太陽光発電を既に導入している方にとって、蓄電池を併用する事は大変メリットがあります。しかし蓄電池はメーカーによって異なり、世の中にたくさん溢れているためどれがいいのか選びにくいという難点があります。気軽に買える価格でもないため、購入には慎重にならなければいけないでしょう。今回は定置型とポータブル型のそれぞれの導入時に考えるポイントとそれを踏まえた上で、蓄電池ランキングTOP3を紹介します。
定置型蓄電池導入時に考えるポイント
定置型蓄電池導入時に考えるポイントは3つです。
①ハイブリットか単機能か
②設置場所をどこにするのか
③停電時の使用方法
①ハイブリットか単機能か
太陽光発電をすでに設置していて、蓄電池を導入したい場合2つの選択肢が生まれます。
①太陽光と蓄電池を1台で対応するパワコンを使用したハイブリット型蓄電池システム
②太陽光発電のパワコンを交換せず、新しく蓄電池用のパワコンを設置する単機能型蓄電池システム
②設置場所をどこにするのか
蓄電池は大きいもので本体重量が250kg以上あり、エアコン室外機縦2台分ほどの大きさになります。そのため、屋外にその大きさの蓄電池を設置するスペースがないと屋内設置できる蓄電池を選ばなければいけません。
設置場所が大事な理由はスペースだけではありません。蓄電池は寒さや暑さ、湿気、水に弱いです。各メーカーの蓄電池が耐えられる高温はほぼ40℃であり、低音は-20℃~0℃までなので、気温によっては屋内に設置か、蓄電池用の小屋を立てるなどの対策が必要となってくるでしょう。
③停電時の使用方法
災害が起こり、停電時にどのような電気の使い方をしたいのかで選ぶべき蓄電池は変わってきます。蓄電池の電気利用で考えるべき点は3つです。
①大型家電(エアコン:200V電源)を使用したいかどうか
②同時に使用可能な電気使用量がどれくらい欲しいのか
③家全体に使えるようにしたい(全負荷型)のか、または特定の場所だけ使えるようにしたい(特定負荷型)のか
定置型蓄電池ランキングTOP3
定置型蓄電池を選ぶポイントを踏まえた上で、おすすめTOP3をランキングにしてみました。
1位OMRON マルチ蓄電プラットフォーム 16.4kWh
2位SHARP クラウド蓄電池システム(JH-WB2021) 9.5kWh
3位ニチコンESS-H2L1 12kWh
1位 OMRON マルチ蓄電プラットフォーム 16.4kWh
電池容量 | 16.4kWh |
停電時の出力 | 5.9kW |
保証期間 | 蓄電池ユニット:15年間 マルチ蓄電パワーコンディショナ:15年間 PVユニット:15年間 |
サイズ | 蓄電池:縦1009×幅490×奥行295 パワコン:縦562×幅450×奥行232 トランス:縦562×幅450×奥行240 |
重量 | 蓄電池:150kg パワコン:21kg トランス:25kg |
OMRONのマルチ蓄電プラットフォーム16.4kWhは単機能型、ハイブリッド型、全負荷ハイブリッド型と3タイプの蓄電池として使用可能であり、全てのニーズに最適化できる可変式蓄電池です。大容量タイプの中でも圧倒的にコンパクトサイズであり、天候に応じて翌日の充放電制御を行い、災害警報に合わせて蓄電開始するなど、蓄電池の効果をフル活用する事ができます。また、トランスユニットを設置することで、200VエアコンやIHクッキングヒーター、エコキュートも難なく使えます。
2位 SHARP クラウド蓄電池システム(JH-WB2021) 9.5kWh
電池容量 | 9.5kWh |
停電時の出力 | 蓄電池:3.0kW パワコン:5.5kW |
保証期間 | 納品から15年間 |
サイズ | 蓄電池:縦68.5×幅56.0×奥行47.0 |
重量 | 120kg |
SHARPのクラウド蓄電池システム(JH-WB2021) 9.5kWhは、まずハイブリッドパワコンを設置し、後から蓄電池が必要になった時に追加設置が可能なので、太陽光のパワコン故障を機に、蓄電池を検討しているという方にオススメです。全負荷型であり、太陽光で作った電気が普段どれだけ自宅の電気使用を補えているのかがわかる自家消費率表示機能が搭載されています。それだけでなく、停電時には蓄電池の残量を基にどれだけ電気を使えるのか目安時間も表示してくれます。
また、本体下部にネジを使用しない組立により、地上高50cmまでの水位になっても水が浸入しづらい構造を実現可能としました。
3位 ニチコン ESS-H2L1 12kWh
電池容量 | 9.5kWh |
停電時の出力 | 5.9kWh |
保証期間 | 機器保証:15年間 自然災害補償:10年間 |
サイズ | 電池蓄:縦125.0×幅106.0×奥行30.0 |
重量 | 257kg |
ニチコンのESS-H2L1は200V家電や色々な家電を同時に使える圧倒的な高出力が特徴です。もう一つの特徴として、パワコンが蓄電池に内蔵されているため、パワコンを壁掛けする必要がありません。そのため、家の外観を綺麗に保ちたい方にとって大変オススメと言えるでしょう。また、ニチコンは電気自動車を充電し、電気自動車から自宅に放電する「V2Hスタンド」の販売メーカーです。そのため、V2Hに接続できる数少ない蓄電池でもあります。
ポータブル型蓄電池の選び方
ポータブル型蓄電池とは、本体に内蔵されているバッテリーに電気を蓄え、外部の機器に給電する機器の事です。利点として、大容量のバッテリーが搭載されている事、家庭用の家電製品やシガーソケット、USBなどといった複数のケーブルをつなぐ事、そして持ち運びができる事が挙げられます。
キャンプや車中泊にポータブル型蓄電池を持っていくことで、寒い季節でも電気毛布などの暖房器具を使用可能にします。災害時の非常電源としても活用できるので、防災用品として常備しておくのがいいでしょう。
①用途に合わせた電池容量を選ぶ
ピクニックや庭先で小型の扇風機を回す、スマートフォンを充電するなど、ちょっとした電力を必要とする場合、蓄電池容量は300~500Whあれば十分です。
防災時に備えてポータブル蓄電池を導入するのであれば、電池容量が1,000Wh以上のものを選ぶのがいいでしょう。災害時に停電が起こると復旧に約3~4日間かかると言われているため、その期間耐えられるだけの十分な電池容量が必要となるからです。
1,000Whのポータブル蓄電池の場合、テレビは約14時間連続稼働が可能であり、PC(30W)は約13回充電が可能です。
災害時の停電は一週間と長期間になる可能性もあります。そのため、蓄電容量が多いものを選び、どの家電を使うべきかを十分考えて導入しましょう。
出力ポートの定格出力と周波数を確認する
定格出力とは、ポータブル蓄電池から継続して安全に給電できる電力の最大出力を指します。使用したい家電製品の消費電力が定格出力を上回る事はできません。
また、家庭用コンセントの周波数は50Hzと60Hzに分かれます。そのため、異なる周波数の家電を繋いでも正常に動かず、故障してしまう可能性もあります。購入前に仕様を確認し、全ての周波数に対応したポータブル蓄電池を選びましょう。
用途に適した出力ポートが搭載されているか確認
ポータブル型蓄電池に搭載されている出力ポートは3つです。
①AC出力ポート:普段家庭で使用している家電製品が接続できる出力ポート
②DC出力ポート:接続口がシガーソケットタイプになっているのが主流であり、主に車載専用の家電製品に接続できる出力ポート
③USBポート:スマートフォンやタブレット端末など、モバイル製品の充電ができる出力ポート
災害時に必要な機能がついているか
ポータブル型蓄電池には災害時に役立つ機能が搭載されているものもあります。
・ソーラー充電機能:別売りのソーラーパネルを使用する事で太陽光を活用し、充電する事ができる
・カーチャージ機能:車内でも充電可能で、約7時間で満充電できるものもあり
・ライト機能:懐中電灯の代わりに活用することが可能
・パススルー充電機能:ポータブル型蓄電池本体を充電しながらスマートフォンなどに給電が可能な機能
ポータブル型蓄電池のランキング
ポータブル型蓄電池の選び方を踏まえた上で、TOP3をランキングしてみました。
1位 PoWerArQ ポータブル電源
2位 ポータブル電源700
3位 BN-RB6-C
1位 PoWerArQ ポータブル電源
電池容量 | 626Wh |
ACポートの定格出力 | 300W |
保証期間 | 2年 |
サイズ | 縦30.0×横24.4×奥行19.3cm |
重量 | 6kg |
価格 | 66,000円(税込) |
カーチャージ機能 | あり |
パススルー充電機能 | あり |
ライト機能 | あり |
入力ポートの種類・数 | DC×1 |
出力ポートの種類・数 | USBポート×3・ACポート×1・DCポート×3・シガーソケット |
対応周波数 | 60Hz |
電池容量別展開 | 346Wh・500Wh・626Wh |
付属品 | 専用ACアダプター電源コードセット・MC4ケーブル(1m)・シガーケーブル |
「PoWerArQ ポータブル電源」は電力の損失が15%しかなく、ソーラー充電およびカーチャージ機能などが搭載されているため、レジャーシーンだけでなく、災害時にも十分活躍する事ができるポータブル型蓄電池と言えるでしょう。口コミも高く、使用できる電力量と機能性を高水準で満たすため、ポータブル型蓄電池を検討している人にオススメします。
2位 ポータブル電源700
電池容量 | 700Wh |
ACポートの定格出力 | 500W |
保証期間 | 2年 |
サイズ | 縦19.3×横30.0×奥行19.2cm |
重量 | 6.3kg |
価格 | 44,000円(税込) |
カーチャージ機能 | あり |
パススルー充電機能 | あり |
入力ポートの種類・数 | DC×1 |
出力ポートの種類・数 | USBポート×3・ACポート×2・DCポート×2・シガーソケット |
対応周波数 | 50/60Hz |
電池容量別展開 | 240Wh・400Wh・700Wh・1000Wh |
付属品 | ACアダプター・車載用シガーアダプター |
「ポータブル電源700」はアメリカ発のポータブル型蓄電池専門メーカーであるjackeryの商品であり、2019年に日本で発売した途端に普及し、定番品として定着しました。
使用時の電力ロスがほとんどみられず、ソーラー充電やカーチャージ機能を兼ね備え、非常に高い性能となっています。
高性能に加えて電池容量が700Whもあるため、アウトドアや車中泊などで多くの電力を使用する人におすすめの商品です。
3位 BN-RB6-C
電池容量 | 626Wh |
ACポートの定格出力 | 500W |
保証期間 | 2年 |
サイズ | 縦19.3×横30.0×奥行19.2cm |
重量 | 6.4kg |
価格 | 59,770円(税込) |
カーチャージ機能 | あり |
パススルー充電機能 | あり |
入力ポートの種類・数 | DC×1 |
出力ポートの種類・数 | USBポート×3・ACポート×2・DCポート×3・シガーソケット |
対応周波数 | 60Hz |
電池容量別展開 | 311Wh・518Wh・626Wh・1002Wh |
付属品 | ACアダプター・電源コード・車載用シガーアダプター・ポーチ(折り畳み式のため) |
「BN-RB6-C」は映像機器やオーディオ機器を主力に幅広く商品開発、販売しているJVCケンウッドがJackeryと共同開発した商品です。
電池容量の割合も高く、ソーラー充電やカーチャージ機能といった必要な機能はついているため、選択肢の一つとして考えるのにおすすめです。
まとめ
蓄電池の選び方やランキングについて紹介してきました。以下、まとめになります。
・定置型蓄電池の場合、パワコンが邪魔にならないものかハイブリット型がオススメ
・ポータブル型蓄電池の場合、持ち運びするため電力ロスが少なく、ソーラー充電やカーチャージ機能がついているものがオススメ
・どの製品が自分に合っているか比較検討しよう
蓄電池は使用する人によって求める性能や容量も異なります。値段やメーカーのブランドだけで判断せず、まずは自分達が必要とする電力はどれくらいで、そのために必要な機能や容量はどんなものがあるのか調べるのがいいでしょう。