蓄電池の米国株とは? クリーンエネルギー関連銘柄が米国株投資の世界で話題!

最近、クリーンエネルギー関連銘柄が米国株投資の世界で話題になっています。国際エネルギー機関(IEA)によると、再生可能エネルギーは2025年までに世界の電力の3分の1近くを供給する最大のエネルギー源になる見通しです。脱炭素化の動きはグローバルな流れであり、投資家はこの流れに乗じて利益を挙げたいと考えているのかもしれません。
今回は蓄電池と米国株について解説します。

S&Pクリーンエネルギー株指数の反転

脱炭素関連銘柄で構成されるS&Pクリーンエネルギー株指数のパフォーマンスは、2021年10月下旬に入ってからMSCI先進国株指数を大きく上回る展開を見せました。

S&P(Standard & Poor’s)とは、アメリカ合衆国に本社を置く格付け機関です。株式や債券を発行する企業などの信用力を記号で表示する格付けを行っているほか、米国の株式指数であるS&P 500などの投資・金融情報を提供しています。

クリーンエネルギー株指数とは、米国に上場しているテーマ型の1つであり、太陽光エネルギー、風力発電、再生可能エネルギーなど、いわゆるクリーンエネルギー関連銘柄に的を絞っている株指数のことです。

MSCI先進国株指数とは、MSCI(Morgan Stanley Capital International)が算出・公表する指数の総称です。先進国、新興国、フロンティア市場(経済発展の初期段階にある途上国)合わせて約70カ国・地域の株式市場をカバーしています。多くの機関投資家や投資信託のベンチマークとして採用されています。

S&Pクリーンエネルギー株指数は2020年度末からMSCI先進国株指数を下回るパフォーマンスが続いていたことから、約10ヶ月ぶりの反転となりました。反転のきっかけとなった材料は以下の通りです。

テスラの好決算

1つ目は「テスラの好決算」です。

2021年10月に発表された7-9月期決算は、自動車業界全体に広がる半導体不足やサプライチェーン問題にもかかわらず、1株あたり利益が市場予想を上回り、株価は10月20日から29日にかけて28.7%上昇していました。テスラはS&Pクリーンエネルギー株指数には含まれませんが、脱炭素関連銘柄の代表格といえるテスラの好決算が、脱炭素関連全体の注目を集めるきっかけになった可能性は大いにあります。

ビルド・バック・ベター法案

2つ目は「ビルド・バック・ベター法案」です。

「ビルド・バック・ベター(よりよき再建)法案」とは、2021年10月下旬ごろ、主要メディアで合意間近と相次いで報じられていたバイデン政権の気候変動予算5,500億ドルを含む総額1.75兆ドルの巨額経済対策のことです。最初は10年間で約3.5兆ドルを投じる計画でしたが、与党民主党の中道派上院議員2名が反対したことから、10月28日に規模を半分に圧縮して発表されました。気候変動対策として、クリーンエネルギーや電動自動車に適用される10年間の税額控除延長(3,200億ドル)が含まれており、市場はこれを素直に好感したのではないかと考えられます。

太陽光関連銘柄を取り巻く力強いファンダメンタルズ

3つ目は「太陽光関連銘柄を取り巻く力強いファンダメンタルズ」です。

ファンダメンタルズ(fundamentals)とは、国や企業の経済活動状況を示す基礎的な要因のことです。国のファンダメンタルズは、経済成長率(GDP)や雇用統計、物価指数、国際収支などの経済指標から読み取ることができます。企業の場合は業績、財務状況などで判断します。株価や為替の動向を予想する基礎的なデータになります。

S&Pクリーンエネルギー株指数における組入銘柄上位に、ソーラーパネルのマイクロインバーターを手掛ける米国のエンフェーズ・エナジーという銘柄があります。
時価総額は2022年1月3日時点で約246億ドル(約2兆8290億円)にのぼる大企業です。エンフェーズ・エナジーが10月26日引け後に発表した7-9月期決算は、調整後1株あたり利益($0.62)が市場予想($0.49)を上回り、さらに10-12月期の売上高ガイダンス(3.9億ドル-4.1億ドル)も市場予想(3.74億ドル)を上回ったことから、株価は翌日に前日比+24.7%と急騰しました。
また、太陽光発電サービスを展開する時価総額約31億ドル(約3,565億円)(2022年1月3日時点)の米国サンノヴァ・エナジー・インターナショナルも、10月27日引け後に発表した7-9月期決算で堅調な業績ガイダンスを示したことから、翌日の株価は前日比4.55%上昇しました。

米国太陽光関連企業の好調決算や業績ガイダンスの発表背景には、電力料金の値上げと頻発する停電による自家発電需要の高まりがあります。

・電気料金の値上げ
米国の電力料金は年々上昇しており、その原因の一つが老朽化する送電網の設備投資費が長期間にわたって価格転嫁されることであり、今後も値上がりすることが予想されています。

・自家発電需要の高まり
米国では、気候変動による山火事や大型ハリケーン、大寒波による停電が相次ぎ、自家発電が可能な太陽光発電と余剰電力を貯蔵する蓄電池への需要が高まっています。

長期的な電力料金値上げ回避だけが目的ではなく、気候変動に対する脅威から身を守る手段として、改めて米国では太陽光発電システムに注目が集まっていまる。これまでは主に期待先行で物色されてきた脱炭素関連銘柄も、ここにきて力強くなったファンダメンタルズも株価上昇をけん引する構図に変わってきた可能性があるといえるでしょう。

米国リチウム電池関連銘柄

2021年1月3日時点の米国リチウム電池関連銘柄は以下の通りです。

リチウム電池 関連銘柄
 銘柄名称株価前日比前日比
TSLAテスラ1,056.78-13.56(-1.27%)
SEDGソーラーエッジ・テクノロジーズ280.57-1.78(-0.63%)
ALBアルベマール233.77-0.58(-0.25%)
ENSエナーシス79.06+0.41(0.52%)
RIOリオ・ティント66.94+0.17(0.25%)
BHPBHPビリトン60.35+0.09(0.15%)
BBLBHPグループ59.77+0.18(0.30%)
GMゼネラル・モーターズ58.63+0.50(0.86%)
SQMソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ50.43-1.37(-2.64%)
XPEVシャオペン50.33+1.43(2.92%)
LTHMライベント24.38-0.39(-1.57%)
AESAES24.3+0.13(0.54%)
ULBIウルトラライフ6.04+0.02(0.33%)
FLUXフラックス・パワー・ホールディングス4.29+0.04(0.94%)
WWRウエストウォーター・リソーシズ2.15+0.01(0.47%)
EZGOEzgoTechnologiesLtd1.49-0.08(-5.10%)

上記の内一部を紹介します。

テスラ

テスラ(Tesla)は、米国、中国、オランダ、ノルウェー、および国際的に、電気自動車、エネルギー生成および貯蔵システムを設計、開発、製造、リース、および販売し、2つのセグメントで事業を展開しています。また、自動車保険サービスや再生可能エネルギーも提供しています。

・自動車セグメント(セダンとスポーツユーティリティ車、電動パワートレインのコンポーネントとシステムも提供)
・エネルギー生成および貯蔵セグメント(家庭、産業、商業施設、ユーティリティグリッドで使用する充電式リチウムイオンバッテリーシステムなどのエネルギー貯蔵製品提供。住宅および商業顧客向けに、太陽光発電およびエネルギー貯蔵製品を設計、製造、設置、保守、リース、および販売する)

電気自動車サービスは、自社所有サービス拠点、テスラモバイルサービス技術者、および中古車の販売を通じて行われています。自動車セグメントは、自社所有店舗やギャラリーネットワーク、および独自のWebサイトを通じて製品を販売しています。

以前はテスラモーターズとして知られていましたが、2017年2月に社名をテスラに変更しました。テスラは2003年に設立され、カリフォルニア州パロアルトに本社を置いています。

エナーシス

エナーシス(EnerSy)は蓄電池の世界的リーダーです。世界最大の産業用鉛蓄電池メーカーとして業界をリードし、バッテリーの製造に100年以上携わってきた豊富な経験により、最高の品質と革新的なエネルギーソリューションとして、予備電源および電力用電池、充電器、電池付属品を製造し顧客に提供しています。100カ国以上のお客様にアフターマーケットおよびカスタマサービスを提供し、充電器、電源装置およびバッテリーアクセサリーを含む関連の製品を製造および販売を行っています。

・予備電源電池:電気通信およびユーティリティ産業、無停電電源装置、医療、防衛システム等幅広く展開
・動力用電池および充電器:電動フォークリフトや他の商用電気自動車・AGVに利用
・アプリケーション(通信システム、コンピューター制御システムの無停電電源システム、医療およびセキュリティを含むその他の特殊電源、照明、点火)
・電気制御システム(開閉装置、電気事業、大規模エネルギー貯蔵、エネルギーパイプライン、民間航空機、衛星、軍用機、潜水艦、船、および戦術車両で使用)

南北アメリカ、ヨーロッパ、中東、アフリカ、アジア、オーストラリア、オセアニアの販売代理店、独立代理店、および社内の販売部隊のネットワークを通じて製品を販売しています。
旧ユアサ社として知られており、2001年1月にエネルギーシステム事業への注力を反映するため、社名をエナーシスに変更しました。エナーシスは2000年に設立され、ペンシルベニア州レディングに本社を置いています。

ライベント

ライベント(Livent)は、FMC Corporationの子会社です。北米、中南米、ヨーロッパ、中東、アフリカ、およびアジア太平洋地域で、高性能リチウムベースの電池、特殊ポリマー、および化学合成アプリケーションを製造および販売しています。

・高性能リチウムイオン電池で使用する電池グレードの水酸化リチウムなど、特定の性能要件を持つアプリケーションで使用するリチウム化合物を提供
・ポリマーや医薬品の製造に使用されるブチルリチウム、航空宇宙用途や非充電式電池の軽量材料の製造に使用される高純度リチウム金属を含む、特殊なリチウム化合物の範囲
・リン酸リチウム、医薬品グレードの炭酸リチウム、高純度塩化リチウム、特殊有機物も提供
・高性能リチウム化合物の製造工程原料として炭酸リチウムと塩化リチウムが使用されるライベントは2018年に設立され、ペンシルベニア州フィラデルフィアに本社を置いています。

まとめ

蓄電池と米国株について解説してきました。以下、まとめになります。

・2021年10月下旬、脱炭素関連銘柄で構成されるS&Pクリーンエネルギー株指数のパフォーマンスがMSCI先進国株指数を大きく上回る展開を見せる
・米国太陽光関連企業の好調決算や業績ガイダンス発表の背景には、電力料金の値上げと頻発する停電による自家発電需要の高まりがある
・脱炭素関連銘柄の力強くなったファンダメンタルズも株価上昇をけん引する構図に変わってきた可能性がある

再生可能エネルギーは2025年までに世界の電力の3分の1近くを供給する最大のエネルギー源になると国際エネルギー機関(IEA)に予測されています。電力料金の値上げと頻発する停電による自家発電需要の高まりで太陽光発電や蓄電池など、クリーンエネルギー関連銘柄が米国株投資で人気が高まりつつあります。再生可能エネルギーなどの脱炭素化の動きはグローバルな流れであり、今後増々注目を集めるでしょう。

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蓄電池コンシェルジュは、蓄電池を購入しようとお考えの方々に、蓄電池を活かした暮らしをするための上質なコンシェルジュサービスをご提供しております。再生可能エネルギーに理解のある方々にご利用頂くことが「脱炭素社会」実現へのカギとなります。蓄電池コンシェルジュは、文化的、社会的資産を後世に引き継ぎ、社会的責任としての取組みのみならず、日本の人口減少と地球温暖化の危機を救うためのお手伝いをさせて頂いております。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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