蓄電池の容量と出力の決め手は普段の電気代見直しから始めよう!大容量と高出力の蓄電池を紹介

最近ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を国は推奨しています。ZEHとは住宅の断熱性・省エネ性能の上昇、太陽光発電などのエネルギー創出により、年間の一次消費エネルギー量(空調・給湯・照明・換気)の収支をプラスマイナスゼロにする住宅のことです。ZEHが認められると補助金が出ます。家庭用蓄電池に補助金を出す自治体も増えてきているので、太陽光発電システムと蓄電池による電力の自給自足と自家消費が注目されています。

こういう背景において、家庭用蓄電池はどんどん大容量化の傾向があります。蓄電池の容量と出力は大きければ大きいほど良いのでしょうか。今回は蓄電池と容量・出力について解説し、容量・出力共に大きい蓄電池をピックアップして紹介したいと思います。

蓄電池の容量と出力

家庭用蓄電池を選ぶ時に見るべきポイントは3つです。
①蓄電容量
②最大出力
③分電盤への接続方法

蓄電用量とはバッテリーの容量を指します。kWhで表記されます。どれだけ充電・放電できるかを表し、容量が大きいほど長時間蓄電池を使用可能であり、機器単価が高額になります。貯水槽でいうとタンクの大きさを指します。

最大出力はバッテリーから瞬間的に取り出すことができるパワーです。電気が出て行く力強さと考えるとわかりやすいですね。W、kWと表記し、場合によってはkVAと表記される時もあります。最大でどれくらい合計出力を出せるかで、大きければ大きいほど多くの電化製品を同時に使用可能です。貯水槽でいうと蛇口からでる水量を指します。

分電盤への接続方法には2つの型があります。
①特定負荷型
②全負荷型

特定負荷型は分電盤、家庭内のブレーカーの中から接続する回路を選択し、停電時に選択した特定の部屋にのみ給電します。
全負荷型は停電時家全体を包み込むように、家全体に給電できます。災害による停電が2週間以上など長期間に及んだ場合、全負荷型だと全箇所で電気が使えるので安心できますね。

一人暮らしの場合だと、一つの部屋に電気が来る特定負荷型の方が効率よく電力を消費し、省エネになるでしょう。しかし大家族となると全負荷型の方がいいのかもしれません。どちらを選ぶかはいざ停電になった時、自分にとってどちらがいいかを想定し、リスク管理する必要があります。

家庭用蓄電池電池を導入する目的

家庭用蓄電池を導入する目的は2つです。
①太陽光発電の余剰電力の有効活用が目的
②非常用電源の確保が目的

蓄電池は太陽光発電システムと組み合わせるととても有効に活用できます。太陽光発電で得た電力を効率よく自家消費し、夜間に余剰した電力を使い、電力会社から電気を買う量を少なくすることができます。製品によっては各家庭の需要パターンに合わせて充放電を最適化させる機能を持った蓄電池もあります。

非常用電源確保が目的の場合、停電時に使用する合計消費電力から容量と出力を計算し、適切な容量と出力を大体でいいので出します。使用する機器の中にはエアコンやエコキュートのように200Vのものもあります。家庭用蓄電池は100Vのみ対応しているものが多いので、200V対応の蓄電池を買いたい場合は注意しましょう。

家庭用蓄電池は容量が小さいと停電時に短時間しか使用できなかったり、大容量すぎても機能を十分使えず持て余してしまったりというデメリットが生じます。蓄電池の購入時に一体どれだけ電力を消費しているのかを洗い出すのがいいでしょう。

一般的な電化製品の出力(W)の目安は以下の通りです。

電子レンジ1500W
ホットカーペット(3畳用)800W
エアコン(暖房)750W(※)
エアコン(冷房)650W(※)
IH調理器(弱)700W
洗濯機(8kg)600W
電気ケトル250W
冷蔵庫(40L)190W
テレビ150W
照明100W
こたつ(弱)100W
パソコン100W
スマホの充電15W

同じ家電でもメーカーによって消費電力は異なりますので、正確な消費電力は取扱説明書で確認してください。

例えば蓄電池の出力が2kWの場合、1kWは1,000Wなので2,000Wまで大丈夫です。冷蔵庫(190W)、テレビ(150W)、エアコン(750W)、照明3部屋(300W)、電気ケトル(250W)、スマホの充電(15W)が同時に使えることになります。これだけ停電時に使えれば安心して乗り切ることができますよね。しかし、これは停電が1時間で復旧すると考えた場合です。もし10時間必要ならば、1,655W×10hで16,550Wh(16.5kWh)になります。16.5kWhの大容量の蓄電池が必要となってしまいます。
冷蔵庫、エアコン、スマホ充電だけに絞り込むと955Wなので、10時間でも10kWh容量の蓄電池で対応可能です。災害時に自分の使いたい家電の種類や数、そして使用時間を一度よく考えてから蓄電池を購入するのがいいでしょう。

大容量の蓄電池のおすすめ機種

蓄電池は大容量であればあるほど使える電化製品の時間が増え、高出力であればあるほど使える電化製品の数が増えるということがわかりました。災害時、少しでも多くの電力と電化製品があると安心できますよね。以下、大容量で防災時にオススメな蓄電池を3つ紹介します。

伊藤忠商事のSmart Star L

Smart Star Lは9.8kWh、3kVAと大容量・高出力な蓄電池です。従来の家庭用蓄電池は1.5KVA~2KVA程度ですので、3KVAは非常に大きいと言えます。200VあるIH調理器やエアコン、エネファームやエコキュートなど燃料電池にも対応可能で、50Wの大型冷蔵庫だと167時間稼働させることができます。停電時に太陽光発電システムが稼働することにより電気を補充し、電気の自給自足対策が可能です。充電能力が非常に高く、蓄電容量が空になっても3時間でフル充電可能です。これは災害時にとても嬉しいですよね。
全負荷型ですので、家全体を丸ごと包み込んで電気を給電し、AIによって最適運用されます。大きさは762×440×1145mm、195kgで機器保証10年間と自然災害補償10年間が付きます。大まかに1日1サイクルを繰り返す計算をすると、16.4年の期待耐用年数で、希望小売価格税抜き285万円です。

ニチコンのESS-U2L2

ニチコンのESS-U2L2は2020年の5月から発売開始され、容量12kWhと大容量の蓄電池です。太陽光発電の自家消費や災害時の防災電源として活用しやすく開発された単機能型新モデルであり、価格は税別370万円です。卒FIT太陽光ユーザーを対象としており、発電した電力を売電ではなく、自家消費したいというニーズにこたえるために大容量モデルにしたと考えられます。蓄電池の大きさは1060×1250×300mm、重量は226kgで、屋外設置で15年の無償保証、10年の自然災害補償が付帯します。停電時には自動で蓄電システムから電力供給に切り替わり、長期間続く停電にも対応可能です。太陽光発電システムとこの自立運転を組み合わせる事によって充電も行うことができますので、災害時にとても安心できます。充放電能力は連系時で3.0kW、自立時で2.0kVAです。気象警報の発令によって自動で充電を行う機能もあり、防災対策がばっちりですね。

テスラのPowerwal

電気自動車のベンチャー企業テスラが開発を進めているPowerwallは、2020年の春に日本国内で設置販売が始まりました。蓄電用量は13.5kWhで家庭用蓄電池しては大容量と言えるでしょう。大きさは1150×755×155mmで重量は114kg。
テスラは2015年に初代Powerwallを発表していますが、今回、日本で販売するモデルは2世代目に相当します。蓄電容量は13.5kWhのモデルのみで、家庭用としては大容量といえる蓄電池になります。外形寸法は1150×755×155mm、重量は114kgで、蓄電池本体の内部にパワーコンディショナーが内蔵されています。床置きと壁掛けと設置方法が選択でき、複数台設置する場合は最大10台、135kWhまで拡張対応しています。
Powerwallのピーク出力は7kW、連続出力が5kWです。停電時には自動で蓄電池からの電力供給に切り替える機能があり、最大80Aまでのバックアップ対応ですので、エアコンなどの200V機器も使用する事ができます。太陽光パネルの発電状況や蓄電池の充放電量の確認や自家消費優先への制御切り替えは、全て専用のスマートフォンアプリから操作します。
Powerwallは本体価格税別99万円と従来の蓄電器の中で破格の値段とされています。

ポータブル蓄電池にも高容量高出力なものがある

D-POWER6000は出力3,000Wなのに持ち運び可能な発電機に匹敵する高出力を実現した、大容量ポータブル蓄電池です。出力が3,000Wもあるので複合機や電動工具、電化製品などの高出力製品も安心して使うことができます。しかも6,000Whの蓄電用量に大容量のリチウムイオンバッテリーが内臓されていますので、長時間使用が可能です。100Wの小型冷蔵庫は約60時間、スマホ充電なら600台充電可能です。
耐用年数は7年で、充電方法はAC-DCによる電源アダプターと別売りのソーラーパネルからです。
重量は約43kgと重いですが、キャリーバーとキャスターが標準装備ですので、移動は苦になりません。キャンプや屋台設営にも持っていけます。エンジンやガスの発電機と比べてクリーン電源ですので、室内での使用ができるのも嬉しいですよね。値段は定価で税抜き168万円です。

まとめ

蓄電池の大容量と高出力について解説してきました。以下まとめになります。

・容量はバッテリーの容量であり、出力はバッテリーから瞬間的に取り出せるパワー
・蓄電池が大容量だと電化製品の時間が増え、高出力だと使える電化製品の数が増える
・蓄電池と太陽光システムを併用すると電気の自給自足、自家消費が可能

災害時に蓄電池の容量が大容量であればあるほど安心はできますが、大容量すぎて手に余る可能性もあります。それはとてももったいないですよね。
蓄電池は容量が大きければ大きいほど本体価格が高価になります。大容量の蓄電池を購入する場合は一日の消費電気量を計算して、それに見合う容量の蓄電池を購入するのがいいでしょう。もしわからない場合は、購入の際に蓄電器のお店の人や業者に相談してみてください。また、蓄電池の購入には地方自治体が補助金を出しているので、一度地方自治体のHPを確認したり、問い合わせてみてください。

災害時に電気があるとないとでは気持ちの持ちようも断然異なります。電灯も付かない部屋は真っ暗で、月明かりが入らなければ指先さえ見えないかもしれません。そうならないために、自分に必要な容量・出力の蓄電池を備えておきましょう。太陽光発電と組み合わせると電力の自給自足・自家消費が可能となり、長期間の停電にも耐えられるでしょう。
以上、蓄電池と大容量・高出力についてでした。

最新情報をチェックしよう!
>蓄電池の未来をデザインするサービス

蓄電池の未来をデザインするサービス

蓄電池コンシェルジュは、蓄電池を購入しようとお考えの方々に、蓄電池を活かした暮らしをするための上質なコンシェルジュサービスをご提供しております。再生可能エネルギーに理解のある方々にご利用頂くことが「脱炭素社会」実現へのカギとなります。蓄電池コンシェルジュは、文化的、社会的資産を後世に引き継ぎ、社会的責任としての取組みのみならず、日本の人口減少と地球温暖化の危機を救うためのお手伝いをさせて頂いております。

蓄電池コンシェルジュは皆さまの人生をより豊かにする蓄電池をご提案させて頂きます。皆さまのご利用を心よりお待ち申し上げております。

蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

CTR IMG