蓄電池の容量はメーカーや機種によって豊富なラインナップが揃っているため、購入を検討する時に悩んでしまうことでしょう。家庭用蓄電池の場合、5kWh~7kWh程度の容量が一般的とされています。少し大型になると10kWh前後の大容量のものもあります。
大型蓄電池を選べば充電できる電力量は増えますので、何か非常時になっても安心して備えることができますが、その分設置費用が増えます。4人家族の場合、どれくらいの容量の蓄電池が最適なのでしょうか。今回は蓄電池と4人家族について解説します。
災害時に必要な4人家族の蓄電池の容量
日本は災害大国ですので、いつ災害に巻き込まれて被災者になるかわかりません。もし蓄電池の容量が十分でなければ、自然災害によって自宅が停電に陥った時に必要な電力量を賄うことができません。そうなると、エアコンや冷蔵庫などが使えなくなり、必要最低限の生活が送れず、命の危険に晒される可能性が高くなります。
では、大きい蓄電池を買えばいいのかというとそうではありません。見合わない大容量の蓄電池を持つとコストばかり上がってしまい、容量を持て余してしまいます。
非常事態になった時にパニックにならないように、電力使用状況を予め想定しておいて、計画的に蓄電池の設置検討を進めていくのがいいでしょう。
蓄電池の容量を決めるためには、地震や台風といった災害によって長期間の停電になるなどの非常時に必要な電力量を算出しておく必要があります。
たとえば、4人家族の場合、どれくらいの容量の蓄電池が最適なのでしょうか。
一般的に、4人家族の1日の電力消費量は約10kWh前後です。この数値は1年365日の単純平均ですので、夏季や冬季など季節によっても1日の電力消費量は変わってきます。
夏の暑い日にエアコンなどの空調設備を利用すると、1日に利用する電力消費量は15kWhくらいまで上がるかもしれません。夏にエアコンがなければ熱中症になる可能性があり、命の危険に繋がります。そうなると蓄電池の容量も15kWh必要だということになります。
しかし、15kWhの蓄電池は家庭用として容量が大きすぎて、サイズ的にもコスト的にも見合わないといえるでしょう。
そのため、実際に非常時に最低限の生活を送るために必要な家電製品と、使用する時間をあらかじめ決めて、必要な電力量を算出しておきましょう。
一般家庭で利用する家電製品の消費電力量は以下の通りです。
家電製品 | 消費電力量 |
電気ケトル | 1,200W〜1,300W |
電子レンジ | 500W〜1,000W |
エアコン | 500W〜2,000W(畳数による) |
ヘアドライヤー | 600W〜1,200W |
掃除機 | 800W〜1,100W |
冷蔵庫 | 200W〜500W |
液晶テレビ | 100W〜300W (サイズによる) |
スマートフォンの充電 | 3W〜5W |
たとえば、以下の家電製品を5時間利用した場合は7.1kWh、7時間利用した場合は約10kWhとなります。
エアコン(800W)
冷蔵庫(400W)
テレビ(200W)
スマートフォンの充電(5W×4台)
合計電力量:1,420Wh
災害が発生し、被害状況把握や避難場所とそこまでの安全な移動経路への情報習得、そして避難場所で使う生活物資の準備を考慮すると、5時間は必要となるでしょう。
そのため、4人家族の場合、7kWh程度の蓄電池を準備しておけば、1日くらいもつことができるでしょう。メーカーによっては蓄電池の容量が小さくても1日に2サイクルを回して、半分の容量ながら2倍の活躍をしてくれる蓄電池もあります。蓄電池の容量を選ぶ際は、単純に容量の数値だけでなくサイクルという観点も頭に入れて検討したほうが良いでしょう。
蓄電池は発電機能がないため、どうしても1日が限界です。太陽光発電が併設されていれば、気象条件によって異なりますが2~3日は持つのではないでしょうか。
太陽光発電を設置しているオール電化の4人家族の場合
たとえば、太陽光発電を設置しているオール電化の家族がいたとします。
父、母、子供(4歳と8歳)
太陽光発電を設置しているオール電化の家族4人の電力消費量は以下の通りです。
・日中は太陽光発電の電力あり
・夏はエアコンの電力消費量が上がり、冬はお風呂のお湯を沸かすエコキュートと暖房で電力消費量があがる
・春と秋は一番電力を使わない季節なので平均すると1ヵ月500kWh、1日平均約17kWh
・夏は1ヵ月700kWh、1日平均約23kWh
・冬は1ヵ月1,000kWh、1日平均約33kWh(お風呂のお湯をわかすのと暖房で電気の消費量が一番多い季節)
・今はまだ子供が小さいが、大きくなるともっと電力消費量は増えると予測
1番電気を使う冬の1日平均約33kWhの半分(16.5kWh)を太陽光発電の電力を使うとすると、小さいサイズの4kWhでは全く足りません。そのため最低10kWh以上の蓄電池が必要ということがわかります。
オール電化の場合、電気が止まると何もできなくなるため、大きめの蓄電池を用意しておくのがいいでしょう。
ガスと電気を使っている家庭の消費電力はオール電化の半分ですので、ガスがある家は太陽光発電をうまく併用すれば、5kWh以上の蓄電池でも安心して備えることができます。
太陽光発電で4人家族の電気代をまかなうポイント
太陽光発電で4人家族の電気代をまかなうポイントは夜間電力の有効活用です。
たとえば東京電力の夜トク8プランでは、基本料金が1kWあたり214.5円で、午後11時から午前7時の間は1kWあたり21.16円と割安な電気代で過ごすことができます。ただし、夜間の電気代が安い分、昼間の午前7時から午後11時は1kWあたり32.74円と割高です。
夜トクプランは、日中は不在がちだったり、 電化製品を夜間に使用することが多いなど、夜間の電気をおトクに活用したい人におすすめのプランです。
夜間の割安な電気を有効活用することで、太陽光発電と蓄電池で電気代を賄う事ができます。以下、有効活用の例です。
午前6時に洗濯機を回す
午前11時過ぎに食器洗濯機を使う
昼間の電気使用を極力控える
また、オール電化の場合、エコキュートを使うお湯を作る設定は夜間の安い時間に設定されています。そのため、オール電化住宅と太陽光発電の相性は良いといえるでしょう。
4人家族に最適な太陽光発電
たとえば、父、母、中学生・高校生の兄妹の4人家族の場合。4人家族で一番電気を使う時期は夏休みなどの長期休暇中になります。
お子さんの年齢があがれば夜更かしをしたり、ヘアアイロンやドライヤーを使うようになるため電気代は上がっていきます。そうなると長期休暇中の電気代はオール電化の家で2万円前後になるでしょう。
家の屋根は限られているため、2万円を太陽光発電で賄おうと思うとかなり厳しいです。
2万円を賄う太陽光発電はパネル1枚あたりの発電量が大きく、サイズが小さいものをオススメします。
東芝のモジュールは他のメーカーに比べて小さいのに発電量、発電効率が良いのが特徴で、一般家庭に使用するにはオススメです。
そのため、4人家族の電気代を賄うのであれば、東芝のパネルで6kW程度のシステムは欲しいです。
東芝6kWシステムで作れる月間の電気代は19,082円ですので少し足りませんが、電気使用量2万円程度の4人家族には程よいでしょう。
太陽光発電と蓄電池の組み合わせは電気代節電になる
同じ4人家族でも1万円を切る所もあれば、3万円近く使っている所もあります。
その違いは、夜間電力の有効活用と、昼間の電気代節電の意識が高いか低いかです。
太陽光発電で日中作った電力を昼間に使い、余ったら蓄電池に貯め、夜間はその電力と電力会社の安い夜間電力を有効活用します。そうすることによって電気代はぐっと節約することができるでしょう。
太陽光発電を設置すると家の中にカラーモニタと言われる、リアルタイムの売電量、使用量が分かるモニターが設置されます。
カラーモニタのおかげで、曇りの日には太陽光発電で作っている電気と使用電気代がトントンくらいになる時もあります。
その場合、使っていないコンセントを抜いてみたり、テレビを消したりして少しでも売電に回すなど、お子さんと一緒になって節電を楽しむことができます。
4人家族であれば、太陽光発電で作った電気で賄い、余った電力を蓄電池に貯める事ができれば、自家発電自家消費ができます。電気会社から電気を極力買わずに済み、電気代削減に繋がるでしょう。
オススメの蓄電池メーカーの特徴
オススメの蓄電池メーカーの特徴は以下の通りです。
パナソニック
1つ目は「パナソニック」です。
パナソニックの特徴は、ライフスタイルや設置環境に応じて、多彩なシステムラインナップを取り揃えているため、ぴったりの製品が見つかることです。
蓄電池の容量は1kWhから11.2kWhの大容量タイプまでと、各家庭の電気使用量などによって幅広く対応することができます。
太陽光は設置していないけど非常時用に欲しいという方には、設置工事の必要のないポータブルタイプの製品もオススメです。
シャープ
2つ目は「シャープ」です。
シャープの特徴はあらゆる家庭のニーズを満たすラインナップです。
消費電力量や設置場所に合わせて選ぶことのできるハイブリッドタイプの蓄電池の容量は4kWh~13kWhまでの全4種類から選択可能です。
4回路構造のパワーコンディショナー及びコンバータ―を同時に設置することで、停電時にも200V対応の家電製品を稼働することができ、オール電化のご家庭にもオススメです。
また、コンパクトタイプなので屋外・屋内問わず設置場所を自由に選べることができ、最新のAIにより災害時の対策が可能です。
気象情報などの外部情報やAIが学習する生活パターンから余剰電力を予測し、昼間の割高な電力の購入を抑えることで各ご家庭に寄り添った蓄電池制御を実現します。
まとめ
蓄電池と4人家族について解説してきました。以下、まとめになります。
・災害時、4人家族の場合は7kWh前後の蓄電池を備えておけば安心
・オール電化の4人家族の場合、10kWh以上の蓄電池が欲しい
・蓄電池と太陽光発電の組み合わせは電気代節約につながる
蓄電池は導入する初期費用が高いです。そのため簡単に購入する事は難しいでしょう。しかし、災害時などの非常事態に備えるなど、いざという時に困りません。4人家族の場合、蓄電池と深夜料金をうまく利用すればぐっと電気代を節電することができます。ぜひこの機会に導入を考えてみてはいかがでしょうか。