にとって参考になるよう蓄電池の選び方をまとめてみました。

蓄電池を選ぶポイント

蓄電池導入の目的をはっきりさせると、どんな蓄電池を買えばいいのかがわかります。
災害時のために備えておくのか、日頃使用する電気を自家消費するためかで求める容量は異なります。容量とは蓄電池に貯めておける電気の量です。

単位はkW(キロワット)またはkWh(キロワットアワー)です。
蓄電池の容量を知るには、消費電力と使用電力量を知っておくといいでしょう。
消費電力とは家電を使用する際に必要なパワーのことです。
消費電力のW(ワット)は、電流(A:アンペア)×電圧(V:ボルト)で求められます。
使用電力量(Wh)は消費電力(W)×使用時間(h)によって求める事ができます。

例えば、500Wの電子レンジを4.5kWの蓄電池で使用した場合、何時間使用できるか計算してみましょう。

4,500Wh(蓄電池容量)÷500W(消費電力)=9h(使用時間)

これにより、この電子レンジは連続で9時間使用することができる事がわかりました。
実際の蓄電池容量は安全のためフル容量の80%程度が実際の蓄電上限となっています。
計算で求められる答えは目安と考え、蓄電池の基礎知識として知っておくといいでしょう。

蓄電池を選ぶ時に抑えておくポイントは8つです。

①種類
②容量(kW)
③定格出量
④設置場所
⑤サイズと重さ
⑥ハイブリッド型
⑦グリーンモード
⑧保証

①家庭用蓄電池の種類

家庭用蓄電池には、大きく分けて3種類があります。

・ポータブル型:容量が小さく持ち運び可能
・コンセント接続型(スタンドアロン型)室内に設置可能
・住宅用定置型:工事が必要で屋外に設置し、一度設置すると移動できない

ポータブル型は持ち運びができるので、アウトドアや災害用の備えにオススメです。値段も数万円からですので、お手軽に購入できる簡易蓄電池です。

コンセント接続型(スタンドアロン型)は太陽光発電を設置していない、またはマンション等で本格的な蓄電池が欲しいという方にお勧めです。冷蔵庫やテレビ、スマートフォンの充電など、三日ぐらいは持つでしょう。

定置型は設置するのにある程度のスペースが必要であり、住宅や商業施設、病院、工場などの建物に設置されています。主な目的として、電気代の削減や停電時などのバックアップ電源としての利用が想定されています。

電力の自家消費や太陽光と連携して発電・蓄電するのはこの定置型になります。

②蓄電容量

いざ災害になった時に、電力を必要最低限に削ると約5,500Wと言われています。
停電時に使用頻度が高そうな家電の1日あたりの使用時間とW数を見てみましょう。

・LED照明(40W):夜間5時間使用/200W
・冷蔵庫(年間438kWh):24時間使用/1200W
・携帯充電器(15W):5時間使用/75W
・テレビ(150W):3時間使用/450W
・パソコン(100W):6時間使用/600W
・洗濯機(250W):2時間使用/500W
・炊飯器(1,300W):1時間使用/1300W
・電子レンジ(1,000W):30分使用/500W
・エアコン(700W):3時間使用/600W

上記を合計すると5,425Wです。最低でも5kWh以上の容量の蓄電池でなければ1日も持ちません。
夏にエアコンをつけなければ熱中症になる可能性もあります。そうなるとエアコンの使用時間はもっと増えますので、季節によって消費電力は変わります。また、蓄電池は定格出力によって同時使用できる家電の数が決まっています。
熱中症は命の危機に関わります。もしもの停電に備えるのなら、7~10kWhぐらいの容量があると心強いでしょう。

③定格出力

定格出力とは、蓄電された電力を一度にどれくらい出力できるかを表す数値です。
家庭用蓄電池には機種ごとに定格出力があり、定格出力によって同時に動かせる家電の数は決まります。
たとえば定格出力が2,000Wの場合を考えてみましょう。

・LED照明(40W)
・テレビ(150W)
・洗濯機(250W)
・電子レンジ(1,000W)

この場合、合計が1,440Wであり、2,000W以内なので同時に動かすことができます。

④設置場所

蓄電池の設置場所には屋外型と屋内型があります。
屋内と屋外では設置環境に向き不向きがあり、誤った設置をしてしまうと劣化が早まったり、火災などの事故につながる可能性も出てきます。
蓄電池の特製に合わせた正しい設置を行えば、蓄電池は効率的に自家消費や節電効果を発揮してくれます。
蓄電池を設置する際には屋内外関係なく、ある程度広いスペースが必要です。その理由は2つです。

・蓄電池のサイズが大きいから
・蓄電池を設置・メンテナンスする際の作業スペースの確保

メーカーから隔離距離が設定されているはずですので、それを守って設置しましょう。

屋外設置には気を付けなければいけない点が4つあります。

・設置エリアが寒冷地ではない
・直射日光が当たらない
・嵩上げして地面よりレベルが高い
・塩害地域ではない

蓄電池の下限温度はだいたい-10℃もしくは-20℃となっています。それ以下では蓄電池の性能が満足に発揮されないからです。何故なら、蓄電池に使われているリチウムイオン電池は低温時に性能が低下してしまうからです。最終的に動作を停止してしまう可能性もあるので、メーカーによっては北海道で販売自体していない所もあります。

蓄電池は暑さにも弱いです。直射日光が長時間当たると蓄電池は高温状態になり、劣化が進んだり、発火するなど事故原因となりえます。日よけ板を用意するか、東西面や北面など陰の当たる位置に設定するのがいいでしょう。

また、蓄電池は浸水や水没にも弱いので、コンクリート基礎を打って嵩上げして地面から若干高い位置にしなければいけません。蓄電池は重量が重いため、大抵は壁面設置ができずに地面設置となります。そのため水没対策が必要なのです。

更に、蓄電池は電子部品の集合体ですので、塩害地域も苦手です。
塩害とは、海水に含まれる塩分によって機器内部の絶縁不良や金属等の構造物が腐食する、沿岸部のエリアに見られる現象です。潮風を受ける場所から海の波しぶきを直接受ける場所まで、塩害地域にもレベルがありさまざまです。
直接、潮風が当たらなければいいので、倉庫などに蓄電池を設置するなどの対策ができます。また、塩害対策部品をラインナップしているメーカーも出てきました。

屋内設置の場合、気を付けるべき点は3つです。

・重量に耐えられる床
・熱や湿気がこもらない部屋
・運転音が気にならない部屋

蓄電池は非常に重たいので、置いても床が抜けない部屋に設置しなければいけません。軽いもので50kg、重たいもので100~150kg以上ですので、設置して数年後に床が抜けたり、床材が座屈する可能性があります。設置前に床の耐荷重や床下に芯材が入っているか調べた上で検討しましょう。

また、蓄電池は熱による高温や湿気にも弱いです。換気がされていて熱や湿気がこもらない場所を選ばないと発火や破裂の可能性があります。階段下やクローゼットの中、脱衣所や洗面所への設置が多くなりがちですが、高温多湿状態で利用し続けると蓄電池の劣化が早くなってしまうので、よく調べてから設置を検討しましょう。

蓄電池は運転音がわずかにするので、寝室への設置は向いていません。蓄電池の運転音は大体35db~40dbと静かな図書館程度の音ですので、普段の生活音のある部屋であればそれほど気にならないでしょう。

⑤サイズと重さ

蓄電池のサイズと重さは設置する場所によって異なります。平均的な大きさと重さは以下の通りです。

屋内型:エアコン室外機1台分、60~170kg
屋外型:エアコン室外機縦2台分、120~250kg

蓄電池の容量や出力によってもサイズと重さは異なり、容量や出力が大きいものであればあるほどサイズと重さは比例します。

シャープの蓄電池を例に比較してみます。

機種容量奥行高さ重さ
JH-WB16214.2kWh500mm360mm605mm77kg
JH-WB18218.4kWh700mm360mm 605mm135kg

容量が倍になると幅が1.4倍になり200mm大きく、重さは58kg重くなります。

最近は蓄電池も小型化されつつあり、より小さく、薄くなり、設置がしやすくなっています。屋内に置く場合は、よりコンパクトなものを選ぶようにしましょう。屋外用もテスラのように壁掛けが可能なコンパクトなものも出てきています。

⑥ハイブリッド型

ハイブリッド蓄電池は、「直流」の電気を家庭で使えるように「交流」に変換するパワーコンディショナの機能も備えている蓄電池です。従来、太陽光発電システムと蓄電池はそれぞれにパワーコンディショナが必要でした。ハイブリッド蓄電池はそれぞれのパワーコンディショナを1台にまとめたものです。太陽光発電と蓄電池をセットで導入を考えている場合、パワコンをわざわざ別に購入する必要がないので、ハイブリッド蓄電池はおすすめだと言えます。

1台にまとめたことによって変換効率が向上し、電力の無駄なロスも軽減することができます。また、太陽光パネルで発電した電気を家庭用電気に変換して使用している時でも同時に蓄電することが可能です。そのため停電が起こった際、昼間に発電した電力を自家消費しつつ余剰電力を蓄電池に充電することができます。

また、蓄電池の配線や機器の配置も太陽光発電の設計に合わせて調整でき、設置工事に関しても太陽光発電を設置する業者もしくはその関係業者にお願いすることになるため、情報連携等がスムーズで工期どおりに設置が進めることができます。

⑦グリーンモード

グリーンモードとは、太陽光発電で作った電気を自家消費し、余剰電力を定置型蓄電池へ充電し、電力会社からの買電量を減らすことです。

グリーンモードでは、早朝から日没まで太陽光発電で発電した余剰電力を蓄電し、日没から翌朝にかけて放電します。蓄電池が満充電になり、それでも余剰電力がある場合は売電に回されます。蓄電池を満充電できるかは天候に左右されるのがデメリットですね。

多くの蓄電池にこの機能はついていますが、蓄電池の補助金交付の条件にグリーンモードが付いていることが入っている場合もあるので購入時に注意しましょう。

⑧保証

一般的に家庭用蓄電池には10年保証が付いてきます。
蓄電池の主な国内メーカーの保証内容をピックアップしてみました。

パナソニック(蓄電池容量7年):蓄電池ユニット10年保証&点検お知らせ機能
シャープ(蓄電池容量10年):蓄電池ユニット10年保証&蓄電池Webモニタリングサービス
NEC(蓄電池容量15年):蓄電池ユニット15年保証&見守りサポートサービス
東芝(蓄電池容量10年):蓄電池ユニット10年保証

保証内容はメーカーによって異なりますので、保障内容の違いによって蓄電池購入を比較検討する必要があると言えるでしょう。

まとめ

より良い蓄電池を選ぶためには知識が必要です。そのため選び方について解説してきました。以下、まとめになります。

・設置場所や設置環境をよく考える
・ハイブリット型や必要な容量、サイズなど自分が求める電力を一度検討する
・保証はあるか、グリーンモードがあるか購入時に確認する

蓄電池は停電時や自家消費、自家発電にとても役立ちます。太陽光によって発電するので、地球に優しい再生可能エネルギーであり、脱炭素化社会を目指す人類にとってこれから増々注目され、普及していくでしょう。

しかし、自分が一日に使う電力を考えずにただ容量の大きい蓄電池を買ってしまうともったいないことになります。購入前によく考える必要があります。
蓄電池は年々安くなってきているとはいえ、やはりとても高い買い物になります。8つのポイントを参考に、自分にピッタリの蓄電池を購入してください。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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