蓄電池に防音対策の必要はないって本当? うるさいのは蓄電池じゃなく太陽光発電のパワコンだった!

災害時の非常時電源や電気代の節約として蓄電池を導入している一般家庭は増えつつあります。家庭用として販売されている蓄電池は、住宅街でも使えるように設計されているため、それほどうるさいものではありません。しかし、大都市に住んでいて、近所との距離が近いなら、騒音トラブルを避けるための対策はとても重要です。安心して住み続けるために動作音を考えた製品選びと設置場所の工夫、防音をしっかりと考えて対策しましょう。今回は蓄電池の防音対策について解説してみました。

蓄電池に騒音問題はない

蓄電池は電子部品であり、内部にはパワーコンディショナーを内蔵しているタイプが多いため、充放電などの運転時には運転音が発生します。

一般的な家庭用蓄電池の騒音レベルはメーカーや機種にもよりますが「35db~40db」以下といわれています。エアコンの室外機が「40db~50db」と言われていますので、蓄電池の方が少し静かといえます。

「30db~40db」というのは、静かなホテルの室内や図書館の室内、日中の閑静な住宅街などと同じぐらいの音のレベルです。普通に生活をしていれば気にならないようなレベルの大きさですので、騒音レベルとはいえないでしょう。

ただし、深夜電力を使って蓄電池を充電する場合、充電が行なわれるのは夜の11時以降の時間帯になりますので、夜中に物音がして気になるというケースも環境によっては起こってしまうでしょう。
まったく音がしないというわけではないので、寝室などに置くことは避け方がいいでしょう。集合住宅の場合、音が漏れないように防音対策も必要になります。

では、産業用蓄電池はどうでしょうか。
産業用蓄電池は容量も大きくなるため作動する音も大きくなる可能性がありますが、こちらも通常の会話は可能なレベルですので特に問題はありません。
また、産業用蓄電池は一般の人が生活する場所に設置しないので、騒音レベルに発展することはないでしょう。

蓄電池の騒音トラブルをさける対策

基本的に蓄電池はうるさいものではありませんが、蓄電池を置く環境や製品によって稼働音の大きさや伝わり方が変わるため、蓄電池は静かであると断言はできません。

家庭用蓄電池の場合、気になるほどの音ではありませんが、集合住宅などに住んでいると音に敏感な方もいるので、普通の人には気にならないレベルでも騒音に感じてしまうかもしれません。

そうなると近隣トラブルの原因となり、せっかく高いお金を払って蓄電池を設置したのに使えないという事態になるかもしれません。

そうならないために、防音対策をしましょう。

防音壁で囲む

1つ目の対策は「防音壁で囲む」ことです。

蓄電池を防音壁で囲んでしまえば、音が漏れません。

一般的に防音壁は高出力の産業用の蓄電池にしか利用されません。
土地の大きさに依存せず利用できる有効な手段です。

集合住宅のような住居と住居が密接している環境では、稼働音が住民トラブルに発展してしまう恐れもあるでしょう。
防音壁を使うことで、住民トラブルを未然に防ぐことができます。

設置場所を移したりするのがスペース的に難しい一般家庭用蓄電池の場合などには、遮音パネルやシートなどを設置しましょう。遮音パネルは、パネルを組み合わせることで防音壁を作り、機器から発する騒音を遮断してくれます。

多少うるさくても問題ない場所に置く

2つ目の対策は「多少うるさくても問題ない場所に置く」ことです。

設置場所が選べる場合、多少うるさくても問題のない場所に置くのがいいでしょう。
たとえば一戸建ての場合、家庭用蓄電池の騒音レベルは40dB以下ですので、外に蓄電池の音が漏れることはありません。

屋外型の場合、エアコンの室外機の近くやガレージに設置するのがよいでしょう。
隣家の寝室と蓄電池の間の距離によっては、ご近所トラブルにもなってしまうかもしれないので、事前にご近所の方にも確認をしておくのが確実でしょう。

騒音を外に漏らさない工夫をする

3つ目は「騒音を外に漏らさない工夫をする」ことです。

音は距離を置くほど減衰していきます。
一般的に10mで約20db、20mで30db減衰します。蓄電池の音がエアコンの室外機音レベルの50dbになっていたとしても、20m離れると時計の秒針レベルの20dbにまで小さくなります。土地に余裕がある場合、離れた所に設置するのは非常に有効な手段といえるでしょう。そのため、設置する前に蓄電池の場所や環境を考慮し、周りにどう聞こえているのかデシベルを計ってみるのをオススメします。

また、室内に置けば壁が存在するため、外に漏れる蓄電池の稼働音が小さくなります。普段使わない離れや倉庫などがあれば、そこに蓄電池を設置すれば外に音が漏れることはないでしょう。

設置前に専門業者へ音の問題を確認しておく

4つ目の対策は「設置前に専門業者へ音の問題を確認しておく」ことです。

基本的に設置業者は家の外の状況や配線、分電盤との距離などを考えて蓄電池の設置場所を決めます。そのため、設置業者が最善だと判断した場所が寝室の裏側だったということもありえます。

そのため、設置前に必ず設置場所を確認しておき、問題があれば設置場所を別の所に検討してもらえないか確認してみましょう。他の場所に置くことが難しい場合、必要な防音処置はしてくれるのか、費用はいくらなのかを確認しましょう。

設置業者の中には防音工事に関して専門外という場合があります。そのため、防音設備の設置は別の専門業者に依頼した方が効果も高く、費用が安くなることもあります。

せっかく高い蓄電池を設置したのに、うるさくて眠れない、近所とトラブルになっているので使えないとなるともったいないです。後から動かすこともできるため、実際に苦情がきてから対処しようと考えるかもしれませんが、その場合はかなりの費用が必要となります。業者としっかり相談して、近隣の迷惑にならない設置場所を見つけましょう。何がベストな対策なのかしっかりと業者と話しあって決めましょう。

太陽光発電は騒音問題になる

蓄電池自体は静かなのですが、蓄電池とセットで導入する可能性が高い太陽光発電は騒音問題が発生する可能性が高くなります。

太陽光発電とは、再生可能エネルギーとして、二酸化炭素やその他の有害物質を排出しない、持続可能でクリーンな発電方法です。太陽光パネルに太陽光を当てて電気を作り出します。

太陽光発電システムを導入する場合、発電規模の大小に関わらずパワーコンディショナーの設置が必要になります。
太陽光で発電した電気は「直流電力」ですが、私たちが普段生活の中で使っている電気は「交流電力」です。
「直流電力」はそのままでは使用できないため「交流電気」に変換する必要があるのですが、この変換の役目を担うのがパワーコンディショナーです。
そのため、パワーコンディショナーは太陽光発電システムにとって必要不可欠な存在と言えるでしょう。
しかし、パワーコンディショナーは起動時や稼働中に高い音を発することがあり、人によってはそれが耳障りに感じ、周辺環境によっては騒音問題に発展してしまう可能性があります。

パワーコンディショナーが出す騒音

パワーコンディショナーが稼働中に発する音には大きく分けて2つあります。
・スイッチの切り替え音
・モスキート音

このモスキート音がパワーコンディショナーから発する不快な音のほとんどであるといえます。モスキート音とは17,000Hz前後の高周波数のことを指し、蚊(モスキート)が飛んでいる時の羽音に似ていることからその名で呼ばれるようになりました。

モスキート音は、人によっては頭痛やめまいを起こしてしまうこともあります。
また、モスキート音は中高年層には聞き取りづらく、若年層ほど敏感に聞き取ると言われています。

蚊の羽音は手で追い払うとどこかへ行ってしまいますが、パワーコンディショナーは常時設置している機器であり、簡単に移動させることができないので、一度気になってしまうと面倒です。
そのため、リビングや寝室、書斎の近くにパワーコンディショナーを設置せず、玄関や廊下などに設置しましょう。

パワーコンディショナーの防音対策

パワーコンディショナーが発するモスキート音の音量自体は48db程度であり、「室外機が発する音と同じ程度」と言われているため、広範囲に響くような騒音とは異なります。
しかし、周りに建物が少ない閑静な地域で屋外型パワコンを設置した場合、「騒音がする」と感じた近隣の方とトラブルになってしまう可能性もありえます。
最もモスキート音を感知しやすい小さなお子様のいる集合住宅地などの場合も同じことが言えるでしょう。

パワーコンディショナーに防音パネルを設置すると、48dbから38dbにまで減少します。エアコンの室外機レベルの騒音から蓄電池と同じ図書館内レベルの静かさまで騒音を落とすことができるでしょう。

出力1,000kW以上の大規模太陽光発電施設(メガソーラー)では、作られる電力量に対応してパワーコンディショナーも大型化し、複数台必要となります。その分、稼働音はもちろん冷却する空調設備の音も含め、70dbに達する場合があります。70dbは掃除機や間近で聞く蝉の声、電話のベルの音など普通の会話が行いにくい騒がしさです。

この場合、実地の騒音測定を行うことで、設備の規模に合わせて具体的な数値目標に従って防音ボックスで覆ってしまえば、70dbから50dbまで下げることができるでしょう。

まとめ

蓄電池と防音について解説してきました。以下、まとめになります。

・蓄電池の音は図書館内レベルの静かさなのでうるさくない
・音に敏感な人が近所に住んでいる場合は騒音トラブルに発展する可能性があるので、防音パネルやシートなど、なんらかの防音対策が必要
・設置前にどれくらいの騒音かデシベルで計測して、設置場所や防音対策を業者と話し合う

蓄電池は騒音レベルになるほど音が出る機械ではありませんが、全ての蓄電池や環境に通じることではありません。完全に無音というわけではないので、寝室や書斎など、騒音が気になりやすいような部屋への設置は避けておくのが懸命でしょう。
蓄電池は一度設置してしまうと防音対策にかなりの費用が必要となります。また、蓄電池が静かでも太陽光発電のパワーコンディショナーが騒音になっている場合がありますので、設置場所や防音対策をしっかりとしておきましょう。

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蓄電池コンシェルジュは、蓄電池を購入しようとお考えの方々に、蓄電池を活かした暮らしをするための上質なコンシェルジュサービスをご提供しております。再生可能エネルギーに理解のある方々にご利用頂くことが「脱炭素社会」実現へのカギとなります。蓄電池コンシェルジュは、文化的、社会的資産を後世に引き継ぎ、社会的責任としての取組みのみならず、日本の人口減少と地球温暖化の危機を救うためのお手伝いをさせて頂いております。

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蓄電池コンシェルジュ代表
根上 幸久

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